Love or Dream or Friendship
作者:Feel your breeze
「以上、Qteenでしたー!」
「はい、カット!
お疲れさまでした!」
あぁ・・・今日も
撮影が終わっちゃったな・・・
あっ、申し遅れました。
私、国本姫万里です!
雑誌「nicola」で
専属モデルをしてるよ!
私たち、高1モデルは
「Qteen」という学年ネームで、
9人で活動しているよ!
「ヒマリー、お疲れさまー!」
いま話しかけてきたのは、
伊藤沙音。
この9人の中で、
1番ニコモ歴が長くて、
ニコ読からの支持も熱い。
「シャノン、お疲れさま」
「シャノン! 早く帰るよ!」
シャノンに声をかけた
この子は、松田美優。
私と同期で、同期の中では
1番の出世頭。
面倒見が良く、
後輩からの支持も熱い。
「オッケー、ミユウ!」
この2人は「しゃのみゆ」
というユニットで、
プライベートでも
仲がいいんだって。
「まったく・・・
相変わらず仲の良い2人だこと」
「私だってあんにゃと
仲よしだもーん!」
この2人は、星乃あんなと
星名ハルハ。
2人ともニコプチからの
進級組なんだ。
あんなは女優として
活躍しながら、
ファッションブランドの
イメージモデルもこなしているよ。
一方のハルハは、
ニコモ随一のバラエティー力を
発揮していて、
将来的にバラエティー番組の
レギュラーになりたいと
豪語しているんだ。
「私たちもそろそろ
帰らないとね」
「ヒマリ、お先にー!」
いまあいさつしてきたのは、
白水ひよりと青山姫乃 。
同じ事務所で仲が良く、
また2人とも地方出身ということもあり、
意気投合して、2人きりで
よく遊んでるらしい。
ちなみにひよりは
ハルハたちと同じく
ニコプチからの進級組、
ヒメノは私とミユウと
同期なんだ。
「みんな、お疲れさま!」
みんなを見送った私は、
控え室と戻った。
「はぁ・・・」
思わず私は
ため息をついた。
他人はヒト、
自分は自分だと、
分かっているのに、
ついつい周りと
比べちゃう。
「あんなはイメモになったし、
しゃのみゆの活躍はすごいし、
ハルハやひよりだって
もう表紙してるもんね・・・」
そんなことを思っていると、
突然背中をポンと叩かれた。
「ヒマリー、どうしたの?
そんな暗い顔をして」
私に声をかけてきたのは、
工藤唯愛。
ニコモの傍ら、
某人気アイドルグループの
人気メンバーでもある。
「ほらほらー!
そんな顔してたら
幸せが逃げちゃうよ~?」
そう言ってきたのは、
佐々木花奈。
彼女は去年、
ニコモの一員となった。
私と同じ事務所なんだ。
「ユア・・・、ハナ・・・」
こうやってそばに
大好きな仲間がいると、
暗い気もちが
なぜかすっと
引いてくるんだよね。
「ヒマリ、今日3人で
帰らない?」
「さんせー!
ハナもユアと一緒に
帰りたいと思ってたし」
「そうだね!
じゃあ帰ろっか」
スタジオを出ると
外は真っ暗だった。
ユア「寒っ! 今日
外ロケは薄着で行けたのに・・・」
ハナ「せっかくだし、
どこか寄って帰らない?」
ヒマリ「そうだね!
せっかくならご飯でも」
そのときだった。
?「あれ~? ヒマリじゃん。
久しぶり!」
私の前に、1人の男子が現れた。
「えっ・・・?」
「ヒマリ! 俺だよ!
俺! イルマだよ!」
「イルマ・・・?」
驚いた。
保育所のとき、親の都合で
引っ越したはずのイルマと、
こんなところで再会するなんて・・・
ハナ「ヒマリ、知り合いなの?」
ユア「てか、めっちゃ
イケメンなんだけど」
私は2人にイルマのことを紹介し、
イルマにも2人のことや
他のニコモのことも紹介した。
ユア「へぇー、そうだったんだ」
ハナ「せっかくなら、
これからご飯でもどうですか?」
イルマ「良いんですか?
では、お言葉に甘えて・・・」
・*。・ 次の日 ・。*・
あの夜は、私たち3人と
マネージャーさん、
イルマとイルマのお兄さんで
夜ご飯を食べた。
イルマとは久しぶりの
再会だったはずなのに、
なんかずっと隣にいたせいか、
不思議と安心感があった気がする。
それをユアやハナが
ニヤニヤしながら見ていたのは
ちょっと気になったけど。
「ヒマリー!
ちょっといい?」
その日、撮影終わりに
マネージャーさんに呼び出され、
事務所に行くことに。
何やら、社長と面談するとのこと
らしいんだけど・・・
・*。・ 面談終了後 ・。*・
「えっ・・・噓でしょ・・・」
思わず出た言葉は、
それしかなかった。
・*。・ 数週間後 ・。*・
あの日以来、心のどこかに
もやもやとした思いが残ったままで、
ニコラの撮影に行く羽目になってしまった。
「はぁ・・・
どうしたらいいんだろう・・・」
気づいたら、撮影の合間に
思わず涙がこぼれていた。
次は高1企画の撮影だけど、
こんな顔と気もちで
行きたくないなぁ・・・
「ヒマリ、どうしたの?」
気づくと、
同期のミユウとヒメノが
声をかけてくれた。
「あれ? もうこんな時間・・・
ごめん! いま行くね」
・*。・ 撮影終了後 ・。*・
「以上、Qteenでしたー!」
「はい、カット!
今日もみんなよかったよ~!
じゃあ、お疲れさま!」
そう言って
解散しようとしたとき・・・
「あの・・・この後9人でちょっと
話したいことがあるんですけど、
お時間いいですか?」
ミユウの一言で、現場に緊張感が
はりつめる。
「ねぇ・・・ヒマリ、
何か言いたいことが
あるんじゃない?」
みんなの視線が、
いっせいに私に注がれる。
「みんな・・・ごめん!」
私は意を決したように、
8人に向かって告白した。
「実は私・・・
ニコモを辞めないと
いけないかもしれない・・・」
ひより「えぇっ!?」
ヒメノ「噓でしょ・・・ヒマリ?」
ハナ「何があったの?」
ヒマリ「実は私、アメリカの映画から
オファーが来てるの。
もともとニコラを卒業したら
女優さんになりたいと思っていたから、
ホントはすごくうれしい。
けど・・・
みんなともう撮影できなくなるって考えると、
なんか・・・その・・・」
あんな「なんで悩んでんの?」
ヒマリ「えっ・・・?」
ミユウ「そうだよ、ヒマリ。
せっかくのチャンスなんだよ。
行ってきたらいいじゃん!」
ヒマリ「でも・・・
そうしたらみんなと
離れ離れになっちゃうんだよ!
私はそんなの絶対いや!
大切な仲間を置いて、
中途半端にアメリカなんて行きたくない!」
ユア「それじゃあ、
ヒマリらしくないじゃん!」
ヒマリ「ユア・・・」
ハルハ「そうだよ!
たとえアメリカに行こうが、
自分の新しい人生のために
一歩を踏み出すのなら、
それはそれでいいじゃん!
私たちだって、全力でがんばるヒマリを
応援するし、
逆に夢をあきらめてるヒマリなんて
見たくない!」
ヒマリ「ハルハ・・・」
シャノン「ヒマリ、がんばってきなよ。
私たちはいつまでも、
ヒマリの味方なんだから」
ヒマリ「シャノン・・・みんな・・・」
・*。・ 翌日 ・。*・
Qteen全員の前で悩みを打ち明けて、
なんだか心がスッキリした。
みんなに反対されるかと思ったけど、
みんな私のことを
応援してくれるみたい・・・
でも、もう1人
告白しないといけない人がいる。
(ピンポーン)
(ガチャ)
「ヒマリ・・・?」
「イルマ、ちょっといい?」
私は、イルマの家に来た。
「めずらしいじゃん。
ヒマリが話しに来るなんて。
何かあったの?」
「私、アメリカに行くことになった」
「えっ・・・?」
「だからもう、イルマとは
一緒にいれない。
でも、これだけは言わせて」
「何?」
「私、イルマのことが好きだから!」
「えっ・・・?」
そう、最初から
私の気もちは
正直これしかなかった。
─────────────────────
──────────
───
* 前回の撮影後のミーティング終了後 *
ユア「でもさぁ、あの人には
伝えなくていいの?」
ヒマリ「誰のこと?」
ハナ「そりゃぁ
決まってるじゃん」
ユア・ハナ「せーのっ!
イルマ君!」
ヒマリ「イルマ・・・?」
ユア「だってヒマリ、
イルマ君のこと好きでしょ!?」
ハナ「この間だって
ずっと2人で一緒にいたんだし!」
2人にはすでに
好きバレしてたらしい。
確かにあのとき、
昔の話で盛りあがっていたり、
帰ってからもずっと
イルマのこと思っていたけど、
まさかそれが、好きっていう気もちに
なっていたなんて・・・
・*。・ 今 ・。*・
「もうアメリカに行くわけだから、
叶うはずのない恋だとは思う。
でも、何も言わずに去っていくのも・・・」
「ヒマリ!」
気づくと彼にハグされていた。
「なんで先に言っちゃうんだよ・・・」
「えっ・・・?」
「俺はずっと、ヒマリのことが好きだった。
それはいまも変わらない。
だから、たとえヒマリがアメリカに行こうが、
何年経とうが、
俺はずっとヒマリを待ってる」
「イルマ・・・」
「だからこれだけは言わせてほしい。
必ず帰ってきてくれ。
そして帰ってきたら、
俺たち・・・恋人になろう!」
「うん!」
恋と夢と友情。
全部を両立させるのは
難しいかもしれない。
でも、あきらめなければ、
絶対に叶うと思う。
Qteenのみんな、
そしてイルマ、
本当にありがとう!
~終わり~
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
国本 姫万里

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