思い、ふられ、また想う

CAST阿部 ここは阿部 ここは

作者:スウ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2020.05.16






ココハ「・・・やってしまった」





阿部ココハ、
中学3年生。





果物大好き、
野菜も好き嫌いせず食べて、





早寝早起きはもちろん、
洗顔、化粧水、乳液など、
さまざまなものを
こだわりぬいて、





ニキビゼロの肌を
維持してきた。





しかし朝、
いつものように
顔を洗おうと
洗面所の鏡を見ると、





あごの真ん中にポツっと
ニキビが1つ出来ていたのだ。





きっと、昨日、親友である
安村マナと夜遅くまで
LINEしていたからだ。





ココハ「どうしよう・・・
マスクする?」





でも、過剰に
心配されたくない。





ココハ「あ、そうだ」





自分の部屋へと向かう。





確か、毎月読んでる雑誌
「ニコニコ」の付録で、
コンシーラーがあったはず。





ココハ「あった!」





鏡を見ながら、
小さなニキビを隠していく。





ココハ「こんなもんかな」





マナ「ココハおはよー」





通学路の曲がり角、
私の親友、
マナが立っていた。





マナ「ん? なんか今日、
落ち込んでる?」





ココハ「えっ?」





さすが、なんでも
お見通しだ。





ココハ「今日、ニキビ
できちゃったんだよね」





マナ「え、どこ?」





人差し指で、
あごを示す。





マナ「んー?
目立たないよ、
大丈夫」





ココハ「そーかな」





マナ「でも、ココハに
ニキビできるなんて
珍しいね」





ココハ「多分、昨日マナと
夜遅くまで
LINEしてたからだよ」





マナ「あっ、今軽く
私のせいにしたね?」





思わず笑ってしまう。





受験が終われば
卒業式。





マナは推薦で
私立の高校に
合格している。





こうやって
笑いあえるのも、
あと少し。





マナ「あ、でもさ!
あごのニキビは
思われニキビって
言うじゃん?」





ココハ「え、なにそれ?
言い伝え?」





マナ「知らない?
思い、思われ、
ふり、ふられ」





そう言いながら、マナが、
おでこ、あご、両頬を、
順に人差し指で辿っていく。





マナ「ココハの場合、
あごにできたから
思われニキビ。
誰かに恋心を
抱かれてるってこと」





ココハ「ふーん」





マナ「はい出た!
嬉しいことがあると
塩になるの、
ココハのクセですね」





ココハ「いやっ、
嬉しくないし!」





ごめんなさい。
図星です。





ついつい、頭の中に
彼の顔が浮かびました。





マナ「き・だ・な・お・や?」





ココハ「っもう!」





すべて見破られてる。
悔しい。





私の好きな人、
同クラの紀田ナオヤ。





昨日のLINEだって、
ナオヤの話で
持ちきりだった。





中1の入学式、
彼の姿を見て
一目惚れをした。





勇気を出して
連絡先を聞いたら、
まさかの玉砕。





『中学に進学して
彼氏作ることしか
頭にないやつ、嫌い』





あの日の彼の言葉が、
ふとした瞬間に
思い出される。





最近の悩みだ。





思わぬ形でふられてしまった
私だけど、
恋心を消すことは
できなかった。





今も、現在進行形で好きだ。





マナ「ココハの一途な所、
ナオヤに伝わんないかなー」





ココハ「今更伝わったって、
1回ふられてるんだし」





マナ「そうかな。
可能性あると思うけど」





ココハ「いいの!
思われニキビだって、
ただの言い伝えでしょ?
今はニキビを治すことと
受験に専念するのみ!」





よっしゃ、と
握りこぶしを作る。





今日もまた、
1日が始まる。













・*・―――・*・―――・*・





先生「はい、じゃあ、
先月の実力テストの結果配るぞー。
名簿順に来いー。
雨宮ー・・・」





ココハ「ねぇ、
いつのテストだっけ・・・?」





後ろの席のマナに
尋ねる。





マナ「休み明けテスト。
あ、ほら・・・」





マナの目線の先に、
ナオヤがいる。





先生「紀田、
よくやったな。
受験も焦らず頑張れ」





ナオヤ「ありがとうございます」





何やら、良い点数
だったようだ。





マナ「ナオヤ
何点なんだろうねー、
気にならない?」





ココハ「別に・・・」





先生「はい、
じゃあ次女子ー。
阿部ー」





ココハ「はいっ」





先生から成績表を
受け取る。





5教科で380点。
いい感じ。





先生「今回も安定してるな。
このまま志望校に
合格出来るように頑張れ」





ココハ「はい、
ありがとうございます」





席に戻ろうとすると、
窓側から視線を感じた。





もしや・・・





ココハ「・・・あ」





ナオヤ・・・





ではなかった。
丸田レオンだ。





顔立ちが綺麗で
背も高い。





そして、マナの
元カレである。





レオンと私の視線が
ぶつかる。





レオンがおずおずと
話しかけてきた。





レオン「なぁ、ココハ・・・
何点だった?」





ココハ「え?
えっと・・・」





レオン「300点いった?」





ココハ「うん」





レオン「350?」





ココハ「もう少し・・・」





レオン「400!?」





ココハ「まさか(笑)
380くらいだよ」





レオン「そっかー。
でもすごいな!
ココハもナオヤも!」





ドキッとした。





彼の名前が
出てきたことに、
少し慌てる。





遠くから、ナオヤが
こちらを見ていることに
気づいた。





ナオヤ「おい、レオン!
余計なこと
言いふらすんじゃねーぞ」





言いふらすんじゃねーぞ・・・
私は多くのうちの
1人ってこと。





分かってるけれど、
少し、落ち込む。





レオン「いや、
数学97点って
すごいじゃん!」





ココハ「97・・・!?」





レオン「あ。やべっ」





私だけではなく、
近くにいた人も驚く。





ナオヤはぷいっと
向こうを向いてしまった。





無神経・・・





悪びれもなく、
そう思ってしまう。





レオンは、
そういう人だ。





黙っていれば
かっこいいけれど、
どこかずれている。





だから、マナがなんで
レオンと付き合ったのか、
正直分からない。





しかも、マナは
レオンにふられたのだ。





マナの涙に濡れた顔が
思い出されて、
胸がぎゅっと苦しくなる。





レオン「なんか・・・ごめん」





ココハ「ううん。
私は別に」





レオン「あのさ!
来週、学年レクあるだろ?」





ココハ「あぁ・・・そういえば」





レオン「俺、バスケで
スリーポイントシュート決めるから。
もし俺が決めたら、
話したいことがあるんだけど。
いいかな?」





ココハ「え・・・
うん、わかった」





レオン「よっしゃ。
俺、頑張る」





レオンは嬉しそうに
男子の輪の中に
入っていく。





私は自分の席に戻った。





すると、マナが
ニヤニヤしながら
私を見ていた。





マナ「ねぇ、レオンと
何話してたの?」





ココハ「何話してたのって・・・
もう、見てたなら
助け舟出してよー。
私、男子と話すの
苦手なんだから」





マナ「だって、
私が助け舟なんか
出しちゃったら、
気まずくなるでしょ?」





ココハ「うん、
まぁ、そうだけど」





案外マナが
ケロッとしていて、
安心した。





マナ「何の話してたのー?」





ココハ「なんか・・・
学年レクのバスケ頑張るから、
話したいことがあるって」





マナ「え! 何それ
少女マンガじゃん!」





ココハ「いや、
そういうのじゃないって!」





マナ「ふーん。
リサーチしちゃうもんね」





ココハ「やめてよー」





マナ、絶対
辛いはずだ。





それに、
少女マンガなんかじゃない。





絶対、そうだ。





だって、受験直前に
告白なんてありえない。





・・・いや、
レオンのことだから
ありえるかも・・・





いやありえない!!













・*・―――・*・―――・*・





次の日の体育は
学年レクの練習だった。





レクで行う競技は
男女別バスケと
男女混合ソフトバレー。





私は、ソフトバレーのチームで、
マナ、深尾アム、レオン、
戸部コウショウ、
そしてなんとナオヤと
一緒になった。





くじ運が良いのか
悪いのか・・・
という感じだ。





だって、チームごとの
デモンストレーションのときから、
レオンからの視線を感じるのだ。





それに、レシーブを
私ばかりに打ってくる。





おかげで少し
上達できたけど(笑)





練習試合1回戦。





相手はクラスメイト
だけれど、燃える。





ナオヤ「ココハ、
サーブよろしく」





ココハ「えっ!?
あ、はいっ!」





ナオヤに名指しされて、
嬉しさと恥ずかしさが
混じる。





それでも、サーブは
綺麗な弧を描いて
相手コートへと入った。





ナオヤ「ナイスサーブ!」





ナオヤはそう言いながら、
ネット際のボールで
コウショウ君にトスを上げる。





コウショウ君はそのまま
スパイクを打った。





ココハ「すっ、すごい・・・!」





アム「コウショウは
バレー部だったからね。
ほら、ココハちゃんの番だよ」





ココハ「あ、うん!」





ボールを受け取って、
サーブを打つ。





けれど、今回は変な方向に
飛んで行ってしまった。





これでサーブ権は
相手が持つ。





ココハ「あ、ごめんなさい・・・!」





レオン「いーよ、
心配すんな!
こっからまた取り返すぞ!」





レオンが手を叩いて
チームを鼓舞する。





ナオヤ「どんまいどんまい!」





ナオヤまで、
私を慰めてくれた。





それだけで、
救われたような気がした。





相手からサーブが
打たれる。





次にレシーブを
打ったのはアム。





私がトスを上げて、
マナのスパイクが・・・
決まった!





マナ「いぇーい!」





ココハ「ナイス、
マナ、アムちゃん!」





アム「ココハちゃんもね!」





高身長を生かした
マナの華麗なプレイに
私も貢献できたことが嬉しい。





私もだんだん
熱くなってきた。





ココハ「よっしゃ、
勝とう!」





女子だけに
言ったつもりだったけれど、
ナオヤにも
聞こえていたらしく、
微笑んで頷いてくれた。





何試合か行って、
チームの親睦がだんだんと
深まっていった。





あっという間に
体育の授業が終わり、
教室へと移動する私と
マナとアム。





そこへ、ナオヤとレオンと
コウショウが合流した。





コウショウ「そういえばさ、
学年レクの日って
バレンタインだよな?」





アム「いや、
知らないし(笑)」





レオン「皆友チョコとか
交換するん??」





ココハ「受験もあるし、
私はくれた人に
ホワイトデーに
お返ししようかなって
思ってる」





レオン「え、じゃあ
俺バレンタインあげるよ!」





マナ「何それ(笑)
ココハには私があげるの。
ねぇ?」





アム「あ!
私もマナのチョコ
食べたい!」





マナ「いーよ!
じゃあ3人で交換しよ!」





ナオヤ「結局男子は
置いてけぼりか(笑)」





こんなくだらない会話が、
楽しくてたまらない。





あ、今、
青春してるのかな・・・













・*・―――・*・―――・*・





次の日は
テストだった。





3年間
最後のテスト。





5時間目が終わって、
6時間目は自己採点を
することになっている。





すると、ナオヤが
私の近くに来た。





通りすぎるだけだと
思っていたけれど、
ナオヤらしくない
落ち込んだ顔で、
話しかけてきた。





ナオヤ「ココハ・・・」





ココハ「・・・ん?」





ナオヤ「助けて・・・」





ココハ「どうしたの(笑)」





ナオヤ「テストやばい。
勉強教えて・・・」





嘘でしょ。
前回97点とってたのに?





ココハ「やばいって、
どれくらい
やばかったの?」





ナオヤ「無理。
言ったら泣く」





ココハ「・・・だいぶ
萎えてるね?
大丈夫・・・じゃないか」





ナオヤ「勉強教えてください・・・」





ココハ「んー・・・」





後ろでマナが
ニヤニヤしてるのが
伝わってくる。





ココハ「あ、じゃあ!
私が勉強教える代わりに、
バレー教えて」





ナオヤ「え、バレー?」





ココハ「うん。
もっと強くなりたいし」





ナオヤ「コウショウに
聞けばいいじゃん」





うっ。
ごもっともなんだけど・・・





ココハ「あんまり
話したことないから・・・」





ナオヤ「ふーん。
いいよ」





ココハ「え、本当!?」





ナオヤ「ちゃんと勉強
教えてくれるんだな?」





ココハ「う、ん・・・
成績の保証は
出来ないけど」





ナオヤ「じゃあ、
明日の昼休みよろしく」





ナオヤが立ち去る。





息をつくと、
すぐにマナが
背中をつついてきた。





マナ「やるじゃん、ココハ!」





テストの問題用紙で
べしべし叩いてくる。





ココハ「私、人に勉強
教えたことないんだけど」





マナ「いいじゃん!
2人きりだよ?」





ココハ「そうだけど・・・」





その時、窓際の席で
私を見つめていたレオンと
目があった。





レオンはすぐに
目をそらした。





私はマナを振り返って、
どうせなら
皆で勉強しない?
と聞くつもりだった。





でも、
聞けなかった。





マナは、レオンを
見つめていたのだ。





切ない顔だった。





壊れちゃいそうなくらい、
切なかった。





私は何もなかったように、
前を向いた。





胸が、チクチク痛い。





マナはまだ、
レオンのことが
好きなんだ。





それなのに、私がレオンに
好意を持たれている
かもしれないのに、
ずっと笑顔でいるんだ。





ニキビが無くなった。





跡形もなく、
消えた。





嬉しかったけれど、
思われニキビが消えるって
少し寂しい。













・*・―――・*・―――・*・





2人きりの勉強会は、
楽しかったけど、
それ以上のことは
何にもなかった。





約束通り、
体育の時間に
バレーを教わった。





でも、途中で
コウショウとレオンも
教えてくれたから、
2人きりでは
なかったんだけどね。





近づけそうで
近づけない。





ココハ「・・・運命
じゃないのかなぁ・・・」





マナ「ん?
いきなり可愛い発言?」





アム「え、何何!?」





ココハ「あむーちょ、
声大きい!」





アム「あ、ごめん」





ペロッと
舌を出して謝るアム。





あむーちょ、というのは、
マナと私でつけたあだ名だ。





ちなみにアムは、
私のことを
あべここって
呼んでくれてる(笑)





さてさて、今日は
ついに学年レク。





皆落ち着かない様子で
コートに立っている。





コウショウ「緊張しないで
リラックス。
とりあえず声出してけ!」





レオン「了解、キャプテン」





皆で力を合わせたおかげで、
クラスでは2位、
私達のチームは
全勝を果たした。





アム「ふぅー・・・
とりあえず次男子の
バスケだから一休みだね。
ギャラリー行こ!」





マナ「うん! 今日は
バレンタインだからねー。
男子も気合入ってんね(笑)」





周りを見渡すと、
普段はふざけてばかりの
男子でさえも
腕まくりをして、
やる気満々だ。





マナ「ほんっと、
男子って単純だねー。
ね、ココハ?」





ココハ「・・・」





アム「おーい、
あべここ?」





ココハ「あっ、
ごめん、何?」





マナ「・・・緊張してる?」





ココハ「え・・・」





マナ「大丈夫だよ。
こっちは黙って
見てればいいだけだから。
レオン、やるって決めたら
必ずやり遂げるもん(笑)」





ココハ「マナ・・・」





どうしよう。
なんだか
泣いてしまいそう。





アムとマナに手を引かれて、
ギャラリーから
1階にいる男子達を見つめた。





レオン「ココハ!」





ココハ「あ、レオン・・・」





学年レクが終わり、
昼ご飯を食べるのも
ままならないで、
昼休みになった。





今日は体育館使用日。





男子も女子も、
レクが終わったばかり
だというのに
体育館へ遊びに
行ってしまった。





誰もいない
空き教室。





無事に
スリーポイントシュートを
決めたレオンは、
約束通り私を呼んだ。





レオン「あのさ、俺・・・
俺、ココハのことが
好きなんだ」





ココハ「え・・・」





なんとなく
予測はしていたけれど、
やっぱり直接言われると
恥ずかしくなってしまう。





レオン「俺と、
付き合ってくれないかな」





初めて見るレオンの
真剣な表情に、
思わず胸が苦しくなった。





でも・・・





ココハ「・・・ごめんなさい」





レオン「え・・・」





ココハ「レオンとは、
良い友達で
居させてください」





必死に頭を下げた。





レオンは、
顔上げて、と
促してくれた。





レオン「その・・・
理由とか、
聞いてもいい?」





ココハ「それは・・・」





レオン「なんでも
受け止めるから。
・・・もしかして、マナか?」





ココハ「う、ん」





そう。私は、マナを
傷つけることが出来ない。





マナを悲しませるなんて
選択は、私の中にはなかった。





ココハ「マナね・・・
すっごく泣いてたんだ。
レオンと別れてすぐ、
毎日のように泣いてたんだよ。
今も、レオンを見つめる目は
いつもと違うの。
悲しくて、切なくて、
見ていられないくらい
辛そうな表情をするの。
それって、マナはまだレオンのこと・・・
復縁してほしいなんて言えないけど、
マナの気持ちを考えたら、
レオンを好きになるなんて
出来ない・・・」





きつい
言い方かもしれない。





でも、マナへの想いは
どうしても伝えたかった。





私がレオンに呼ばれる前も、
マナは、遠慮しなくて
いいんだからね、
と言ってくれた。





どこかぎこちない笑顔で。





レオン「そっか・・・
そうだよな。
ココハって
そういうやつだよな」





ココハ「ごめん・・・」





レオン「なんで謝るんだよ(笑)
・・・そういうココハだから、
好きになったんだ」





ココハ「・・・ありがとう」





多分、これから先も
レオンとは仲の良いままで
いられる気がする。





レオンの笑顔を見て、
そう思った。





教室に戻ると、
マナはいなかった。





アムと体育館に遊びに
行ってしまったのだろうか。





・・・でも、マナは
私を置いていったりなんか、
いつもはしない。





いつもは・・・
いつもは、





「もー、遅いよ、
置いてっちゃうよ?」





とか言いながら、
ずっと待ってくれるから。





やっぱりマナ、
レオンのことが好きで・・・





そう思って窓から
青空を見つめていると、
カーテンが不自然に動いた。





ココハ「・・・ん?」





マナ「わあっ!!!!」





ココハ「わっ!!
えっ、なに!?!?」





なんと、カーテンの裏から
マナが飛び出してきたのだ。





マナ「ふふん、
びっくりした?(笑)」





ココハ「やだ、やめてよ・・・
心臓に悪い・・・」





マナ「むむっ? ココハ、
思われニキビ
消えてんじゃん」





ココハ「そうだよ?」





マナ「・・・レオンのこと、
ふったってこと?」





ココハ「え・・・」





思われニキビが消えたのは
関係がないと思うけど、
お断りしたのは事実だ。





でも、そのことを言ったら、
マナはどう思うだろう。





それに私・・・
勝手にマナのレオンに
対する気持ちまで
言ってしまった。





それなのにマナは、
心配そうな顔で
見つめてくる。





ココハ「・・・うん。
お断りした」





マナ「・・・そっか。
レオン、ちゃんと
受け入れてくれた?」





ココハ「うん。きっと」





マナ「そうなんだ。
良かった。
レオンってずれてるから、
ココハに何かあったらって
心配してたの」





ココハ「マナ・・・」





良かった、なんて
言わないで。





心配なんてしないでよ。





心配してるのは、
私の方なんだよ。





ココハ「ねぇ、本当に未練ないの?
このまま卒業しちゃっていいの?」





マナ「え・・・?」





ココハ「マナ見てたら、
痛いくらいにわかるよ。
まだレオンのことが
好きなんだってこと!
ねぇマナ、もっと自分に
素直になってよ」





マナ「ココハ・・・」





目の前が霞んだ。





自分のことじゃないのに、
なんでこんなに
熱くなってるんだろう。





マナ「じゃあ、
約束して?」





ココハ「え?」





マナ「私、素直になるよ。
だからその代わり、
ココハも素直になって」





ココハ「えっ・・・」





ぽわんと、
ナオヤの顔が
浮かんだ。





私をふったときの顔も、





バレーの練習での笑顔も、





成績が下がって
萎えてる顔も、





さっきバスケで
シュートを決めた姿も・・・





ココハ「・・・わかった。
約束する」





マナ「うん!
お互い頑張ろうね」













・*・―――・*・―――・*・





頑張るっていったって、
何をすればいいんだろう。





答が出ないまま、なんと
卒業式になってしまった。





皆号泣。





もちろん、私も。





マナは、卒業式が終わったら
レオンに告白するらしい。





私は、連絡先を
交換するので
精一杯で・・・





ココハ「ね、ねぇ、ナオヤ。
スマホ持ったって本当?」





ナオヤ「誰から聞いたんだよ、
その話」





ココハ「いや、その、
なんとなく
耳に入ってきて・・・」





ナオヤ「別にいいだろ。
俺とココハは
同じ高校なんだし」





ココハ「で、でもっ、
合格発表まだじゃん!
なんで、もう受かった気に・・・」





ナオヤ「ココハは
受かるでしょ」





ココハ「私だけ受かったとしたら
なおさらだよ!
ナオヤと
連絡とりたいじゃん!」





ナオヤ「え・・・?」





ココハ「あ・・・」





うわぁー!!
私のバカーーー!!





ココハ「ちが、
今のは違うくて・・・!」





ナオヤ「・・・合格発表日」





ココハ「え・・・?」





ナオヤ「学校に集まることに
なってるだろ?
その時、話あるから」





ココハ「え」





ナオヤ「じゃーな」





じゃーなって・・・
じゃーなじゃないよ!!













・*・―――・*・―――・*・





ドキドキの
合格発表日。





高校に貼り出された
大きな紙。





その中に私の番号は・・・







あった!





ココハ《マナ!
受かったよ!》





マナ《おめでとう、
すごいじゃん!
ちなみに私、
レオンと復縁しました!》





ココハ「えっ!?」





ココハ《えぇぇぇぇ!?
まじで!?》





マナ《うん!
そちらはー?
ニヤニヤ》





ココハ《なんか・・・
今日話あるって
言われた》





マナ《えー!?
何それ何それ!!》





ココハ《終わったら
またLINEする!》





スマホの電源を切って、
お母さんに渡してから、
学校へと向かった。





教室に入ると、
すでに同じ高校に
合格した人達が来ていた。





でも、そこに
ナオヤの姿はない。





ため息をつきそうになった、
その時。





ナオヤ「よっ。
合格おめでとう、
ココハ」





ココハ「・・・ナオヤ!」





ナオヤも
合格していたのだ。





ナオヤ「なんか安心するな、
ココハと一緒の高校って」





ココハ「え・・・」





何それ・・・!
なんでそんなこと
さらっと言えちゃうの!?





変に期待しちゃうじゃん・・・





まだ膨らみかけの
桜のつぼみ。





晴れ渡った青空。





皆帰ってしまった後の
校舎を出て、
ナオヤと2人で
ゆっくりと歩いた。





ナオヤ「話したいことあるって、
言っただろ?」





ココハ「うん・・・」





不思議。





ナオヤの声が、
いつもと違う風に
聞こえる。





ナオヤ「俺さ・・・」





ココハ「待って!」





ナオヤ「え?」





ココハ「まず、私から
言わせてほしい」





無意識に言葉が
溢れ出ていた。





ココハ「私、ナオヤのことが
少し怖かったの」





ナオヤ「え」





ココハ「だって、勇気出して
連絡先聞いたのに
バッサリ切られるし、
3年越しに聞き出そうとしても
冷たくされるし。
なのにたまに優しくて、
勉強できて、
気を遣えて・・・
掴みどころがない人だなって
思ってたんだ。
・・・でも、気づくとナオヤを
目で追ってしまってる自分もいた。
本当は、自分でも気づいてたの、
私のナオヤに対する気持ちに」





まとまらない話を、
ナオヤは真剣な表情で
聞いてくれている。





ココハ「ナオヤがいるから、
嫌なテストも
頑張ろうって思えたし、
それに、思われニキビだって、
少し期待したし!」





ナオヤ「ニキビ?」





ココハ「え?」





思わぬ所に
突っかかってきた。





今の話の重要な点は
そこじゃない。





ナオヤ「あ、いや。
ココハって
肌綺麗なイメージだから、
ニキビ出来るんだなぁって」





ココハ「・・・はい?」





無作為な私の表情から
戸惑いを読み取ったのか、
ナオヤが付け足す。





ナオヤ「あ、その、俺、
ココハのことなんにも
知らなかったんだな、と」





ココハ「・・・え?」





ナオヤ「あー、違う。
いや、違うって訳ではないんだけど・・・
ココハのことなんにも知らないくせに、
あんな言い方で
ふってしまったのが
申し訳ないというか」





あの日のこと、
覚えてくれてたんだ。





心の中で喜ばずには
いられない。





ナオヤ「その・・・
あの日ふったこと、
ずっと後悔してて」





ココハ「・・・え?」





ナオヤ「今もまだ、
少し期待してて」





ココハ「・・・え?」





まともな返事が
出来ない。





思考回路が
止まりそう。





ナオヤ「あのさ、
ココハ・・・」





ココハ「っはい!」





やっと返事らしい
返事ができた。





ナオヤ「・・・高校に行っても、
よろしくな」





ココハ「え、あ、うん」





え? そういう流れじゃ
ないじゃんね?





可笑しくて
笑ってしまう。





本当、私の好きな人、
紀田ナオヤはそういう人だ。





それを知っていながらも
想いを伝えられずにいる私も、
チキンなのかもしれないな。





遠くで鳥の鳴き声が
聞こえる。





どこからか漂ってくる
花の匂い。





ココハ・ナオヤ「・・・好きです」





それはそれは小さな声が、
重なって音となる。





どちらからともなく、
顔を見合わせる。





2人がここに行き着くまで、
たくさんの
想いのすれ違いがあった。





勇気を出して、
私に想いを
伝えてくれた人もいた。





私は、彼の気持ちに
応えることが
できなかったけれど。





ごめんね、レオン。





胸のモヤモヤが晴れたとき、
お互いに傷つくんじゃないかって
怖かった。





でも、彼女は
私を心配してくれた。





分かり合えた。





それがとても
嬉しかった。





ありがとう、マナ。





思い、ふられ、
それでも君を思ってきた。





ねぇ、ナオヤ。





今、どんな気持ち?





私は、ドキドキで
心臓が止まりそうだよ(笑)





信号機が青になる。





進め。





2人の恋が実るまで――・・・







*end*

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