「タイヨウケーキ」から始まる私たち

CAST関谷瑠紀

作者：じゃが

2022.09.10

私は、高校１年生のルキ。

ルキ「えーっ、おつかい？
今ニコラ読んでるんだよ」

誌面のゆななが
かわいすぎて、
目を離したくないのに。

牛乳とほうれん草を
買ってきてくれって
言われた。

ルキ「へえ、今日の夕飯は
シチューか。
まあいいよ。行ってくる」

それでママは、余分に
２千円持たせてくれた。

ルキ「えへへ。
このお金、
何に使おうかなあ」

スーパーで牛乳と
ほうれん草を買ったあと、
近くのケーキ屋さんに行った。

ルキ「ふうん。
タイヨウケーキ。
・・・ちょっと
名前はダサいな」

でも見た目はかわいくて、
勝手に足が動き始めた。

カランカラン。

店員「いらっしゃいませ。
太陽です」

ルキ「あ、こんにちは」

太陽「お客さん、
ラッキーですね！
今ちょうど、
新作ができあがった
ところなんです」

ルキ「ほんとですか！
じゃあそれ、
それ買います！」

太陽「ありがとうございます」

わあ、おいしそう・・・！

ほんのり
いちごの香りがする。

ルキ「あの、ここで
食べてもいいですか？」

太陽「もちろん」

早く食べたーい！

ルキ「いっただっきまーす」

ぱくり。
ふんふん。おいしい！

ルキ「濃厚な生クリームと
甘酸っぱいいちごがすごく合う！
クリームはいちごと合わせることで
くどくないし、
それにこのチョコソースが
さらにおいしくしてる！
クリーミー、甘酸っぱい、とろける甘さ。
これって最高！　夢みたい！
それにこのタルトが
サクッサクでおいしい！
私タルト、大好きなんです」

あ、やば、
しゃべりすぎた・・・！

太陽「・・・ぶはっ！
こんなに言ってくれる
お客さん初めて！
キミ、めっちゃいい子だね。
気に入っちゃった！
名前、なんていうの？」

ルキ「・・・えっと、
関谷、ルキです」

太陽「へえ、ルキ。
僕は犬飼太陽」

ルキ「あの、
これほんとにおいしいです」

太陽「もうわかったって。
十分、わかった。
ほんとに好きだなあ。
よかったらさ、また来てよ。
おいしいケーキ作って
待ってるから」

ルキ「はい！
また来ます」

それから私は、毎月１回
お小遣いを持って
「タイヨウケーキ」に行った。

太陽くんは毎回、
新しいケーキを
食べさせてくれた。

そして今月、８月は
私の誕生日。

太陽「ハッピーバースデー！
ルキ！」

ルキ「え？　え？　え！」

お店には「ル」と「キ」、
「ハッピーバースデー」の風船。

数えきれないくらい
たくさんの、
カラフルな風船。

太陽「ルキ、
お誕生日おめでとう！」

ルキ「うそ!?
うれしすぎるー!!!」

涙が止まらなくて、
それと同時に
太陽くんへの思いが
あふれてきた。

ルキ「私、太陽くんが好き！
好きなの！」

あ、言っちゃった。

太陽「僕もルキが大好き！」

ルキ「うそ！」

太陽「付き合って下さい！」

ルキ「もちろん！」

私たちは両想い。
カップルになったんだ！

ルキ「あ、そういえば。
なんで私の誕生日
知ってたの？」

太陽「・・・言いにくいんだけどさ。
僕、ニコラ学園
通ってるんだよね」

ルキ「!?」

太陽「しかも
ルキとおんなじ、高１」

ルキ「あ！　あー！
そういえば！
クラスは違うけど、
友達が太陽くんイケメンって！
ケーキ屋さんのこと
言ってるのかと」

太陽「そう、ルキって
天然なとこあるから
言いにくくて」

ルキ「ごめん！
マジごめん！」

太陽「そう、
だから誕生日は
ルキの友達に
フツーに聞いた」

ルキ「なんだ！
私バカじゃん！
ごめーん」

太陽「全然いいよ。
そういうところも
好きだから」

ルキ「・・・そう
言ってくれるところ、
大好きだから！」

こういうの、
慣れてなくて照れる！

でもこれから
太陽くんといたら、
どんどん慣れていきそう・・・！

＊ｅｎｄ＊