特別な通学路

CAST中瀬梨里

作者：ゆっきん

2025.12.12

どこにでもあるような住宅街。

私のお気に入りの道。

嫌なことがあって
いつもとちがう道で帰りたくて
たまたま通った道。

こんにちは！
中瀬リリです！

ここは、私のお気に入りの通学路。

ちょっと遠回りだけど
通りたい。

またあの人に
会える気がするから。

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───

学校で嫌なことがあった日。

いつもとちがう道で帰りたくて
遠回りをすることにしたの。

泣きながらひとりで
歩いていたら・・・

？「なんで泣いてるの？
だいじょうぶ？」

そんなやさしい声が
聞こえた。

リリ「だいじょうぶです・・・」

？「ほんとに？」

リリ「心配してくれて
ありがとうございます」

？「名前は？」

リリ「へ？　中瀬リリです」

？「へー。いい名前じゃん！
俺、竹内リュウト」

リリ「リュウトくん・・・」

リュウト「おう！　よろしくな！
気をつけて帰れよ」

最初は不思議な人だと
思った。

でもね、いつの間にか
遠回りのこの道を通って
帰るようになった。

リュウトくんに
会いたくて。

そう。

誰も知らない
秘密の恋。

・＊。・　ある日　・。＊・

いつも通り、特別な道で
帰っていた。

そしたら。

？「ねーねー。
俺たちと遊ばない？」

チャラい声が
聞こえた。

私は下を向いたまま
無視してた。

？「無視すんなよ～」

もう１人が言った。

それでも無視をした。

？「へー。
いい度胸してんじゃん」

ガシッ！

腕を捕まれた。

リリ「離して・・・！」

？「やーだよ」

？「ナツ。
こいつどうする？」

ナツ「そーだなー。
どうしたい？　イルマ」

イルマ「とりあえず
連れてきましょうよ」

ナツ「そーするか」

助けて・・・！

？「あれ？
ナツとイルマ
なにしてんのー？」

ナツ「おっ。リュウト！
ナンパしてるー笑」

リュウトくん!?

リュウト「えー。楽しそうじゃん」

楽し・・・そう・・・？

ナツ「だろ！　一緒に
どーするか決めよーぜ」

リュウト「お！　いいねー。
・・・ん？　こいつ・・・」

イルマ「はやく行こーぜ」

リュウト「・・・お前ら、先いっててよ」

ナツ「なんでだよー」

リュウト「いいじゃん。
行っててー」

ナツ「わかった。
行こーぜ、イルマ」

イルマ「おう！」

・・・

リュウト「・・・リリ？」

リリ「・・・うん」

リュウト「怖かった？」

リリ「当たり前じゃん。
リュウトくんって
チャラい人だったんだね。
ずっといい人だと思ってたのに！」

私は悲しかった。

悲しくて悲しくて、
その場を逃げ出した。

ガシッ！

さっきと同じように
捕まれた腕。

でも、さっきとはちがくて
やさしい。

リュウト「俺は、チャラいか？」

リリ「わかんない」

リュウト「ん？」

リリ「リュウトくんは
やさしかったり、チャラかったりで
わかんないよ！」

ギュッ！

あったかい。
やさしい温もりがする。

リュウト「これでも
チャラいって思う？」

リリ「・・・思わない」

リュウト「俺、リリが好き」

リリ「え？」

リュウト「初めてリリと会ったとき
泣いてたじゃん？
守ってやりたいって思った」

リリ「うん」

リュウト「リリと会ってから
毎日この道を通るようにしたんだ。
また会いたくて」

うそ。

私と同じことを
リュウトくんが・・・？

リュウト「好きだ。
リリ、つきあって？
俺がお前をまもるから」

リリ「ずっと守って。
大好き・・・！」

＊ｅｎｄ＊