みんなの普通と「俺の普通」

CAST林 美央子林 美央子

作者:まんじつ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.03.20

心と体は
繋がっている。





そんな言葉がある。





でも・・・。





俺はその言葉が
正しいとは思わない。













* * * * *





夕方。





カーテンを閉め切った
薄暗い部屋。





ふと、昔のことを
思い出していた。





あれは3歳のこと・・・







―――――――――
――――






俺の通っていた
ニコラ保育園。





男子は、戦いごっこ。
女子は、おままごと。





これがみんなの普通。





当然、見た目が女子の俺は
おままごとに分類されていた。





それが嫌で嫌で
仕方なかった。





だって俺は
男・・・なのに。





それが、俺の普通。
だけど。





幼いながらでも
わかっていた。





俺は、普通じゃない
ってコトに。













* * * * *





そういうひとが
世の中にいる。





そう知ったのは
2年生のころだと思う。





ローマ字は
わかんないから、
ひらがなのキーボードで。
調べてみた。





「トランスジェンダー」





その言葉が出てきた。





世の中に
俺と同じ、人がいて
みんな苦しんでいて。





ふっと心が軽くなったけど、





もっと知りたい。





その一心で
俺はいろんなサイトを
あさったんだっけな。





そして、、





「トランスジェンダーきもい」





「おとこおんな」





「トランスジェンダー。
いじめたった」





そんなサイトを
みて、しまった。





軽くなった心が
また、重くなったような。





麻痺してしまったような。





俺らの普通、、、





普通と普通の
食い違い。





これは隠さないと。





そう思った。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





気がついたら
日が沈みかけていた。





頬を伝う「涙」





その涙に
気がつかないふりをして、
部屋を出た。













* * * * *





お母さん「美央子。
ごはんもう少しで
できるからね」





お母さん、、、。





あんなことを
考えていたから。
思った。





お母さんは、俺のこと
キモイって思うのかな。





本、当は。
笑顔で選んでくれた
ピンクのランドセルも
嫌だったっていったら・・・





うっすらと涙が浮かび、
視界が滲む。





お母さん「美央子?」





美央子「・・・」





ホロっと、
涙がこぼれる。





お母さん「みっ美央子!
・・・どうした?
どこか痛い?!」





お母さんがそばに来て
背中に触れようとする。





ヤバい。
泣いちゃった。





ダダッと階段を駆け上がり、
部屋へと戻る。





お母さん「美央子!」





お母さんの声を無視して
そのままベットへと
体を預ける。





お母さん、、、。
言えなくてごめん。





怖い。
誰も信用できない。





俺の世界は
俺、ただ1人。













~ 翌朝 ~





俺、あのまま
寝ちゃったんだ。





今日は月曜日。





無情にも鳴る
目覚ましで目覚めた。





学校か。





トランスジェンダーということを
みんなには明かしていない。





からいじめはない。





から、、





つらい。





履きたくもない。
スカート。





男子の中でこれほど
スカートを履いた人は
いるんだろうか。





幸い、うちの学校は
リボンでもネクタイでも
どっちでもいい。





もちろん、
おれはネクタイ。





どっちでもいいなら
ズボンもありにしてほしかった。





けど、そんなこといえない。





机にある鏡をみる。





ショートの髪。
切ったとき少しは
かっこよくなれたかな。





と思った。





けどこの女、の顔立ち。
のせいで
夢のかっこいいではなく
かわいいだった。





いつまで
このままなんだろう。





普通の男、だったらな。













* * * * *





学校につく。





異性とはあんまり
かかわりたくない。





だから
女子をさける。





けど、みんなの
普通にとっての。





俺の異性は男子だ。





だから、いつも1人。













* * * * *





担任が入ってくる。





いつもと同じかと
思いきや、違かった。





はきはきとした女の子が
担任の後ろを歩く。





黒板に名前がかかれる。





「伊藤沙音」





担任「えー。今日から
ニコラ学園に転入してきた
伊藤沙音さんだ」





沙音「伊藤沙音です!
双子で隣のクラスに弟が
入ってきます!
見た目は女の子だけど
中身はイケメンの
男の子なんで、
仲よくしてくださーい」





そのとき
クラスメイトの
藤野有紗が言った。





有紗「沙音ちゃん。
弟君のことばっかいってて
自分の自己紹介してないじゃんw」





わはは、
と笑いが起きる。





なぜ、そんな簡単に
トランスジェンダーであることを
打ち明けられるのだろうか。





それが気になった俺は、
女子として友達になり
聞くことにした。













~ お昼休み ~





彼女。沙音は
クラスの女子から
抜け出し屋上にいた。





聞くなら、今だ。





そう思って
声をかけた。





美央子「こんにちは。
あの、、林美央子って
言います。
聞きたいことがあって」





よし。
女っぽく言えた。





沙音「こんにちは!
美央子ちゃんね。
オッケー!
んで、何ー?」





美央子「その。なんで弟さんの
トランスジェンダーについて
あんなに話せるんですか?」





沙音「トランスジェンダー。
知ってるんだ、珍しー」





美央子「あの、、親戚が」





沙音「そゆことかー」





あぶない。
どストレートに
聞きすぎた。





沙音が口を開く。





沙音「私が、弟が
トランスジェンダーって
しったのはつい最近」





沙音「・・・。
姉なのに。
気づけなかったんだよね。
知ったとき辛かった。
でも、誰かに
助けてっていわないと
何も変わらない」





沙音「だから。。。」





そうだったんだ。
じゃあ俺も・・・
言わなきゃ。。





美央子「・・・」





沙音「あ、ごめん。
おもくなったよね」





美央子「いや。すみません」





沙音「美央子ちゃん。
親戚の人にいっておいて。
これは誰かに
助けを求めないといけない。
1人で苦しまないでって」





美央子「うん」





そのあとは
たわいのない話をして
過ごした。





時々、彼女が向ける笑顔に
ドキッとして。





目が離せなかった。













* * * * *





家へ帰る。





「1人で苦しまないで」





彼女の声が響く。





俺は、決意した。





美央子「お母さん」





お母さん「何? 美央子。
お帰り」





美央子「俺、」





美央子「トランス、、
ジェンダーなんだ」





お母さん「・・・」





流石にお母さんも
この言葉は
聞いたことがあるだろう。





目をつぶる。





なんて言われるか。





怖い。





数秒間の沈黙の後、
わたしを誰かが
抱きしめた。





お母さん「美央子・・。
ありがとう。
話してくれて。
ありがとう。
ごめん。美央子。
気がつけなくて」





お母さんの声が
すっと心に入ってくる。





嬉しかった。
この言葉がほしかった。





プツンと何かの糸が
切れたように
涙が、溢れた。













* * * * *





そのあとお母さんに
すべてを話した。





今まで思ってきたこと。
全部。





世界が
少し広くなった。













* * * * *





1週間後・・





学校とも話した末、
ズボン登校が
オッケーとされた。





教室に入る。





ガヤガヤ。





1週間休んで、
いきなりズボンで
登校してきた俺に
クラスメイトはみんな
驚いているようだった。













~ 1限 ~





美央子「今まで
黙っててごめんなさい。
実は俺、、」





有紗「俺・・?」





ガヤガヤ。
有紗の言葉に
みんながざわつく。





もうやだ。
やっぱだめだ。
そう、うつむきかけたとき。





沙音「静かに!」





沙音・・・。





すっと
一息すった。





美央子「俺。実は
トランスジェンダーで。
見た目は女だけど
中身は男。なんだ」





みんなの視線が
突き刺さって痛い。





その時、パチパチと
1人が拍手した。





音の方向を見る。





あぁ。
やっぱ沙音だ。





次第に拍手の音は
大きくなり、
クラス全体となった。





みんなの理解も深まり、
俺は男として
生きていけるようになった。













~ 放課後 ~





下駄箱に
1つのシルエット。





沙音だ。





美央子「沙音!」





俺は、叫ぶ。
するとびっくりしたように
沙音は振り返った。





そして笑顔で





沙音「美央子!
超絶かっこいい!!」





そう言ってくれた。





ドクン。
胸が高鳴る。





この気持ちの
名前は知ってる、





けど伝えるのは。





もっと
かっこよくなってからにしよう。







*end*

Like

この物語に投票する

林 美央子が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

おススメ!おススメ!

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!