モダン眠り姫

CAST深尾 あむ深尾 あむ

作者:コロン

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2020.08.01






私の名前は、
深尾アム。





これから、
1つの物語が始まる。





それは私と、私の親友、
野崎ナナ(私と同じで高1)
の物語。











・*・―――・*・―――・*・





ある日私は、彼女から
衝撃的な告白を受けた――――。





ナナ「アム、実は私・・・、
眠り姫の生まれ変わりなの」





アム「・・・はい?」





帰りの会が終わって
支度をしている私の横で、
ナナは突然言った。





・・・えっと。





アム「ごめんよく
聞こえなかったかも。
もう1回いって
もらってもいい?」





ナナ「私、眠り姫の
生まれ変わりなの」





・・・





アム「・・・はい??」





ナナ「だから、
眠り姫の・・・って、
あれ、もしかしてアム、
眠り姫知らないの?
ほら、呪いをかけられて
いばらの城の中で
百年の眠りについちゃう・・・」





アム「それは知ってるって。
いや、だから、えっ?」





とんでもない
ファンタジー発言に驚いて
思考が追いつかない。





でもナナの目は、とても
冗談を言ってるようには
見えなくて、





アム「・・・なんでわかるの?」





聞いてみた。





ナナ「実はね、
小さいころから
たまに夢を見るんだ。
いばらの城で眠ってる夢。
お城中がいばらに囲われていて」





アム「ちょっと待った。
寝てる夢、って言ったけど、
要は夢でナナが
寝てるわけでしょ。
なんでそんな
お城の状況がわかんの?」





ナナ「え? ・・・うーん、
細かいことは
よくわからないんだけど、
とにかく、いばらの
お城が見えるのね」





アム「・・・へえ」





なんかあいまいな
話だな。





でもナナは昔っから
天然なとこあるし。





ナナ「でね、ずっとそのお城の
夢を見てたんだけど、
昨日の夜、いつもと違う
夢を見たんだ」





アム「どんな?」





ナナ「なんかいっぱい人がいて、
みんなにぎやかで
楽しそうにしてたのに、
突然魔女が現れて
こう言ったの。
『前世では長い眠りから
運良くさめただろうが、
今度はこの姫は、
16歳の誕生日までに
愛する人に出会えなければ、
一生恋で結ばれることはないだろう!』」





アム「ああ、
あの有名な呪いのシーンね・・・
でも、なんか
セリフが妙だね。
なんか嘘くさーい
恋愛占いみたい」





ナナ「アム!
ことは重大なの!
なぜかって、
私の誕生日、
明後日じゃない!」





アム「確かにそうだね。
あ、ということは
私の誕生日まで
もう1週間なのか」





ナナ「明後日までに
私、愛する人を
見つけなければならないの!」





アム「ちょっとまさか
本気にしてるの!?」





ナナ「確かにファンタジーで
ありそうもない話だって
思うでしょ。
私も最初はそう思ったよ。
でもなんか・・・、
どうしても、ほっといちゃ
いけないような気がして・・・」





不安そうに
うつむくナナ。





ナナ「お願いアム!!
明日、私に付き合って!
愛する人探しに!」





アム「えっ!?
・・・まあいいけど。
それでナナの気が
収まるなら」





ナナ「ありがとう!」













*・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。*





次の日。





朝早くに私とナナは
学校にある
ショッピングモールに
集合した。





アム「でもナナ、
愛する人なんて
いきなりどうやって
見つけるの?」





ナナ「実はもう
目星がついてるの。
あ、ほらあそこ」





そういわれて
ナナが指さすほうを見る。





えっ・・・





そこにいたのは
クラスメートの
野口ヨシト。





明るく、男女分け隔てなく
接してくれる人気者。





ナナとも出席番号
近かったから
よく話してるなとは
思ってたけど・・・





ドクっ、ドクッ、
ドクッ・・・





私は動揺を必死に
抑えようとしたけど、
抑えきれなかった。





だって、ヨシトは
私の好きな人だから。





そんなことはつゆ知らず、
ナナは話し続ける。





ナナ「そこそこ
話したことあるし、
いいかなって思って。
それにわりと
タイプなんだよね」





・・・





ナナ「アム?
どうかした?」





アム「・・・ううん。
なんでもない」





・・・抑えなきゃ。





昨日のナナの顔を
思い出す。





万が一、ナナの言ってた
『眠り姫の生まれ変わり説』が
真実だとしたら、
ここしかチャンスがないもんね・・・





ナナ「教室で野口君が週末
このショッピングモールに
来るって言ってたの
聞いちゃったんだよね。
ほらアムいくよ。
野口君に話しかけないと」





アム「・・・うん」





ナナ「野口君!」





ヨシト「あれ、
野崎と深尾じゃん。
偶然だな」





アム「・・・ども」





ナナ「何してるの?」





ヨシト「ちょっと
新しい文房具を
買いに来たんだ。
2人は?」





ナナ「あ、え、えっと、
もともと遊ぶ約束してて」





ヨシト「へえ、そうなんだ。
ここお店たくさんあって
いいよな」





そんな感じで
仲良くしゃべる
ナナとヨシト。





私は適当に笑ったり、
相槌を打ったりしてたけど、
胸がキュッと締め付けられる。





ヨシト「ん?
深尾なんか暗くない?
なんかあった??」





アム「えっ」





ナナ「確かに、全然
しゃべらないよね?」





アム「・・・ううん。
別に、何もないよ」





ナナ「そう?」





ヨシト「ならよかったけど」





ナナ「・・・あっ、
そうだ。
野口君この後暇?」





ヨシト「うん。
特に予定はないけど」





ナナは目を輝かせる。





ナナ「じゃあこの後、
私たちと一緒に
回らない??」





ヨシト「おっ、いいなそれ。
でもいいのか?
せっかく2人でいるところに
俺が介入しちゃって」





そういってヨシトは
私を見る。





アム「・・・別にいいよ。
多いほうが楽しいと思うし」





ナナ「よーし!
そんじゃいこーーー!」





それから私たちは
いろいろな店を回った。





私もナナもヨシトと仲がいいし、
ヨシトもすごく寛大な性格で、





わたしたちがまわるような
洋服とかアクセサリーの店でも、
ちゃんと付き合ってくれた。





お昼を一緒に食べたり、
ゲームセンターで
遊んだりして。





もうそれはすごく
楽しかったけれど、
もやもやとした気持ちは
どんどん膨らんでいく。





あっという間に
夕方になった。





ヨシト「2人俺と家一緒の
ほうだよな?
なら、一緒に帰ろうぜ。
荷物重いだろ?
その前にちょっとトイレ
行ってきてもいい?」





ナナ「うん、わかった」





ヨシトがトイレに
入って行ったあと、
ナナがわたしをみていった。





ナナ「アム、私告白する」





アム「・・・え」





ナナ「もう今しかないと思うの!
ちょっと怖いけど、
勇気出して頑張ってみる!
・・・いい?」





ナナが
弱気の表情になる。





いろんな気持ちを封印して、
私は言った。





アム「・・・いいんじゃない?
頑張ってきてね。
応援してる」





ナナ「・・・ありがとう」





アム「・・・あのさ、
私ちょっとこの後
用事があって、
もう帰らなくちゃ
いけないんだ。
ナナは、・・・野口君と、
ゆっくり帰ってきて。
それじゃ」





私は逃げるように
その場を離れた。





・・・ああ・・・





やっぱ、
つらいなあ・・・





応援するって
決めたのに。





次から次へと
頬を伝う涙。





もちろん
用事なんてのはウソ。





ナナとヨシトが
結ばれるところは、
どうしても平静を保って
みていられそうになくて・・・





いま私は、ショッピングモールの
人気のないカフェに隣接した、
ベランダのようなところにいる。





きれいな夕日が、
残酷に私を照らす。





・・・眠り姫の恋はかなうのに、





私の初恋は、
かなわないんだな・・・





『深尾っっっ!』





呼ばれて振り返る。





アム「・・・ヨシト」





ヨシト「やっぱり・・・、
まだ帰ってなかったんだな・・・」





アム「・・・あ」





ヨシト「ちょうどよかった。
深尾に前から、
言いたいことがあったんだ」





アム「・・・え?」





ヨシト『ずっと前から好きでした。
俺と付き合ってください』





・・・えええ!?





アム「いっ、今なんて!?」





ヨシト「え、おい、
ちゃんと聞いててくれよ。
こんなの何度も
言わせるなよ・・・
好きなんだよ、
深尾のことが」





アム「ええええええええ!
てか、ちょっと待った。
ナナどしたの!?」





ナナ「いるよ、ここに」





少し離れたところに
立っているナナ。





アム「ナナ・・・」





ナナ「ごめんアム。
私鈍くて、なかなか
気づかなかった。
気づけなかった。
まさかアムが野口君のこと
好きだなんて、思わなくて。
3人で過ごすうちに、
だんだんとアムの気持ちがわかって。
なんて、ひどいことしたんだろう、
って・・・」





言いながらぽろぽろと、
涙を流すナナ。





ナナ「気づいたのに、
自分のことを優先して、
結局告白して
振られちゃった・・・」





ヨシト「ごめん、野崎・・・」





ナナ「ううん、私が悪いの。
アムと野口君を振り回して、
ごめんなさい。
・・・私、もう行くね。
アム、また月曜日ね」





アム「・・・」





ナナにかける言葉が
見つからなかった。





ヨシト「・・・ごめん」





アム「・・・ううん」





ヨシト「それで、あのさ、
・・・告白の返事、
もらってもいい?」





アム「・・・うん。
私も、好きだよ。
ヨシト」





涙ながらにそういうと、
ヨシトは笑った。





ヨシト「・・・帰ろう」













*・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。*





夜。





LINEで。





ナナ《今日は本当にごめんね》





アム《ううん、
気にしないで》





ナナ《それでさ、アム
やっぱり野口君と
付き合うことになったの?》





アム《・・・うん、まあね》





ナナ《そっか! おめでと!
私ね、思ったことがあるんだ》





アム《ありがとう。何?》





ナナ《眠り姫の生まれ変わりは、
実はアムだったんじゃ
ないかってね》





アム《・・・はい???(笑)》





ナナ《ほら、私の夢って、
アムも言った通り、
どうも姫目線ではなかったでしょ?
実をいうと、
あの呪いっぽい言葉も、
面と向かって言われたわけじゃ
なかったんだよね~。
アングルが斜めというか・・・》





アム《へえ(笑)》





ナナ《ちょっと
真面目に聞いてるー?》





アム《きいてるきいてる(笑)》





ナナ《でね、ずっと自分の思いを
眠らせてて、
見事恋をかなえたアムこそが、
本物の眠り姫の生まれ変わりじゃ
ないかな~って、思ったの!》





アム《それはちょっと
無理やりでないかい(笑)
じゃあナナのあの夢は
何だったの?》





ナナ《私は実は、
眠り姫ではなく!
妖精の生まれ変わりだったの!!
ほら、眠り姫とずっと一緒にいた、
あの妖精!
だって、私眠り姫と
ずっと一緒にいた妖精のように、
アムとずっと一緒にいたいんだもん!》





アム《はあ、なるほどね(笑)
それもまあ無理やりだけどさ。
・・・ホントだったら、
素敵だね》





ナナ《よーし、
私も恋見つけるぞーーー!
待ってろ、
運命の人~!!》





いろいろあった結果では
あるけども、





結果的にナナは
私とヨシトが結ばれる
きっかけを作ってくれたのだから、





本当にあの妖精のように
眠り姫を支えてくれたのかもね。





ナナのメルヘンワールドに
癒しをもらって、
私は眠りについた。







*end*

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