どんなキミでも
作者:希代実
こんにちは、
私の名前はルミ!
私が生きるこの世界は、
魔界なんです!
私は今、15歳。
15歳になると、
魔界から地上まで登って、
運命の人を探しにいかなくては
ならないルールがあるんです!
魔界の王、コハナ様と
エイト様に認められなければ、
私はこの世から
捨てられてしまう・・・
そんな世界なんです。
ニコラ魔法学園で
修業を積み重ね、13年。
2歳の時からずっと
通い続けているこの学園に、
大親友がいます。
ルミ「フタバ! おはよう~」
フタバ「ルミ!
遅くなってゴメンね!」
フタバはコハナ様と
双子の姉妹なの。
フタバ「ついに、今日から
憧れの地上に行けるのだわ!」
ルミ「そうね。
私達にとっては
すごく憧れよね」
フタバ「運命の方に
お会いしたいわ。
コハナとエイト様のような!」
ルミ「期間は1か月。
ちゃんと見つけられるかしら」
フタバ「大丈夫よ!
ちなみに、私は
高知県に設定されてるわ」
ルミ「私は佐賀県ってところよ。
どこなのかしら?」
フタバ「さぁ・・・
無事に戻れればいいわね」
ルミ「捨てられる、つまり
死んでしまうってことよ」
本当に怖い世界。
私のお父様もお母様も
同じ体験をされたのだわ。
なにがなんでも、
この命は守らなくては!
ルミ「大丈夫よ、絶対!
無事を祈ってるわ、フタバ」
フタバ「そうね、
私も祈ってるわ、ルミ」
ルミ「では、さよなら!」
フタバ「さよなら!」
私達はお互い違う
エスカレーターに乗った。
下を見下ろすと、
お父様とお母様が
手を振っていた。
さぁ、行こう!!
~地上~
ルミ「ふー、
ようやく着いたわ・・・」
ここが地上なのね。
てか、人多いなぁ!!
ルミ「えーっと、
ここにはどうやって行けば?」
エイト様から頂いた地図は、
全然分からない。
その時。
ドンッ
ルミ「いたたた・・・」
?「大丈夫!? ゴメンな!」
ルミ「え? どなた?」
?「俺は、内田レン。
ケガしてない?」
ルミ「あ、いえ大丈夫よ。
そちらこそ・・・」
レン「全然問題ないよ。
なにか困ってるの?」
この人、エスパーなの!?
天使だわっ!
ルミ「この、キズナ学園まで
連れて行って下さらない?」
レン「キズナ学園?
そこ、俺も通ってるよ!」
ルミ「本当ですか!」
レン「ちょうど今、
登校中なんだ。
一緒に行こう」
ルミ「はい!」
内田レン様ね。
とても
いい方だこと・・・
笑顔も素敵だし。
~キズナ学園~
レン「着いたよ!
ここが学園な」
ルミ「大きいですね」
レン「転校生だね、
じゃあ職員室に行こう」
ルミ「はい!!」
すると。
レイナ「ルミ様!? ルミ様~!」
ルミ「え、レイナ!?
うそー!」
レン「なになに、知り合い?」
ルミ「はい、同じ魔界の・・・」
しまった、
魔界に住んでるってことは
知られてはいけなかった。
ルミ「知り合いです!」
レイナ「お会いできるなんて、
嬉しいです!」
ルミ「もう運命の方とは
お会いできたの?」
レイナ「はい!
オオゾラ様と言われる方です。
とても優しく、素敵な方ですよ」
ルミ「良かったわね。
私は今からよ」
レイナ「そちらの方は・・・」
レン「あ、俺?
俺は内田レン・・・」
レイナ「きゃーっ、
内田くんよ!」
ミアン「内田くーん!
今日もかっこいいね!」
レン「ありがとう・・・」
ルミ「すごいファンの方たちね」
レイナ「はい、学園一の
イケメンとまで言われております」
そっかぁ、
じゃあ私なんか・・・
レン「ごめん、俺、用事あるから」
ミアン「えー、いいじゃない。
一緒にカラオケ行きましょうよ」
レン「ダメ。
こいつと一緒だから」
私はギュッと
肩を抱きしめられた。
ルミ「レン様・・・!」
レイナ「・・・・・」
レン「んじゃっ」
どうしましょう、
きっと私のせいでレン様・・・
レン「1人には
させないからな」
それって、どういう
意味なのでしょうか。
先生「ルミさんですね、
これから宜しくね」
ルミ「よ、宜しくお願いいたします」
先生「内田くんってば、
もう15時なのに」
レン「すんません。
寝坊しちゃって」
レン様は、
サボリ魔らしい。
レン「じゃ、またな」
ルミ「はい、さよなら」
うーん、
レン様ってまるで、
王子様のようだわ。
フタバ、どんな方と
結ばれるのかしら。
ルミ「えっ、もうこんな時間!」
大変。
地上と魔界の
時間のスピードは
全然違う。
地上は遅くて、
魔界は本当に早いの。
1か月、
地上の時間でいえば、
3日間しかないの!
ルミ「どうしよう・・・」
期間は、あと2日。
私が好きな方って・・・
~次の日~
ルミ「・・・・・」
一晩考えてみたけど、
レン様は私をただ
気づかって下さっているだけで、
別に好意を
持たれているわけではない。
てなわけで、
また違う方を見つけなくては!
ミアン「きゃーっ!
内田くん、頑張れ~!」
レイナ「やったぁ、
シュートだ!!」
なになに?
ミアン「やっぱり、内田くんは
男バスの中で1番のエースよね」
レイナ「そうそう!
内田くんラブ~!!」
レン「おっ、ルミちゃんじゃん!
おはよう!!」
ルミ「え・・・」
こんな遠いのに
気づいてくれたの?
まさか・・・ね。
レン「今日は一緒に
校内をまわろうか」
ルミ「よろしいのですか?」
レン「もちろん!
じゃ、ちょっと待ってて」
ルミ「はい」
なぜだろう。
レン様が私の近くにいる時、
絶対ドキドキしてしまうの。
胸がすごく高鳴って。
~校内で~
レン「で、ここが
多目的ホールだよ」
ルミ「広いですね」
レン「ここはほとんど
人がいないから、
読書とかにおすすめだよ」
ルミ「・・・・・」
ほら、また
急にドキドキしてきた。
レン「どうしたの?」
ルミ「あのね、レン様。
私、レン様と一緒にいると
胸がドキドキするんです。
こんなこと初めてで、
良く分かんなくて・・・」
レン「それってさ、、、」
急にレン様の顔が
真剣になった。
レン「俺が好きってこと?」
ルミ「えっ!?!?」
うそ・・・
そうなの!?
このキモチって、
好きってことなの?
レン「今、思いっきり
告白したよねw」
ルミ「いや、えっと・・・」
どうしよ、
どうしよーーーーー!
でも!!
ルミ「わ、私はっっ」
レン「俺、ルミちゃんのこと好きだ」
ルミ「え!」
ウソ、まさかの逆告白に
なってしまいました・・・
じゃあ、これで!
・・・・・・・・・
あ、大事なこと忘れてた。
私は魔界に住んでいる。
私は、魔女。
私は、人間ではない。
・・・・・・
レン「えっと・・・、返事は?」
ルミ「実は・・・」
正直に言おう。
ルミ「私、人間ではないんです」
レン「え?」
ルミ「私は魔界に住んでいて、
魔界では15歳になると
運命の方を探すために
地上に来るんです」
レン「・・・・・」
ルミ「私も、、レン様が
好きになってしまいました」
沈黙。
レン「ごめん」
あ・・・・・・
レン「考えさせて。
明日、また話そう」
やっぱり・・・
~公園~
ルミ「はぁ・・・」
レン様の気持ちは分かる。
地上でもっといい恋が
出来るだろう。
私は魔女だし、
他の女の子たちとは違う。
ルミ「あーあ」
このままだと、私は・・・
~校庭~
ルミ「すみません、
急にお呼び出ししてしまって」
レン「いや、いいけど」
これで、これでいいんだ。
ルミ「昨日の告白は
なかったことにして下さい」
レン「は?」
ルミ「・・・さよなら!」
その場を走り出した。
涙がとまらない。
きっと、明日になれば
私は魔界に連れ戻され、
捨てられる処分を受けることとなる。
レン様も失う。
全てを失ってしまうのだ。
レン「おい! 待てよ!!」
レン様!?
すごい勢いで
私を追ってくる。
ルミ「来ないでください!」
レン「だから、待てって!」
ギュっ。
腕をつかまれた。
ルミ「離して下さい!」
レン「まだ俺、
返事してないだろ」
聞きたくもない・・・
きっと、やっぱり
ゴメンって言われる。
レン「俺、やっぱり
ルミちゃんが好きだ」
えっ!?
レン「どんなキミでもいい。
俺はキミに恋したんだ。
かわりなんていないよ」
ルミ「レン様・・・」
レン「俺はどうなってもいい。
でも、この想いを
なかったことにはしないで」
気付けば、私は
レン様の腕に抱かれていた。
レン「好きだ、ルミ」
ルミ「私もです、レン様」
パァァァァぁぁぁぁぁ!!
ルミ「きゃっ!」
渦が巻き始め、
私は気を失った。
~夢~
コハナ「起きなさい、ルミ」
ルミ(この声・・・)
コハナ「レン様、良いお方ですね。
あなたはこれで、人間になれます」
エイト「これからは、
人間界で生きていきなさい」
コハナ「たまには
魔界に帰って来なさい」
エイト「魔界への入り口は、
キズナ学園の校庭です」
コハナ「お幸せに・・・」
―――――――――――――――
―――――――――――
―――――――
レン「大丈夫? ルミ」
ルミ「ん・・・」
ここは・・・?
レン「教室だよ。
急に倒れたから連れて来たんだ」
ルミ「うそっ、ごめんなさい!」
あれは、夢だったのかな?
私、人間になれたのかな?
レン「あ、さっきな。
コハナって人とエイトって人が来て、
俺にこれからもよろしくお願いします、
って言われて」
ルミ「えっ、それって
魔界の王のコハナ様よ!」
レン「そうなのか?」
夢じゃなかったってことかな?
レン「絶対幸せにするから。
泣かせたりしない。
大事にする」
ルミ「ハイ、お願いします!」
こうして、私達は
無事に結ばれました・・・!
~帰り道~
フタバ「ルミーーー!」
ルミ「えっ、フタバ!?
なぜここに?」
フタバ「今、コハナとエイト様に
お会いして、
こちらにひとっ跳びで来たの」
ルミ「そうなのね!」
フタバ「私の運命の方は、
タイヨウ様よ」
ルミ「私はレン様って方」
フタバ「良かったぁ、
2人とも無事だったわね!」
本当に。
レン様、ダイスキです。
これからも、ずーっと永遠に。
~END~
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。
榎本 月海
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