君と見る永遠の青

CAST工藤唯愛

作者：もこ

2025.02.01

私の名前は、ゆあ。
中学１年生。

いつもの友達と
一緒にいる
普通の女子高生――

だったはずの私が、
ある日、信じられないものを
目撃してしまった。

青く輝く空の下、
クラスメイトの
松瀬大虹が宙に浮いていた。

私は信じられなくて、
彼を直接
問いつめることにした。

放課後、誰もいない教室で
彼を見つけた私は
思わずさけんだ。

「松瀬くん！
あれ、何なの!?」

彼は少し
困ったように笑った。

「見ちゃったんだな、
仕方ない・・・」

その後、松瀬くんは
信じられない事実を
語りはじめた。

「俺、地球の人間じゃないんだ」

一瞬、何を言われているのか
わからなかった。

だけど彼の真剣な表情を見て、
冗談じゃないことが伝わった。

彼は、地球に似た
別の星から来た
“旅人“だった。

人間に近い姿をしているけど、
特殊な力を持っているらしい。

彼は自分の星の秘密を守るため、
誰にも正体を知られないように
していたそうだ。

「だから、誰にも
言わないでくれよ」

私はうなずきながらも、
何か引っかかるものを感じた。

どうして彼が
そんな危険な
秘密を抱えてまで、
地球にいるのか。

それからというもの、
私は松瀬くんが気になって
しかたなくなった。

彼の謎めいた雰囲気や、
ふいに見せるやさしさに、
心が引きよせられていく。

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

ある日、彼と一緒に
夕暮れの校庭にいると、
彼がぽつりとつぶやいた。

「地球って、きれいだよな。
俺の星にはこんな青空、
ないんだ」

その言葉に
胸がしめつけられた。

「じゃあ、どうして
地球に来たの？」

彼はしばらく
沈黙してから答えた。

「俺の星には、
愛って感情がないんだ。
でも地球にはそれがある。
それを知りたかった」

その時、私のなかで
何かがはじけた。

「じゃあ、私が
教えてあげる！」

彼は驚いたように
私を見つめたけど、
次第にやさしく微笑んだ。

その笑顔を見て、
私は気づいた。

私が彼に惹かれていたのは、
彼の秘密なんかじゃない。

彼自身に
心を奪われていたのだと。

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

それから数週間、
私たちは一緒に過ごす時間が
増えていった。

私はだんだんと
彼に心を開いていき、

彼もまた、
私に自分の気もちを
打ち明けてくれるようになった。

「ゆあ、俺、
ゆあが好きだ」

その言葉が、
私の胸に深く響いた。

そして、ある日突然、
松瀬くんは私に言った。

「ゆあ、実は・・・
俺はもうすぐ、
元の星に帰らなきゃいけない」

驚いた私は、
思わず彼を見つめた。

「え・・・
でも、どうして？」

「元々、地球に来るのは
任務だったんだ。
でも、君に出会えて、
俺の気もちは変わった。
でも、どうしても
帰らないといけない」

その時、私は彼の決断を
受け入れることが
できなかった。

「帰らないで！　お願い！」

彼は苦しそうな顔をしながらも、
私にやさしく微笑んだ。

「俺も、君ともっと一緒にいたい。
でも・・・
君に告げられたことで、
僕の心はもう決まったんだ。
君のことをずっと忘れない」

その言葉が、私の胸に
深く刻まれた。

彼は最後に、
私にこう言った。

「君と見た、この青空。
ずっと忘れない」

そして彼は、
静かに去っていった。

松瀬くんがいなくなった後、
私は空を見あげると
心のなかで彼の言葉を
くり返していた。

彼が去ってからも、
私はこの青空を見上げる度に、
彼のことを思い出すだろう。

そして、どこかでまた
彼と再び出会えることを、
私は信じている。

＊ｅｎｄ＊