守り、守られ。

CAST深尾 あむ深尾 あむ

作者:第2号の金魚

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2020.05.10






ニコラ学園中学校。





そこは悪を許さず
正義に満ち溢れた人材を
育成する学校。





「おりゃあぁっ!」





「ま、参りました!」





私、深尾アムが
相手を投げ飛ばしたと同時に
チャイムが鳴った。





柔道が終わり、
制服に着替えて
教室に戻った。





「アームっ!
おつかれ!」





「ココハ?!」





私に話しかけて来たのは、
隣のクラスの阿部ココハ。





中1の時に
同じクラスになってから、
ずっと仲の良い友達なの。





「アムのクラス、
柔道だったんでしょ?」





「うん!
ずっと勝てなかった
コハルちゃんに
初めて勝てたんだ!」





「さすが! 剣道、
柔道、空手道、
Aクラスのアム!」





この学校では、
武道を身につけるための
授業があり、
クラス分けされる。





「アム、さっきの最後の技、
動きもっと早くしろ。
相手によっては、
1本決まらないことがある」





同じく全てAクラスの
紀田ナオヤが
私の後ろから言った。





「・・・分かった。
気をつける」





ナオヤはただの
クラスメイトではない。





「ナーオヤっ!
笑えよ。笑え!
アムも、ナオヤ来た瞬間
真顔になるなんてー!」





ココハの後ろから
言ったのは、
ココハと同じクラスの
丸田レオン。





「そーだよ。
アムとナオヤ、
相棒として
ペア組んだんだから
仲良くしなよ!」





・・・そう。





この学校では、
入学式のその日に、
男女1人ずつペアをつくり、
そのお互いが相棒になる
制度がある。





先生から出動命令が
出されたら、
決められた相棒と、
現場に行き、
悪を倒すようになっている。





「・・・別に好きでナオヤと
組んだわけじゃないし」





先生がペアを
決めたわけだから、
納得いかない人も
多いだろう。





でも、ココハとレオンは、
いい関係だ。





見ててすぐにわかる。





いいなぁ・・・





「アム、ナオヤ、
出動命令。
受信完了」





私とナオヤの
スマホから聞こえた。





「了解。
アム、行くぞ」





「うん」





集中、集中!





スマホに映し出された
地図を頼りに
目的地にたどり着いた。





その時、ふと
あの言葉が浮かぶ。





守り、守られ。





これは、
私とナオヤの
合言葉。





私たちは人を守り、
先生や町の人に支えられ、
守られている。





私たちは常に誰かを
守る立場であることを
忘れないという意味だ。





「アム、武器を持ってるやつ
多いから、気をつけろよ」





「分かった」





その時、背後から
鉄パイプを持った男が
私に殴りかかって来た。





私は両手をバッテンにして、
受け止めた。





ウエストをひねり、
回し蹴りをくらわせた。





ちょうどみぞおちに
入って男は倒れた。





「ここ、確か
空き巣事件の
犯人の集う場所だったっけ」





「そうだ」





「・・・君らって
学生さんだよね?」





振り向くと、
2人の男の人が
鉄パイプを肩にかけていた。





ナオヤが
肘で私を突く。





「アム、左のやつな。
俺右行くから」





「オッケ」





男2人が走り出す。





負ける気がしない。





私たちは
こんな日のために、
授業を受けて
来たんだから。





2人をやっつけた後、
私たちは先生に連絡した。





「任務完了。
あとは任せます」





「了解」





「アム、学校戻るぞ」





「・・・うん」





右手首痛めたな。





流石に鉄パイプで
打たれたらなぁ・・・





学校戻って、
技を見直さなきゃ。





と、その時突然
ナオヤが私の手首を掴む。





「これどーした。
鉄パイプか?」





・・・バレた。





「大丈夫だよ。
これくらい」





「人を守る立場にいるやつが、
そんな甘ったれた
判断すんなよ」





いつになく
きつい言葉。





私は手を振り払う。





「もう、ほっといてよ!」





「・・・いつも悪口ばかり、
私をけなしてばかり。
ナオヤと相棒になんか、
なりたくなかった!」





私はナオヤをおいて、
学校に向かって
走り出した。













・*・―――・*・―――・*・





放課後。





私は技の練習を
していた。





「制服だとやりづらいな」





「・・・痛っ!」





気づけば、手首は
真っ赤になっていた。





・・・ナオヤに
言いすぎたかな。





ガラガラッ・・・





ドアが開いた。





入って来た人に驚いた。





「ナオヤ・・・」





ナオヤは真っ直ぐ
私に近づいてくる。





そして、私の真っ赤な
手首を見つめる。





「・・・やっぱ、
冷やしてねぇな」





そうつぶやき、
カバンから氷が入った
袋を出して
私の手首に当てた。





「ちゃんと冷やして
早く治せよ」





それだけ言って、
ナオヤは帰っていった。





ドアの目の前で、
私の方を振り向いた。





「・・・俺はお前のこと
けなしているつもりはない。
俺はお前の強さを知ってる。
もっと強くなって欲しいだけだ」





ドアが閉まる。





オレンジの夕日。





私は1人、ナオヤの
出ていったドアを
見つめていた。













*。・——————-・。*





次の日の朝、
学校は騒がしかった。





「あ、アム!
こっち来て!」





「どうしたの?
そんなに焦って」





「ナ、ナオヤが昨日
学校の帰りに
空き巣事件の犯人に
襲われたって・・・」





「ナオヤが!?」





なんで・・・





ナオヤは
大人1人2人くらい
すぐに倒せるのに。





「その時、相手
5人くらいいたみたい。
流石にナオヤも1人じゃ・・・」





「い、今ナオヤは?」





「学校来てないって
先生言ってた。
もしかしたら、
犯人に捕まって・・・」





・・・そんなの
絶対許せない!!





「私、ちょっと
行ってくる!」





「えっ! アム!?」





ナオヤは無愛想で
クールで
あまり笑わない。





でも・・・





『アム、武器を
持ってるやつ多いから、
気をつけろよ』





『ちゃんと冷やして
早く治せよ』





しっかりと、
人を見てて、
気遣いができる。





『俺はお前の強さを知ってる。
もっと強くなって欲しいだけだ』





人に誤解されてもいい。





私がちゃんと
強くなってくれれば
それでいい。





ナオヤは
そう考えるのだろう。





「ごめんナオヤ。
やっと気づいた。
ナオヤの優しいところ」





守り、守られ。





ナオヤの相棒として、
私がナオヤを守るんだ。













*。・——————-・。*





昨日行ったところに
たどり着いた。





「ナオヤっ!!」





「・・・やっと来た。
ナオヤくんの相棒ちゃん。
昨日はよくもボスたちを
倒してくれたな」





空き巣事件の犯人、
まだ残ってたんだ。





「バカっ!!
お前なんで来たんだ!」





「ナオヤは、
私の相棒だから!
相棒のピンチに
動かずにいられるか!」





私は拳に力を込める。





「ナオヤ、大人しく
待っとけえぇ!!」





私はそう叫びながら
走り出す。





振り落とされる
鉄パイプを避け、
足を払い転ばせる。





1人2人3人と、
練習して来た技を
使っていく。





・・・そしてラストは、





「スペシャル
アムアタック!」





相手を投げ飛ばした。





「ナオヤ! 大丈夫!?」





そう聞くと、ナオヤは、
微笑を浮かべていた。





「なんだよ、最後の
スペシャルアムアタックって・・・」





ナオヤが・・・
笑ってる。





「昨日作ったんだけど・・・」





「いんじゃね?
決まってたし」





ナオヤが私を褒めた!





私はナオヤの手首に
巻き付けられていた
ロープを解く。





「よし、
ロープ外れたよ」





「おう・・・
あっ! アム、
危ねぇ!」





「へっ・・・?」





ガシャーン!





上に積まれていた
鉄パイプが
数本落ちて来た。





私はナオヤの腕の中。





ナオヤが私を
引き寄せてくれたのだ。





「怪我はねーか?」





「あ、ありがと」





・・・なんか
ナオヤを見てると、
ドキドキする。





しばらく無言が続き、
ナオヤが口を開く。





「・・・もし、昨日
俺よりもお前が先に帰って、
空き巣事件の犯人に会ってたら
って考えると・・・
震え止まんねーわ」





ナオヤは私の肩に
おでこをつける。





「本当に、
お前が無事でよかった」





「ナオヤ・・・」





すると、ナオヤは、
私をじっと見つめて言った。





「・・・こういうことが
今後またあるかもしれねーから、
学校でも学校以外でも、
お前、今日からずっと、
俺の側にいろよ」





それだけ言って、
立ち上がり、
歩き出した。





「え、何! 告白っ!?」





「うるせー」





「否定しないってことは、
告白!?」





紀田ナオヤが相棒かつ
彼氏になった瞬間でした。







*end*

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