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きみがため

CAST工藤 唯愛工藤 唯愛

作者:ライラック

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.11.22

小学生の頃は、妖精も
サンタクロースも
存在を信じていたけど、





高校生にもなると
そうでもなくなる。





永遠に歳をとらない人間なんて
いるわけないし、





ましてや1年に1度しか
仕事をしない赤服白ひげおじいさんなど
信じろという方が無茶な話だ。





そして、今の私には
あと2つ信じられないものがある、





運命の赤い糸と





白馬の王子様だ。





そんなファンタジーを
無条件に信じられるほど、
私はもう子どもではない。





「あーあ、退屈だな」





私はユア、高校1年生。





今日も退屈な
学校の授業を受けている。





どうして学校の勉強って
こんなにもつまらないんだろう。





アケメネス朝が滅んだ理由も、
ちはやぶるの意味も、
ヘロンの公式も、私にはどうでもいい。





そんなことは私の人生において、
すこぶるどうでもいいことなのだ。





それより私が気になるのは、
「私は私の運命の人にちゃんと出会えるか」
である。





それが1番大事なのだ。





赤い糸も白馬の王子様も
信じられない今、
果たしてどうやって私は
私の愛する人を見つけたらいいのだろう。





普通に好きな人はいるけど、
なにせ思春期である、
なにかの気の迷いであることも
考えられる。





とりあえず今好きなのは
同じクラスのミサキ君。





性格が明るいので
一緒にいると楽しい。





でも、それだけと言えばそれだけ。





別に赤い糸なんか
からまってないし、





もちろん白馬にも
乗ってない。





さらに言えば、通学は
チャリンコに乗っている。





そんな彼が
私の運命の人である保証なんて
どこにもない。





ソクラテスも、ニュートンも、
アインシュタインも、
本当に賢いんだったら
恋の定理を発見して欲しかった。





彼らがなまけたせいで、
私は経験したことのない恋の暗やみを
びくびくしながら
歩かないといけないのだ。





私がここまで恋に
慎重になる理由、
それは母を見てるからである。





父とは離婚している。





1度は永遠の愛を誓い合った2人が
普通にケンカして別れるのを
見てきたからだ。





人間なんてそんなもんだ。





私は母のようには
絶対なりたくない。





でも、とりあえず
どうしたら分からない。





そして、そんな私の恋は
あっさりと終わった。





ミサキ君に
彼女ができたのである。





それを聞いた私は
目の前がまっ暗になった。





胸がしめつけられるように苦しい。





どうして人間は、失ってからしか
その存在の尊さに気づけないのだろう。





ミサキ君への片思いが
あっさりと終了して、





私はどれだけ彼のことが
好きだったか気づいた。





毎朝のおはよう、
ふとした仕草、
はにかむ笑顔、





全部全部好きだった。





ごめんね、
伝えられなくて。





人間は忘れる生き物だ。





だから、私もいつかきっと
この恋を忘れるだろう。





むしろ、失恋を乗りこえたと
胸をはって言うのだろう。





そんな私にはなりたくない。





今のこの気もちを
永遠に忘れたくない。





他の人を2度と同じ気もちで
愛したくなんかない。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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