ガーリーな彼氏とボーイッシュな彼女

CAST十文字陽菜

作者：まるぱん

2025.02.08

あたし、ヒナノ！
１年前、中等部に
進学したことを機に、
ふわふわしたかわいい
女の子になれるように努力中！

髪型は下ろし一択だし、
本当はゲームとか、
炭酸系のジュースが
好きなんだけど、昔、

「ゲームが好きって
全然女の子らしくないよね」

「ヒナノって、
男子に生まれた方が
良かったんじゃない？」

「女の子らしくした方がいいよ」

「一生彼氏できないんじゃない？」

なんて、さんざん
いろんな人に言われた。

あたしの性別を
否定されるのも、

将来を
否定されるのも嫌！

私の好きなものや
趣味を否定されて
悲しかった。

ヘアアレンジだって、
あたしは下ろしてるのが
１番好きだから
そうしてるだけなのに、

「男の子っぽい」って
解釈されてた。

今の世の中は
「ジェンダーレス」とか
広まってきてるし、
男の子みたいだって
いいでしょ？

だけど、いつか誰かが
私の趣味に共感してくれる
ことを信じて、

趣味は
なくさないことにしてる。

趣味までなくしちゃうと、
何にも残んないから。

だけど、たくさんの人に
叩かれるとさすがに
心が痛むから、
普段はかわいいものが好きな
女の子のフリをしている。

今は、ゆううつな時間。

「もういちど自己紹介をして
お互いのことを
もっとよりよく知りましょう」
っていう、総合の時間。

仕方なくツインテールな状態で
いつわりの自分の発表をする。

ヒナノ「ヒナノです。
私の趣味はお買い物で、
好きな飲み物は
いちごミルクです。
改めてよろしくお願いします」

ソノマ「やっぱヒナノちゃんは
かわいいよねー！
顔がかわいくて、
さらさらストレートの
ツインテールで、
お買い物といちごミルクが
好きなんて、
王道のガーリーじゃん！」

この子は、ソノマちゃん。

あたしをガーリー女子だと
思っている。

なんだか、
後ろめたい気もちに
なってくる。

＊．．．・・・＊．．．・・・＊

次の日。

あれ？
あたしの机に
ハートとリボンで彩られた
「ザ・かわいい」って感じの
ノートがのってる。

これ、
あたしのじゃない。

中身を見てみる。

キラキラでフリフリの
洋服の絵が描かれてあった。

誰の？

ユアン「あー！
そのノート、僕のー！」

ヒナノ「あ、ユアンくんの？」

ユアン「ひとつ聞くけどさ、
僕がかわいいもの好きでも、
引かない？」

ヒナノ「引かないよ！」

ユアン「だって、ヒナノさんって
ガーリー女子じゃん。
僕みたいな男子に、ガーリーを
汚されたくないと思って」

ヒナノ「あたしもさ、
ボーイッシュな方が好き！」

ユアン「えっ、そうなの!?」

ヒナノ「なんかあたしたち、
気が合うね！」

ユアン「そうだね！
僕なんか、
『一生彼女できないだろ』
って言われたし！」

ヒナノ「あたしも、
『一生彼氏できないだろ』
って言われた！」

ユアン「本当の好きなことを
遠慮せず話せる人がいて
うれしい！」

ヒナノ「趣味を話していたら、
あたしはガーリーも
好きになるかもしれないし、
ユアンくんもボーイッシュなのを
好きになるかもしれないし！」

ユアン「自分をいつわらずに話せるの、
本当に幸せなんだ！
ねえ、僕たち、つきあわない？」

ヒナノ「つきあう？
どうして？」

ユアン「だって、つきあったら、
多く一緒にいれるでしょ？」

ヒナノ「あっ、それいいね！
あたしたち、つきあおう！」

ユアン「やったー！」

ヒナノ「そういえば、
あのノートに描かれてあった
コーデはなんだったの？」

ユアン「僕はかわいいものが
好きだから、
女の子が喜ぶものを
つくりたいな、と思って」

ヒナノ「いい夢じゃん、
応援するよ！」

ユアン「ありがとう！」

ヒナノ「今度一緒にお出かけしない？」

ユアン「いいね！
じゃあ、コーデは
ガーリーとボーイッシュの中間で
カジュアルにしない？」

ヒナノ「ユアンくん、頭いい！」

あたしの趣味を理解してくれる人が
いるなんて・・・！
最高！

＊ｅｎｄ＊