筆は、私達を描く

CAST榎本 月海榎本 月海

作者:森かえで

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.09.16

プルルルッ、
プルルルッ





───発信元・全国書道
パフォーマンス大会事務局





ルミ「はいもしもし。
ニコラ学院中等部の榎本です。
・・・・・本当ですか?
ありがとうございます!
はい、はい・・・・・」





プープープー・・・













・ ニコラ学院中等部 書道部部室 ・





ルミ「アンジ、カホ、
コハナ、フタバ聞いて!
書パフォ中学5人の部、
うちらが
東京都代表になったよ!」





カホ「本当に!?
やった~!」





コハナ「ルミ先輩、
やったですね!
ね、フタバ!」





フタバ「そうだね、
コハナ~っ」





私、榎本ルミ。
ニコラ学院中等部3年で
書道部部長。





副部長で中3の河村カホ、
中2の有坂コハナ、
小松崎フタバと、
ニコラ学院中等部ダンス部部長の
中3・池端アンジの5人で、
全国書道パフォーマンス大会
中学生5人の部東京都予選に
エントリーし、見事に予選突破!





ルミ「あれ? アンジは?」





カホ「アンジなら、
先にダンス部に顔を出すって
言ってたよ」





ルミ「リョーカイ!
じゃ、今日は
練習用の紙をつくるよーっ!」





カホ・コハナ・フタバ「オーッ!!」





書道パフォーマンスとは、
音楽などに合わせて
文字を書くことを言うよ。





毎年パフォーマンスは
変えるから、
振りはダンス部に
つけてもらってる。





私は、全国書道選手権
中学生の部で
準優勝の実績があって、





コハナとフタバは、
地元のコンクールで
異例の優勝者2名になり、
地元では「ハナタバ」という
ユニットで活躍している、
幼なじみ2人組。





カホはダンスも
字も上手なんだけれど、
リーダーシップが
取れないから副部長。





アンジはダンスも字も
全国の強敵たちと
戦えるくらいの実力を持つ、
完璧少女!





そんな5人でチームを
組んでいるよ!





アンジ「おっはよ~!
ルミ、吉岡先生
(書道部顧問)から、
出場校一覧もらって来たよ」





ルミ「ありがと~!」





私達は作業の手を止め、
一覧をかじりつくように見た。





『京都代表新潮学園中等部』





ルミ「やっぱり今年も、
強豪新潮は出場か。
さっすが~」





京都代表の新潮学園は、
書パフォ中学5人の部の
優勝10回の名門校。
ちなみに去年の優勝校。





ルミ「ねぇ、文字どうする?
変える?」





カホ「変えなくていいと思うよ。
あとこれ、各自へのダメ出し。
後で読んでね」





カホから
受け取ったメモには、
適確なアドバイスが
書かれていた。





『ルミはコハナとの
筆の受け渡しが
手間取っていたから
スムーズになるようにしよう。
ダンスは上手くなってるよ!
カホより』





私達は全国大会まで
ダンスをキレッキレにしたり、
字のバランスの調整をしながら
練習をした。





私は、現部長の自分と
次期部長のコハナとの
共同で書く文字の練習をした。





もちろん、カホからの
ダメ出しも直したよ!





書道パフォーマンスで
使う筆は、普段使う筆より
すっごい大きい筆で書くから、
手がもげそうなくらいつらい。





けど、全国優勝のために、
日々精進しているよ!













・*。・ 全国大会当日 ・。*・





私達は、いち早く
他校のメンバー表に
目を通す。





No.4 京都代表新潮学園中等部
中学3年八田ハアト
中学3年野口ヨシト
中学3年有坂ユアン
中学2年犬飼タイヨウ
中学2年内田レン





あ、ハアトも
出場するんだ!
やった~!





八田ハアトは
私のいとこ。





字が上手で、
全国書道選手権
中学生の部で
優勝を2度取ったことのある
実力者で、
新潮学園中等部書道部部長。





ちなみに
私の初恋の相手。





フタバ「あれ?
野口ヨシトって・・・」





アンジ「コイツもダンス部だ。
向こうの部長・・・
絶対負けたくない相手!」





ルミ「アンジ
落ち着いてって・・・」





アンジは怒りか闘争心の
スイッチが入ると、
言葉遣いが荒くなるタイプ。





ストッパーのダンス部副部長
いないし、どうしよう・・・・





カホ「アンジッ!
怒り爆発させたら、
お昼のデザートの
イチゴ無しだよっ!」





アンジ「は、はいっ!」





アンジはイチゴが大好きで、
なんでも
イチゴさえあればつれる。





コハナ「・・・・・」





ルミ「コハナ、どうしたの?」





私は、新潮学園中等部の
メンバー表をかじりついて見る
コハナに声をかけた。





コハナ「な、なんでもないです」





ルミ「そっか。みんな!
うちらNo.10だから、
もう着替えて
準備するよ!」





アンジ・カホ・コハナ・フタバ「はい!!」





私達の衣装は、
黒袴に暖色系や寒色系を
合わせている。





中3が暖色系で
中2が寒色系。





カホ「ねぇ、出番まで
見にいこうよ」





カホの提案で、
出番まで他校の演技を
見ることに。





アナウンス「続きまして、
エントリーナンバー4。
京都代表、
新潮学園中等部です」





ハアトのところだ!





私は、演技が始まるとすぐに
ハアト達の世界に入り込んだ。





今年の課題は、四字熟語。





新潮は、
「飛花落葉」と書いた。





添えられている絵は、
散り落ちる花と葉。





それを6分間で
描き切るのがすごい・・・





それにハアトの筆さばき、
超かっこよかった!





メインの「飛花」を
書ききって、すごかった!





筆さばきからハアトの
感情が伝わってきた。





というかこんなに
応援したらダメだ!
ライバルだもん!





カホ「ルーミッ!
最終確認しよう」





ルミ「そうだね、カホ」





アナウンス「続きまして、
エントリーナンバー10。
東京代表、
ニコラ学院中等部です」





ルミ「行くよ」





カホ・アンジ・コハナ・フタバ「オーっ!」





私達は舞台の中央へ歩む。
縦4m×横6mの
紙の周りに集まり、
定位置に着く。





私が、絵の具の入った
片手鍋を手に取った瞬間に
曲が入る。





まず中3で絵を描く。
担当は、木の幹と散る花。





その間ヒマな
コハナ、フタバは
周りで踊っている。





よし、曲にのれてる!





カホとアンジと
息を合わせて描く絵は
とても楽しい。





ここで中2の
コハナ・フタバに
バトンタッチ。





2人は
流れる川を書く。





2人が描き始めると、
私は大筆を取る。





タイミングよく私は
文字を描きはじめる。





墨の入っているバケツは
カホが持っている。





私は心を込めて
「落花」を描く。





難しい、
大筆での右払い。





力加減を間違えると
へんてこりんな
漢字になっちゃう。





よし、OK!





タイミングよく
コハナにバトンタッチ。





コハナは「流水」と書く。





フタバは墨の入っている
バケツを持ちながら
踊るという、
過酷なことをしている。





その間、私達中3は
周りで踊る。





これが中学生生活最後の
書道パフォーマンスだと
思いながら・・・





学校名は
アンジが書いた。





アンジの優しい
筆づかいは、
誰も真似できない。





曲が終わる30秒前に
私は印を押す。





この印は、
70年の歴史を持つ
ニコラ学院書道部の印だ。





よし、できた!





曲が終わる。





楽しかったこの5人での
書パフォも、今日で終わり。





ルミ「ありがとうございました!」





カホ・アンジ・コハナ・フタバ
「ありがとうございました!」













・*。・ 結果発表中 ・。*・





入賞20校が呼ばれたが、
ニコラ学院中等部は
呼ばれてない。





次か次で
呼ばれなければ賞なし。





それだけは
絶対にイヤだ!





アナウンサー「準優勝、
新潮学園中等部」





ハアト、
準優勝おめでとう。





アナウンサー「優勝、
ニコラ学院中等部」





ウソッ、優勝!?





カホ「ルミ~ッ!
優勝だよ!
やっだ~!」





ルミ「うん、優勝!
って、カホ、泣きすぎ!」





私達5名は
泣き笑い状態で
表彰式に突入した。





表彰状を受け取ったカホ、
盾を受け取ったコハナ、
トロフィーを受け取った私の3人は、
新聞社の人たちに写真を撮られた。





明日の新聞に載るらしい。





ルミ「コハナ。
書道部、任せたよ」





コハナ「はい!
任せてください!」





そんなやり取りをしながら
帰りの支度をしていると、
新潮が近づいてきた。





ハアト「ルミ、
優勝おめでとう。
完敗だった」





ルミ「ハアトこそ
準優勝、おめでとう。
私にとっての
優勝は新潮だったよ」





ハアト「ありがとな。
そういやルミ。
俺、来年から
東京の高校に
行くことになった。
どこかわかるか?」





ルミ「わかるわけないでしょ」





ハアト「だよな。
来年から共学になる
ニコ学」





ルミ「な、なんで?」





すると、ハアトが口を
私の耳元に近づけた。





ハアト「ルミと同じ高校に
通いたいんだよ」





え!?





私は動揺しつつ
話を変えようと慌てる。





ルミ「ね、ねねねねコハナ。
き、今日の朝から
ボーっとしているけど、
どうしたの?」





コハナ「そこにいる
有坂ユアン、
私の兄なんです」





ルミ・ハアト「ええぇ!?」





ユアン「コハナ、
久しぶり。
元気だったか?」





コハナ「元気に
決まっているでしょ」





仲いいなぁ、
コハナ。





カホ「ルミ~っ!
コハナ~っ!
先に帰るよ!」





ルミ「は~い!
それじゃ、またね、
ハアト」





私とコハナが
去っていくと
ハアトが追っかけてきた。





ハアト「ルミ。
全国書道選手権中学生の部で、
返事待ってる」





返事・・・?
あれ、こ、告白だったの!?





私がビックリしている間に、
ハアトはチームメイト達と
去っていった。





そして、私もコハナに
引っ張られながら
会場を去って行った。













・。・。・。・。・。・。・。・。





翌日・・・





私とハアトは
自室にこもって
書道をしていた。





書道をしていれば
相手に会える。
そう信じて・・・・・!





筆は、私達を描いていた。







*end*

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