にぎやかな陸上部
作者:まるぱん
ユナ「本当に大丈夫?
男子しか
いないらしいよ?」
ルミ「大丈夫だって!
てか、その方が気楽だし?」
私、榎本月海!
高校1年生!
親友のユナと
何の部活に入るか
きめているところだよー。
私は、陸上部に入部しようと
思っているんだけど、
男子しかいないから
ユナは心配してくれてるってわけ。
もー。
全く、ユナは
心配性なんだからー。
私、もう、高校生だよ!?
ルミ「じゃ、入部届
出してくるねー!」
ビューッ!
私の特技は、走ること。
でも、私みたいに
学校の廊下を
走っちゃダメだよー。
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
陸上部入部初日。
ルミ「榎本月海です!
短距離パートになりたいです!
よろしくお願いします!」
えっと・・・
1年生って、私だけ・・・?
さすがに、
先輩しかいないのは
こたえるよー。
ナツ「遅れてすみません!
ナツです!
ハードルパートになりたいです!
よろしくお願いします!」
リョウ「遅れてすみません!
リョウです!
投てきパートになりたいです!
よろしくお願いします!」
ほっ。
他にも1年生、いた!
陸上部には、
3年生のイルマ先輩、
テルノスケ先輩、
リョウスケ先輩、
2年生のダイジ先輩、
ハルト先輩、タイヨウ先輩、
1年生のナツくん、
リョウくんがいるのか。
これからの目安に
100m走のタイムを
計ったよ!
記録は・・・13秒94。
テルノスケ、ナツ「僕より速い・・・」
ハルト、リョウ「俺より速い・・・」
あっ、・・・
御愁傷様です。
イルマ「期待の新人だな!」
リョウスケ「塩分チャージどうぞ。
1つおまけしてるよ!」
テルノスケ「ルミのだけ
塩分チャージ多い!」
リョウスケ「別にいいじゃーん!」
ハルト「好きな食べ物、何?」
ルミ「フレンチトーストです」
ハルト「俺は、カレーライス」
定番で、みんな大好きな
カレーライスかー。
ふふっ。
ハルト「何笑ってんだよ」
ルミ「ハルト先輩でも
カレーライス好きなんだなーって!」
ハルト「『先輩』・・・
いい響きだな」
ルミ「何か言いましたか?」
ハルト「いや、何もない。
好きな果物は?」
ルミ「苺です!」
ハルト「俺は、ぶどう」
そうなんだー。
ハルト先輩の好みが
分かって良かった!
あっ、タイヨウ先輩!
あはははは。
タイヨウ先輩ってさ、
「たんっ、きょりっ、グミ!」
とか、いつも言ってて、
とても面白い人なんだ!
タイヨウ「俺、何も
言ってないけど!
何か面白いのか!?」
ルミ「タイヨウ先輩、
いつも面白いから、
顔を見たら
笑けてくるようになって
しまいました・・・(笑)」
タイヨウ「何かひどいな!(笑)」
イルマ「おっ、榎本!
陸上部には、なじめたか?」
ルミ「はいっ!
みんな優しいので!」
イルマ「それはよかった。
俺はキャプテンだから
話しかけづらいかもしれないが、
遠慮せずに
話しかけにきてほしい」
ルミ「分かりました」
ルミ「あっ、ナツくん、リョウくん!
今日の部活って何するの?」
ナツ「外周らしいよ」
リョウ「それよりさ・・・」
ナツ、リョウ「呼び捨てで呼んで!」
ルミ「ナツ、リョウ・・・?」
ナツ、リョウ「そう!」
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
今日は、初めての大会!
ゼッケンをもらったし、
スパイクも買ったし!
やる気マンマンだよ!
開会式は、男子2人、
女子2人必要なんだけど、
女子は私1人しかいないから、
ハルト先輩が女装して
出ることになったよ!
男子に女装させるって・・・
ニコラ学園って、
どうなってるんだろう・・・
ルミ「ヘアアレンジどうしますか?
いろいろできますけど・・・
ハーフアップ、ツインテール、
お団子、編み込み、みつあみに・・・」
ハルト「ハーフアップで・・・」
ルミ「似合ってますよー!」
ハルト「そう?
俺って、女装の才能あるかも?」
私は、今日、100m走に
出るんだ!
「いちについて、よーい、どん!」が
大会では
「オンユアマーク、セット、パン!」
ってなるから、
ちょっと緊張してる。
ついに私の番がきた。
足のサイズで
スタブロを合わせて。
試しに少し走る。
「オンユアマーク」
一礼をして、
ちょっと跳ぶ。
ももあげとかもする。
視線は真っ直ぐ前、
ゴールの場所。
「セット」
腰を上げる。
今日が私にとって
初めての大会で、
まだまだ
分かんないとこだらけの
新人だけど、
負けたくない。
私は、本気なんだ!
ダッ!
パァン!
パァンパァンパァン!
ピストルが
3回鳴った。
何があったんだろう。
みんな立ち止まった。
私も立ち止まった。
審判の人が
私の前にきて、
こう告げる。
「失格です。
辞退してください」
赤いカードを掲げて。
えっ!?
フライング1回で
退場って、知らなかった!
初めての大会、走れずに
終わっちゃったことが
悔しくて。
陸上競技場の
隅っこで泣いていた。
ダイジ「ルミ、どうした?」
あ。ダイジ先輩。
私は、さっきのことを
話した。
ダイジ「誰だって
失敗することはある。
気にすんなよ」
そう言って、私のことを
優しく抱きしめてくれた。
ダイジ先輩、
優しいな・・・
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
リョウ「ルミ遅いなあ」
テルノスケ「ルミ、
休みとかじゃないよね!?」
ハルト「ルミまだ!?」
イルマ「ごほん。
ちょうど榎本がいないから言う。
が、俺は、榎本のこと好きだ。
薄々気づいていたが、
みんな榎本のこと、好きだろ?」
全員「もちろん!」
イルマ「じゃあ、今日、
みんなで榎本に告ろうぜ!」
テルノスケ「いいじゃん!」
ナツ「望むところだ!」
イルマ「ただし、
誰が結ばれても
恨みっこなしな!」
タイヨウ「ルミが来るときが
楽しみ!」
ガラッ。
ルミ「みんないる!
もしかして、
私、遅れちゃいました!?
遅れてすみません!」
イルマ「遅れてないぞ」
リョウスケ「そろそろ
始めようと思っていた
ところだよ」
テルノスケ「全っ然、大丈夫!」
ダイジ「間に合ってるよ」
良かったあ・・・
イルマ「俺は、榎本のことが好きだ!
付き合ってくれ!」
・・・?
リョウスケ「僕もルミのことが好き!
前に、塩分チャージ
多くあげたことあったよね?
僕にとってルミは特別だから
そうしたんだよ?
付き合ってくれないかな?」
!
テルノスケ「ルミ大好き!
100m走負けたときは
『こいつ何だよ。』って
思ったけど
ルミ、いい子だったから許せた!
付き合って!」
テルノスケ先輩にとって、
私の第一印象って、
悪かったんだ・・・
ダイジ「ルミを愛してる。
俺がルミにハグしたとき、
嫌じゃなかった?
もし、嫌じゃなかったら、
俺と付き合って?」
全然嫌じゃなかった・・・(照)
ハルト「俺、1番最初に
ルミに話しかけたの覚えてる?
『好きな食べ物、何?』って。
陸上部に女子来たの、初めてで、
テンパってた。
女装したのも楽しかった。
こんな俺でも、好きになれる?」
楽しかった、けど・・・
「恋」じゃないような・・・
タイヨウ「ルミは俺のこと
絶対に恋なんてしてないって思う。
でも、俺は、0%の確率にかけて
告白する!
この想い、届いた?」
タイヨウ先輩は・・・
一緒にいたら気持ちが明るくなる、
ムードメーカー的な?
「0%」って、
確率ないじゃん(笑)
ナツ「ルミ可愛い!
って、顔だけで
すきになったわけじゃないよ。
優しかったし!
同じクラスだし、
近くでルミのことを
支えていたいんだ!」
「可愛い」は
お世辞だよ・・・(泣)
リョウ「ルミと一緒に
部活ができる日々が
とても楽しい! 本当に幸せ!
だけど、恋人としての
幸せもほしい!」
その願いは
叶えることはできないかも・・・
ごめんね・・・
ルミ「私、ダイジ先輩と
お付き合いします!」
ダイジ「やった!」
テルノスケ「ダイジ・・・(恨)」
リョウスケ「こらこら、
テルノスケ!
恨みっこなしって
決めただろ?」
ハルト「イルマ先輩さあ、
名字呼びでは勝ち目ないと
思ってました」
タイヨウ「みんな『ルミ』って
呼んでますし」
ダイジ「あと、告白の文が
短かすぎです」
ナツ「リョウスケ先輩、
餌付けしたらだめです」
リョウ「テルノスケ先輩、
マイナスのことは
言わないほうがいいですよ」
イルマ「いつハグしたんだ!?」
ダイジ「内緒です!」
テルノスケ「ずるーい!
俺もルミとハグしたいー!」
ルミ「しますか?」
テルノスケ「いいの!?」
ダイジ「ダメです」
テルノスケ「ダイジ君のケチー」
イルマ「あきらめないからな」
リョウスケ「俺のとこにおいでよ!」
テルノスケ「惚れさせてみせる!」
ハルト「悔しい・・・」
タイヨウ「お幸せに・・・」
ナツ「まあ、僕たちにだって、
まだチャンスはありますし?」
リョウ「ダイジ先輩、
うかうかしてたら
だめですよ!」
ダイジ「ダイジの名にかけて、
ルミを一生大事にすると
誓います!」
テルノスケ「ダイジとルミ、
結婚するの!?」
イルマ「はあ!?」
リョウスケ「ルミと
結婚するのは俺だ!」
ナツ「僕ですよ!」
ルミ「結婚まで
考えてくれていたんですか?」
ダイジ「ああ」
タイヨウ「病める時も、
健やかなるときも、
永遠の愛を誓うことができますか?」
イルマ「結婚式ムードつくるな!」
テルノスケ「ルミのこと
好きだったんじゃなかったの!?」
タイヨウ「過去形にするな!
それでは、誓いのキスを・・・」
イルマ「絶対にさせるな!」
ダイジ「なんでですか!?」
ルミ「ええ!?」
ダイジ以外の男子「ルミには
アプローチし続けるから、
覚悟しとけよ!」
ダイジ「ハイハイ。
ルミは、俺に好きって
言ってくれたんだから、
大丈夫ですー」
イルマ「憎らしい後輩を
もったもんだ」
今日も、にぎやかな
陸上部です!
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
榎本 月海
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