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僕の見たかった青空

CAST工藤 唯愛工藤 唯愛

作者:Feel your breeze

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.02.11

僕の名前は、工藤唯愛。





あっ、1人称は
僕なんだけど、
実際はニコラ学園に通う
普通のJCなんだよ!





「あーあ。
また今日も雨・・・」





最近は、学校から
帰ろうとすると、
決まって天気が悪い・・・





まぁいいや。
とりあえず帰ろうっと。





「あれ? え・・・?」





なんと、家に
折りたたみ傘を
忘れてきてしまった!





「もう最悪・・・
ずぶ濡れになるじゃん・・・」





そう思いつつ、
覚悟を決めて
帰ろうとした時・・・





「あの・・・すみません」





声をかけられ、ふり向くと
1人の男子生徒が立っていた。





「よかったら、
これ使ってください」





彼は僕に、1本の
折りたたみ傘を渡してきた。





「いや・・・そんな・・・
申し訳ないですよ・・・」





僕はていねいに断ったが





「あぁー
だいじょうぶですよ。
俺、傘2本持ってるんで」





そう言われると、
断るのも悪い気がするので、
彼の言葉に
甘えることにした。





「ありがとうございます」





「じゃあ、
気をつけて帰ってね」





そういうと彼は、
雨道を一目散に帰っていった。





驚くことに、彼は
傘をさしていなかった。













・*。・ 翌日 ・。*・





「へぇー、そんなことが
あったんだ!」





僕の話を聞いてくれたのは、
同じクラスで親友の
クルミだった。





「なんか・・・悪いこと
させちゃったな・・・」





「でもその子、
ユアのこと
全く知らないんでしょ?」





「うん・・・」





そういえば、彼の名前を
聞いてなかった。





「これじゃ、傘を
返せないんだけど・・・」













・*。・ 1週間後 ・。*・





あの日から、雨こそ
降らなかったけど、
1週間ずっと曇り空のまま。





太陽が恋しくなった中で、
今日は予報では
曇りのち晴れだったんだけど・・・





「えー!
また雨・・・」





とことん
ツイてないな~と、
自分の運のなさを
嘆きつつ





「よし、帰ろっと」





彼から借りた傘を
広げようとしたその時・・・





「えっ・・・?」





そこには、見たことのある
後ろ姿があった。





そう、傘を貸してくれた
彼だった。





「あっ・・・あの!」





僕の声に気づいた彼は、
こちらをふり向き、
驚いた表情を見せた。





「君は、この間の・・・」





「傘、ありがとうございました」





「いや、別にいいよ。
むしろ・・・」





そこまで言った彼は、
急に咳きこんでしまった。





見ると、顔が
赤くなっているのが分かる。





「だいじょうぶですか?」





「あぁ、だいじょうぶだよ。
心配しなくてもいいからさ」





そうは言うものの、
明らかに顔色は悪く、
体調が思わしくないのが
一目で分かる。





「お家はどこなんですか?」





「新潮駅の近く・・・」





新潮駅は、ここから
2キロ以上。





歩いたら
最低30分はかかる。





「気にしないで。
俺はなんとか
帰れるからさ」





彼はそういうと、
雨道を傘もささずに
帰ろうとした。





「待ってください!」





気がつくと、僕は
そう言っていた。





「僕の家、ここから
そんなに遠くないんで、
来てください」





「いや・・・
それは悪いよ」





遠慮する彼を
なんとか説得して、
僕の家に連れて
帰ることにした。





僕の家は、ニコラ学園から
歩いて5分のところにある。





帰ってお母さんに
事情を話すと、
快く部屋に
案内してくれた。





「ごめんね・・・
なんか負担をかけちゃって」





「いえ、全然。
むしろ、ごめんなさい」





あの時、彼に傘を
借りてしまったばかりに、
風邪を引かせてしまったことを、
心のなかで引きずっていた。





「あの・・・僕
工藤唯愛って言います」





気がつくと、唐突に
自己紹介をしていた。





「俺は、八神遼介。
よろしく!」





男子を家に呼ぶこと自体が
初めてで、
男子としゃべったのも
久しぶりなのか、
なんか緊張しちゃう・・・





(コンコン)





部屋をノックする音がした。





「お待たせ~」





お母さんが手作りの雑炊と、
りんごのすりおろし、
氷枕を持って
部屋にやってきた。





「今日はもう遅いし、
外は寒いから、
泊まっていってね」





「ありがとうございます」





「じゃあユア、
後はまかせたよ」





「はーい」





お母さんがいなくなると、
再び部屋で2人きり。





幸い、氷枕を当てると
熱はすぐ下がり、
食事も喉を通ったらしく、
気づいたら完食していた。





「本当にありがとう!」





満面の笑みで感謝され、
ちょっと照れくさい
感じがする。





「どういたしまして」





「ユアのやさしさのおかげで、
風邪が治ったよ」





「僕も、リョウスケくんの
おかげで濡れずにすんだんだし、
ありがとう!」





お互いに笑顔で
話し合う感じが、
なんだか楽しく感じた。











・*。・ 翌日 ・。*・





彼の体調はすぐに戻り、
今日は2人で登校することに。





「今日もなんだか
天気悪いな・・・」





「ユア、ひょっとして雨女(笑)?」





「ちょっとー!
ヒドイよ(笑)」





そんな感じで
ふざけあいながら
登校してたら、
なんだか気もちが
晴れ晴れしていた。













・*。・ 昼休み ・。*・





「ねぇ~次の授業
なんだっけ?」





「えーっと、体育。
今日はシャトルラン
だった気がする」





「えー、キツイから
嫌なんだけど~」





クルミとそんな感じで
話しながら、
体育館へ向かおうと
下駄箱を開けると





「あれ・・・?
なんだろう?」





朝の登校時には
入っていなかった手紙が
入っていた。





──────────────
────

ユアへ
放課後屋上に来てください

    リョウスケより
──────────────





「きゃー! なにそれ!」





隣でテンションMAXで
叫ぶクルミ。





「リョウスケくん・・・」













・*。・ 放課後 ・。*・





僕は言われた通り、
屋上へ向かっていた。





「はぁ・・・
なんでだろ?」





今日は雨予報じゃなかったのに、
ポツポツと弱い雨が
降っていた。





(ガチャ)





後ろからドアを
開く音がしたと思ったら





リョウスケくんが
入ってきた。





「ごめん。待った?」





「いや。全然待ってないよ」





「良かった~」





「急にどうしたの?」





彼は1つ、
大きな深呼吸をすると





「ユア、俺と
つきあってくれないか?」





なんとまさかの
告白をしてきた。





「僕でいいの・・・?」





「俺は、ユアじゃなきゃ
ダメなんだ。
あの時、俺を助けてくれて・・・
かわいくてやさしくて、
そんなユアが、気づいたら
好きだったんだ」





僕も、返事は決まっていた。





「あの時、リョウスケくんが
僕を助けてくれなかったら、
今こうして出会うことは
できなかった。
だから僕は、
これって運命なのかな?
って、思ってたよ」





「ユア・・・」





「リョウスケくん、
僕を彼女にしてください!」





「ありがとう!」





気づくと、さっきまで
降っていた雨が止み、
雲の切れ間から
日差しがさしこんでいた。





「あっ! 虹だ!」





見上げた空には、
キレイな虹がかかっていた。





「なんか・・・
久しぶりに見たな・・・
青空を」





「俺たちを応援している
みたいだね」





君と見た青い空と虹は





僕の心の中に
いつまでも
刻まれることだろう。







~終わり~

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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