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クールな君。

CAST中瀬 梨里中瀬 梨里

作者:ちぃこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.07.29

「キャー! カッコイイー。
こっち見てー!!」





「堀口く~ん」





廊下で女たちが騒いでる。
あたしは、それを眺めていた。





女たちが騒ぐときがくるのは
およそ長くて月イチ、
短くて2週間に一度ほど。





たまに学校にくる男子が
カッコイイらしい。





最近は、学校に来てないらしいけど。
あたしは全く興味がなかった。





はっきりいって、女なんて
わけわかんない。





ちょっとカッコイイ男がいるだけで騒いで、
いつも女だけの群れのなかにいて。





嫌いなやつにも表だけ仲よくして
はい、終わり。





そんなん、そっけなくない?





うそつくなら相手にハッキリ
嫌いって言っちゃえよ。
正直にいえよ。





そう思う。





「なんか中瀬さんってクールだよね」





隣の女の子は、あたしにそう吐き捨てて
離れていった。





いつからあたしは、感情を
表に出さなくなったんだろう。





いつも自分にうそついて、
一番正直じゃなかったのは
あたしだった――・・・





あたしは唯一落ち着ける場所、
屋上に来ていた。





1週間前、たまたま来た屋上が
結構よくて、それからたまに
訪れるようになった。





「はぁ・・・」





思わずため息がでた。





教室の中は、オリのようで
息苦しかった。





屋上にはいつも、誰ひとりいない。





だから、とても気が楽だった。





あたしはフェンスに手をかけた。





今、学校の外には、楽しいことが
あるのか知りたくなった。





そして、あたしは
フェンスに足をかけた。





「何してんだよ」





後ろから、低く重たい声がした。





ゆっくりと振り返ると
男の子が寝そべっていた。





その男の子は、とても
きれいな顔をしていた。





髪の色が白に近い金色で、大きくて、
耳にはいくつかの穴があった。





体には、沢山のアクセサリー。





制服のポケットからは
タバコの箱が出ていた。





明らかに、ヤンキー。
こんな人、この学校にいたんだ。





ドキン――・・・





なぜか胸の奥がキュウとなる。





「・・・学校の外側を知りたくなったの」





「ふーん。
学校の外側は見えそう?」





「さぁ。どうなんだろうね」





「外側なんて、なんもねぇよ。
ばかなやつばっかり」





「そう」





男の子は、チラリとあたしを見た。





「・・・お前、誰だよ」





「・・・中瀬りり」





「何年」





「1年。6組」





「・・・ふーん」





男の子は、スマホをいじりだす。





「ねぇ、どうしてあたしは
女に生まれたんだろう」





どうして。
女なんて、めんどくさい生き物なのに。





「・・・お前、変わってんな」





スマホをいじる指を止め、
あたしを見つめる。





「・・・変わってんのかな」





「おぅ」





「あたし、アンタの名前
知らないんだけど」





「・・・イブキ」





「イブキ?」





なぜかあたしはイブキに
『あたし』という人を
わかってもらえる気がした。





「Line教えてよ」





イブキはあたしにスマホを向けた。





あたしはスカートのポケットから
スマホを取り出す。





『・・・あなたを友達に追加しました』





画面にはその文字だけが
映し出されていた。





キーンコーン・・・





「あ、授業だ」





イブキは目を合わせずに
あたしに軽く手を振った。





そしてあたしは屋上から出た――――。













*...・・・*...・・・*





授業中もあたしは
イブキのことを考えていた。





なぜかイブキがひっかかる。





こんな気もち知らない。













*...・・・*...・・・*





あたしはあの日を境に、
屋上に通うようになった。





Lineを知っていても、連絡をとらない。





けれど、イブキにならなんでも話せた。





親のこととか学校のこととか。





イブキは特に反応してくれるわけじゃ
ないけど、聞いてくれる。





ただそれだけでよかった。





イブキといて起きた、あたしの変化。





それはイブキといると
胸の奥がキュウ・・・とする。





原因はわからない。





だけど、イブキといるときだけなんだ。





そして、イブキを見てきて思ったこと。





イブキは、たまに寂しい目をする。
どこか遠くを見つめている。





「どうして人は、人を好きになるのかな?」





イブキは少し動いた。





「・・・人はひとりじゃ
生きてけねぇんだよ」





「え?」





「人は誰かの支えがないと生きてない。
自分ひとりでも平気ったって
そんなん、ただの強がりだろ」





口数の少ないイブキが
こんなにしゃべった・・・!





「・・・あははっ! おかし~!!」





なんだか笑えてきた。





久しぶりにこんなに笑った。





「・・・まぁ、友だち作れよ」





「え?」





「お前、いつもひとりだろ?」





「・・・」





「俺しか友だちいない。
つか、いつもお前ひとりじゃん」





イブキが笑った―――。





イブキの笑顔はとても輝いていた。





また胸の奥が締めつけられる。
あたし病気なのかなぁ。。。





でも、どうしてそんなことイブキが・・・?
屋上でしか会ったことないのに。





校内さがせば、すぐイブキなんて
見つかるはずなのに。どうして。





だけど、あたしにそんなこと
言えるはずなくて・・・





「ばれたかぁ! ははっ」





いつイブキは、あたしを見ていたの?





「友だち作れよ」





「・・・うん」





これがイブキと話した最後だった。













*...・・・*...・・・*





「イブキ~」





イブキのいる、いつもの場所を見たけれど
イブキがいなかった。





いつもいるのに・・・





それから何度屋上に行っても
イブキはいなかった。





今日は雨だった。
屋上にもいけない。





何だかつまらない。





「中瀬さん」





教室で、ふと窓の外を眺めていると、
ある女子が話しかけてきた。





今週初めてしゃべったかもしれない。





「何を見てるの?」





女子は、あたしの前の席に座った。





「・・・別に」





「私、崎浜りこっていうの。
友だちになってくれない?」





・・・友だち・・・





そんなものいらない。





どうせみんな離れていくに決まってる。





でも―――

『友だち作れよ』





イブキがそういうなら・・・





「・・・いいよ」





「やったぁ。
ね、りりって好きな人いんの?」





りりって・・・
好きな人か・・・





「・・・好きな人って、何」





「好きな人~? ん~そうだなぁ・・・
胸キュン。みたいな?
そうだなぁ・・・知らないうちに
その人のことを考えてる・・・とか」





「知らないうちに・・・」





知らないうちに考えてる人・・・





“イブキ”





その名前が浮かんだ。





これが恋・・・なのかな?





「あのさ・・・」





「ん?」





りこが不思議そうにこちらを見る。
少し戸惑った。





「全然相手のことを知らないんだけど
なぜか素直になれる、相手を見ると
胸がキュウ・・・ってなるのが、恋なの?」





「・・・はっきりとは言えないけど
それは恋じゃない?」





「恋なの・・・?」





あたしはイブキに恋してる?





『キャー!!!』





突然廊下が騒がしくなる。
また、たまにしか学校に来ないあいつか・・・?





「りり。見に行こ!」





「ぇ・・・」





りこに腕をつかまれ、
廊下へとひきずられる。





女たちの群に入るはめに・・・
マジ勘弁・・・





「りり見てよ! 堀口くん」





堀口・・・?
堀口って、学校あんま来ない・・・





あたしは、しぶしぶ顔を上げた。





「ぇ・・・」





目を見開いた。





廊下には、あたしの
見覚えのある人がいた。





トクン・・・





胸が高鳴った。





「・・・イブキ・・・」





間違いない。イブキだ。





髪は黒く、服装はきちんとしている。





ピアスの穴など、どこにもない。





みんなに愛想を振りまいてる。





女たちであまり見えないけれど、
いつもと全然違うけど、
でも間違いなくイブキだった。





イブキが、あたしの前を通った。





一瞬だけど、目が合った気がした。





『キャー。堀口く~ん』





『こっち向いて~』





“堀口”・・・?





そういえばあたし
イブキの苗字知らない・・・





もしかしたら、本当にイブキ・・・





キーンコーン――・・・





「りり!
かっこよかったね。堀口くん。
りり・・・?」





あたしは立ち尽くす。





足が動かない。
イブキなの・・・?





授業中、先生の話なんか
耳に入ってなんかこなくって、
イブキのことだけが頭の中を駆けめぐっていた。





そしていつの間にか
授業が終わっていた。





「堀口くん、かっこよかったなぁ~。
最近ずっと学校来てなかったから
久しぶりに見れてうれしいかも」





“最近学校に来てない”





屋上でイブキに出逢ったのも最近だ。





“いつもひとりだよな”





あたしを見ていたのは
たまに学校に来るとき。





すべてが繋がってく―――





あたしは屋上へと走り出していた。





屋上にイブキがいるかもしれない―――・・・





ガンッ――!!





雨だった天気は、すっかり晴れていた。





イブキのいるいつもの場所へと走った。





ドクン―――。





―――――そこには、“堀口”がいた。
時間が止まるようだった。





“堀口は、イブキ”・・・?





聞きたいことがあるのに、声がでない。
体が動かない。





堀口が、立った。





そして、





やさしくあたしを抱きしめた――――。





「りり・・・だよな?」





この声は、イブキだ・・・





鼓動は着実に速まっていく。





ドクンドクン・・・





あたしはゆっくり、うなずいた。





「・・・なんで・・・いる・・・の?」





あたしが一番聞きたかったこと。





「・・・俺・・・違うんだ」





「え?」





「実は俺ん家金持ちでさ、
親父が立派な後継者にしようと
俺に色んなことやらせるんだ。
正直あんな家いやで、前から我慢してたんだ。

けど、親父に突然お見合いしろっつわれてさ。
俺には気になる子がいるのに、そんなの完璧無視で。
ついに俺キレちゃってさ。睡眠薬を大量に飲んだんだ。

それからずっと、俺は入院してたんだ。
それで親父にわかってもらおうとしたんだ。
そしたら親父もやっと俺のことわかってくれてさ。
・・・でも、りりに逢えたのは
親父のおかげでもあるんだ・・・」





「じゃあ堀口くんて・・・」





「そう。俺は堀口イブキ」





「入院してた間なんで・・・?」





「俺・・・幽体離脱してたっぽい」





「はぁ!?」





「俺もビックリしたよ。
あの人混みのなか、りりを見つけたとき。
夢じゃないのかと思ったよ」





「じゃぁなんで、あの時のイブキは
今と逆なの?」





「さぁ? 俺にもわかんない」





「えぇ!?」





目が合った。
なんだか笑ってしまう。





イブキはゆっくりとあたしを離した。





そして真剣な眼差しで、あたしを見つめる。





「俺・・・りりが好き」





イブキが涙でにじむ。





「・・・あたしも・・・」





あたしたちは初めて出逢った場所で
初めてのキスをした。







*HAPPY END*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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