ハロウィン☆サプライズ
作者:安らぎ
「おーい、クルミ!
ちょっといいか?」
いつもと変わらない
お昼休み。
仲良しのクルミと
おしゃべりしていると、
今井ハルトがやってきた。
「ん。なんだろ?
リリカ、ちょっと待ってて」
「りょーかい」
クルミを
笑顔で見送った、
・・・つもりだけど。
ちゃんと
笑えていたかなあ?
正直不安。
というのもね、
私、リリカは、
ハルトに片思い中なんです。
クルミは、いつも
応援してくれるし
2人はただの
幼馴染だってことも
わかっているけど・・・、
最近、2人だけで
話している姿を
よく見かける。
クルミには、もうすぐ
交際から1年がたつ
北島ミサキっていう
彼氏がいるんだし、
大丈夫だよね?
信じて
いいんだよね?
・・・あー!
今の私、超絶重い!
こんなの
私らしくないよ。
よし。
直接、クルミに
聞いてみよう!
「りーんか!
今度の日曜、空いて」
「クルミ。
さっきハルトと
何話してたの?」
戻ってきたクルミの言葉を
さえぎって、私は問う。
「へ?
あ、えーっと、
こく、じゃなくて、」
え。
こく?
まさか、そんな。
告白じゃないよね?
心臓がどくんどくん
鳴っている。
「そうだ! ね、リリカ。
今度の日曜日空いてる?
私の家で、リリカのお誕生日会&
ハロウィンパーティーをしようよ!」
「え?
・・・ああ、うん。
ありがとう」
「うん!
今年は、ミサキと
スペシャルゲストも
呼んじゃうよ~っ」
「え。誰だろ?
楽しみ~」
「うんうん!
思いっきり
おしゃれしてきてね!」
単純な私は
すっかりクルミのペースに
のせられていて、
クルミたちの計画に
まんまと引っかかることになる??
★☆★ ★☆★ ★☆★ ★☆★
いよいよ今日は、
10月31日。
私の14歳の誕生日と、
ハロウィンだ。
ほんとは、
ハルトと過ごしたいな~
なんて気持ちも
ほんの少しあるけれど・・・
今日は、めいっぱい
楽しむぞー!
「お邪魔します」
クルミ家のリビングの
ドアを開けた瞬間。
・・・え?
「よう、リリカ」
「リリカ。
いらっしゃ~い!」
北島とクルミと、
「ちょっと、ハルト。
何黙ってんの?
リリカの魔女コスプレが
可愛すぎて、
声出ないとかぁ?」
「はあ!?
んなわけねえだろ、
クルミ!」
嘘、でしょう?
スペシャルゲストは、
ハルト?
立ったまま動けない
私の耳元で、クルミが、
「ってことで、
楽しんでね!」
★。。。・・・
楽しい時間は、
あっという間。
気が付いたら
パーティーもおわるころに
なっていた。
「じゃあ、そろそろ
プレゼント交換に
入りますか!」
クルミの言葉に
ほんの少し寂しくなる。
と、
ぱっと、
電気が消えた。
「きゃっ!?」
思わず
うずくまる。
数秒して
電気がつくと。
そこには
私とハルトしかなかった。
あれ?
クルミと北島は?
ていうか、今
私とハルト、2人きり?
あわてていると、
「リリカ」
「はい。え!?」
グイッと
腕を引っ張られ、
私たちは向き合う形に
なっていた。
至近距離だ。
「リリカ。
こんなときになんだけど、
・・・好きだ」
「え?」
「俺と、付き合ってほしい」
私は、下を向く。
ハルトが、
「リリカ?」
私の顔を
のぞきこむ寸前に、
「ありがとう。
私も、ハルトが好き!」
顔を上げ、
言いきった瞬間に
涙があふれてきた。
「リリカ、ハルト!
おめでと~~っ!」
クルミと北島が
柱の後ろから出てきた。
つまり、
こういうことだった。
ハルトとクルミが
話していたのは、
今日の計画のこと。
電気が消えたのも
演出だった。
「いや~、
ばれなくてよかった。
リリカするどいから
ひやひやしてたんだよ」
「クルミは、
わかりやすすぎな」
「もう。
ミサキはすぐ
そういうこと言う」
「まあでも、
今回の企画は
よかったよな。
これを考えたのは
全部、クルミなんだ」
「でしょう?
だって、2人とも
はたから見れば
ぜっったい両想いなのに、
なかなかくっつかないんだもん。
見てるこっちがじれったい!」
「クルミ・・・
最高のプレゼントを
ありがとう」
「うん!
あ、リリカとハルトは、
一足先に帰ってオッケーだよ!
片付けは私とミサキが
やっておくから」
「え。でも・・・悪いよ」
「いいって!
それに、私たちだって
2人きりになりたいの」
クルミが
いたずらっぽく笑う。
お言葉に甘えて、
私とハルトは
帰らせてもらうことにした。
「おい、ハルト。
リリカ、帰るって。
そろそろ熱引いたか?」
端のほうで
しゃがみこんでいるハルトに
北島が声をかけている。
それを笑いながら
クルミが、
「今度、
Wデートしようね」
こそっと、
私にしか聞こえないように
言った。
★☆★ ★☆★ ★☆★ ★☆★
ハルトと歩く
2人だけの帰り道。
どちらからともなく
私たちは手をつないだ。
「リリカ」
初めてハルトの声で聴く
私の名前。
「これから、
よろしくな」
「うん!」
14歳のハロウィン。
最高の記念日に
なりました。
*end*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
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