振り向けばそこに。。。

CAST近藤 結良近藤 結良

作者:甲子園のマネージャー

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.09.03

『ずっと親友だよっ!』





その 約束 は 嘘 だったの?





私の気持ちを知ってたのに、
どうして裏切ったの?





親友に裏切られ、
涙も枯れた私に、





『俺が全部全部
忘れさせてやるから』





手をさしのべてくれたのは、
ポーカーフェースな君だった・・・

















-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-





「ユラっ! はよ!」





「おはよー、ユズ」





夏が終わり、2学期に入って、
そろそろ1ヶ月。





いつも通りの生活に
戻りつつある。





「おーはよーう!
ユズと近藤!」





「リョウスケ! 不意打ちとか!
うちにもチョップさせなさいよ!」





ポンっと、私の肩に触れた
リョウスケ君の手。





心臓がやけにうるさい。





「ユズに比べてさぁ、
近藤って本当女子力高いよね!」





「へっ!?」





いきなり褒められて
戸惑う。





「ユラは、女子力担当!
うちは男気担当!」





「うーわ!
開き直りやがったし!」





目の前でじゃれ合う2人。





なんか、
仲良い恋人同士みたい。





~胸が痛いや・・・





「リョウスケ、しゃべくってねぇで
教室行くぞ」



リョウスケ君のリュックを
引っ張る男の子。





「わかったって。
はいはい、せっかちだねぇ?
ミサキは」





ユズは、逃げんなとか
叫んでる。





「あ、近藤さん。おはよう」





「北島君、おはよう」





北島君は1度振り返ると
相変わらずな、
ポーカーフェースでそう言った。





そのまま、
リョウスケ君を連れて退場。





「今日もリョウスケと話せて
よかったねー!」





ユズが自分のことのように
楽しそうに話す。





ユズなしでは
好きな人とまともに
面と向かって話せない。





そんな自分のが
ものすごく情けなく思える。





「毎朝ありがとう」





「いいよー!
うちら親友じゃん!」





笑顔でピースするユズに、
私も笑って返す。





「ユズが親友でよかった」





「うちもー!
ユラが親友でよかった!
ーーーーーっずっと親友だよっ!」





私も大きくうなづいた。

















-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-





軽く、自己紹介しとこうかな。





私は、近藤ユラ。
ニコ学の高等部1年生。





部活は、野球部の
マネージャー!





だけど、
男の子が少し苦手。





親友の、足川ユズ。
同じく高校1年生。





部活は女バス。





明るくて、可愛くて、
みんなの人気者。





私の好きな人の、
八神リョウスケ君。
高校1年生。





男バスのエース。





優しくて、カッコよくて、
面白い、学年1のモテモテ男子。





その友達の、北島ミサキ君。
高校1年生。





私と同じ、野球部で、
ピッチャーをしている。





ポーカーフェースで、
笑顔を見たことがない。





でも、会うと
いつも先に挨拶してくれる。





なんか嫌いになれない
男の子。





あ、雨降ってきた・・・





土間でローファーを
履いていると、





傘をさしている生徒が
ちらほら。





「近藤。
今日、部活中止だって」





廊下の方から声がした。





「そっか。
ありがとう、北島君!」





「おう」





北島君は走ってきたのか、
肩で息をしている。





「わざわざ走ってきてくれて
ありがとう」





「あ、いや、別に」





「じゃあ、明日の朝練で」





「待って!」





帰ろうとした私を
北島君が止めた。





「傘無いならこれ。使って」





青色の傘。





いつも、北島君が
使っているやつ。





「北島君が濡れちゃうし、
申し訳ないから、気持ちだけ・・・」





「ん」





「でも・・・」





「いいから。じゃーな」





雨の中、
走っていく後ろ姿。





――――ドックン・・・
―――ドックン・・・





響く鼓動は
雨の音に混ざって、
消えていった。

















-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-





“今日は傘ありがとう”





“おう。風邪引くなよ”





“北島君こそ!”





“俺、バカだから
風邪引かねえの”





“何それーww”





“近藤さんが風邪引いたら
心配だし”





LINEで北島君と会話。





男の子とLINEなんて、
部活のグループしかしないけど、





やっぱりきちんと
今日のお礼を言っときたくて。





“なんで?”





私が風邪引いたら心配・・・?





――――ドックン・・・
―――ドックン・・・





“マネージャー1人しか
いないからさ”





“そーだね!
迷惑かけちゃう!”





やだ!
なに期待してたの私!





心臓のドキドキが
止まらない。





“俺的にも困るしさ”





“え?”





“俺寝る。明日朝練で。”





“うん!”





『俺的にも困るしさ』





なんだかいつもと違う
胸のドキドキが、
私の眠気をかき消した。

















-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-





「おはようございます」





部室に部員が集まってくる。





私はボールのカゴを片手に、
部室を後に。





「はよ、近藤さん」





「北島君! おはよう」





――――カァァァァ////





勝手に昨日のことを
思い出して赤面。





別に、ただお話ししただけ。





「持つよ」





「へっ?」





持っていたカゴを
北島君が持つ。





一緒に、バットも運ぶ。





「昨日と今日といい、
ありがとね」





「ああ、気にすんな。
好きでやってるだけだから」





スタスタとブルペンまで
走っていく北島君。





と、バッテリー組んでる、
松瀬君が後から追う。





「近藤ー、お前、
ミサキと仲良いよな」





「そう?」





「毎朝挨拶してるしさ。
あいつ、女と話してんの
見ねえからよ」





「そーなんだ」





「あいつ、いい奴だよ」





「うん、知ってる!」





意味深に笑う
松瀬君を、





「ダイジ早く」





北島君が呼ぶ。







気がつけば、頭の中を





リョウスケくんより、
北島君の方が
多く占めていた。

















-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-





朝練も終わり、
教室に向かう。





「近藤ー、菓子持ってね?」





「松瀬君にあげるお菓子は
ないよー」





「なら、俺にちょーだい」





「へ? 北島君? うん」





リュックから飴を出す。





「あざす」





「ずりぃぞ!」





――――北島君、笑うとすごく
カッコいい・・・





松瀬君と言い争う姿に、
何だか顔がほころぶ。





「そーいえばよー、
近藤の友達の・・・
そそ! 足川!
八神と付き合ってるらしいぜ!」





足川・・・?
八神・・・?





「リョウスケ君と・・・
ユズ・・・?」





「おい、ダイジ!!
余計なこ・・・」





「北島君も・・・
知ってたの・・・?」





――――ズキン・・・





『ずっと親友だよっ!』





「嘘・・・」





協力してくれるって・・・
言ったじゃん・・・





「近藤さ・・・」





「ごめん、ちょっと・・・」





気持ちの整理がつかない。





「あっ! メ・・・」





ユズが走ってくる。





「・・・っ・・・」





笑顔のユズを無視して走る。





顔も見たくない。
会いたくもない。





――――約束・・・したのにっ・・・





「ヴっ・・・ヴヴっ・・・」





涙は止まることを
知らない。





わかってた。





ユズとリョウスケ君が
両思いってことは。





見ててわかるよ・・・





だからこそ、
打ち明けてほしかった。





ユズの口から
聞きたかった。





「信じてたのに・・・」





「近藤さん・・・」





「北島君・・・
みっともない姿見せてゴメンね!
もう大丈夫だか・・・」





「無理して笑うなよ」





「へ・・・?」





「俺の前では、弱いとこも、
全部全部隠さなくていいから」





どうしてそんなに
優しくしてくれるの??
北島君は。





「泣いていいんだよ」





「私・・・ユズが
リョウスケ君と付き合ってることに
怒ってるんじゃないの。
リョウスケ君を好きってことを
教えてくれなかったことに怒ってるの」





北島君はただただ隣で
私の手を握りしめていてくれた。





ひとことも言葉は
交わさなかった。





「リョウスケ、もったいねぇなぁ。
近藤を選ばねぇとか」





立ち上がる北島君。





「こんなにいいやつ、
他にいないじゃん?」





そう言って笑った
北島君の笑顔が
脳裏に焼きつく。





心臓がうるさい。





「・・・こんな時にどうして・・・」





今になって気づく感情。





最初は、
リョウスケ君としゃべるのを
楽しみにしてたけど、





途中からは、
北島君と挨拶したくて、





リョウスケ君をだしに、
北島君と会うきっかけが
ほしかったんだ・・・





――――バカだなぁ。
―――今になって気づくなんて。





「なぁ近藤」





振り返った北島君は
少しはにかんで笑った。





「リョウスケなんかやめとけよ。
――――俺にしとけよ」

















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(((高3 夏)))





「打ったーっ!
ニコ学のエース、
北島のサヨナラホームラン!」





8月の、青空の下。





北島君は甲子園球場に
金属音を響かせた。





あの日の翌日、
ユズと話し合って、泣いて、
まだ親友続けてる。





染み渡るサイレンの音と校歌。





私を含め、
多くの部員が涙した。





その涙は頬を伝い、
甲子園の土に染みていく。





思いのこもった土を、
敗者はかき集める。





「最高の夏でした!」





屈託のない笑顔で
取材に答える2人。





「近藤マネージャーは、
あのサヨナラホームラン、
どう思いましたか?」





記者の人が言う。





私は大きく笑った。





「北島君の努力の結晶です」





多くのテレビカメラ、
観客の前で、
監督のインタビューが終わる。





「では次に、
サヨナラホームランを打ちました、
北島ミサキ君に
お話聞きたいと思います」





「あの・・・話の前に、
ひとついいですか?」





「はい!!」





台の上に立った北島君は
私の方を向く。





――――つ。





「北島ミサキは
近藤ユラを愛しています。
世界中の誰よりも」





今私の頬を伝うのは、
何だろう。





ただ響くシャッター音と
ギャラリーの悲鳴。





部員の拍手。





近づいてくる北島君。





「好きだ。近藤」





私は頬を伝う雫を
手で拭った。





なんかカッコいいこととかは
いえない。





ただ、この気持ちに
変わりはない。





「近藤ユラは
北島ミサキを愛しています。
世界中の誰よりも」







☆END☆

*ニコ学名作リバイバル*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。

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