ヴァンパイア∞ゲーム

CAST小林 花南小林 花南

作者:ユモ花南ちゃん感謝

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.01.19

~プロローグ ことの発端~





古い館に、怪しい影―――――





少女は、窓の外を眺める。





???「・・・ああ、全然ダメ」





少女は、ため息をつく。





???「この街はなんなの・・・
ちっともアタシの理想に
出会えないわ!
・・・・・・あら?」





少女は、外に注目した。





???「・・・見ィーつっけた♪
外を眺め続けてかれこれ3日。
ようやく理想に出会えたわ」





興奮する少女の目には、
ひとりの男子が映る。





そして、すぐそのあと、
一緒にいる女子も映った。





???「・・・チッ。女連れか」





少女は残念そうな
表情を浮かべ、
少し考えたあとに





・・・意地悪く笑った。





???「いいわ。上等よ。
絶対アタシが、
あなたを手に入れるから」













*...・・・*...・・・*





§・カナミside 物語の始まり・§







・・・ここは、どこ?





私は、何してたんだっけ・・・





学校を出て、タカトと
一緒に帰ってて、





たまには違う道
通ってみようってなって、





珍しい造りの家を
見つけて・・・・・・





私は、周りを見渡す。





かなり広い部屋。
ゴシック調の家具が
並んでいる。





(なんだか、さっきみた家の雰囲気と
似てるな・・・
まさか、私あの中にいるの?
でもどうして・・・)





家を見つけたあとの
記憶がない。





(タカトは!?)





私は急いで、
一緒にいたはずの
タカトを探す。





すぐ隣にタカトが
寝ているのに気づいて、
ホッとした。





カナミ「ちょっとタカト、
起きて。
なんかわけわかんないことに
なってるんだけど」





肩を叩くと、
んんーと伸びをして、
タカトは起きた。





タカト「・・・なんだよ、
カナミ・・・
ってここどこ?」





カナミ「わかんない。
全然記憶ないんだけど」





ここでタカトについて紹介。
フルネーム大倉タカト。





私と同じ、中学2年生。





幼稚園のころから
ずっと一緒の幼馴染。





ちょっとアホっぽいけど、
ノリが良くて、
クラスでは人気者。





そして・・・、





私が一方的に
好意を寄せる相手。





そんなこと
恥ずかしくて
言えないけどね。





タカト「俺ら、フツーに
帰ってたよな?」





カナミ「うん。
道は違ったけどね。
それで、見たでしょ?
あのおっきい家。
なんかあれと
雰囲気にてない?」





タカト「言われてみれば・・・
でもなんで俺らが
なかにいるんだよ」





???「アタシが呼んだからよ」





不意に声がした。





振り向くと、
女の子が立っていた。





ちょうど
私と同じくらいの。





タカト「・・・誰?」





???「アタシ?
この家の当主、マナよ」





女の子―――マナは言った。





タカト「当主?」





マナ「ええ。
1人暮らしだから」





タカト「1人暮らし?
見た感じ年近そうだけど。
どこ中の人?」





マナ「中学校?
そんなもの行ってないわ」





カナミ「え?」





マナ「だってアタシ、
吸血鬼(ヴァンパイア)だもの」





・・・ヴァンパイア!?





マナの口元が
光って見えた。





タカト「へえー。で、
俺らはなんでその
ヴァンパイアさんのおうちを
訪問しなきゃいけなかったのかな?」





マナ「とってもいい質問ね。
アタシ・・・・・・
あなたに一目ぼれしたの」





カナミ&タカト『えっ!?』





驚く私とタカトに構わず、
キラキラとした目で
演説するマナ。





マナ「アタシね、
ずっと運命の人を探してたの。
でもぜーんぜん理想に会えなくて、
でも今日やっと出会えたの・・・
あなたに」





マナがタカトを見る。





タカト「それは・・・どうも」





若干引き気味のタカト。
無理ないねえwww





え、じゃあ私は?
関係ないんじゃ・・・





マナ「でも・・・、
あなたには既に
女の子がいるようね」





マナがちらっと私を見る。





・・・え!?





カナミ「私!?」





マナ「あなた以外に誰がいるの?
でもアタシは、あなたかなんか
認めない。
見るからにドジそうで、
トロそうだし・・・」





・・・はあっ!?





マナ「本来なら一発で仕留めて、
アタシのしもべに
しちゃうんだけど・・・
それじゃあ面白くないじゃない?」





マナが意地悪く笑う。





マナ「だから勝負しましょ。
今から一時間、この館の中を、
あなたたちは
好きに逃げていいわ。
制限時間内にあなたたちが
逃げ切ったら
ここから出してあげる。
捕まったら・・・、
あなた名前なんて言うの?」





タカト「・・・大倉タカト」





マナ「いい名前・・・
で、捕まったらタカトは
アタシの彼として生きていく」





こいつ、いきなり呼び捨てで
よびやがった。





・・・





マナ「そして、この女は、
私のしもべとなる」





カナミ「小林カナミですっ!」





マナは、あっそ、と
興味なさそうにつぶやく。





ムカつくこいつ!!!





タカト「・・・、
フッ、お断りだな。
そんなゲーム乗らねーよ。
第一お前に興味ないし」





マナ「あら、このゲーム
あなたたちに拒否権はないのよ。
・・・あ、もしあなたが
タカトのこと手放すんだったら、
別にいいけど」





マナが私を見ていう。





手放すもなにも、
彼女でもなんでも
ないんですけど・・・





なんて口に出したら、
今すぐタカトが
吸血鬼にされかねない。





第一、こんな奴にタカトを
渡すことなんてできない!





カナミ「・・・やってやろうじゃん!
あんたみたいなやつなんかに、
屈しないから!」





マナ「あら、威勢だけはいいのね。
でははじめましょう。
1分後からスタートよ。
残り時間はところどころ
おいてある時計を見て」





私とタカトは
ダッシュで駆け出した。





はあっ、はあっ・・・





タカト「息切れてんじゃん。
運動不足じゃねーの」





カナミ「うるっさい!
走ることに集中して!」





ゴーンゴーンゴーン・・・





おそらく、
1分経過の合図だ。





タカト「どっかはいるぞ!」





私たちは急いで
1番近くにあった部屋に
駆け込んだ。





薄暗い部屋に、
本棚がたくさんある。





ここは図書室のようだ。





タカト「カナミ、手伝え」





タカトはそばにあった椅子を
ドアの前に積み始めた。





慌てて私も手伝う。





2つの出入り口を
しっかり塞いだ。





タカト「・・・よし。
これでひとまず安心だ」





タカトと私は
端の本棚の奥に回る。





タカト「お前・・・」





タカトが小声で
話しかけてくる。





カナミ「・・・、あ、なに?」





いつマナ(あの女)が
来るかわからない恐怖で
押しつぶされそうだ。





タカト「大丈夫かよ。
めっちゃ震えてるけど。
・・・よく歯向かったよなあ」





カナミ「だって・・・、
あいつむかつくから」





ホントは・・・、
タカトを取られるのが
嫌だったから、





だけど。(恥ずかし・・・!)





タカト「だよなあ・・・
なんだよあのマナって奴。
ちょージコチューだな、
いきなり閉じ込めやがって。
でも、あそこでカナミが
はっきり言ってくれなきゃ
今頃俺はヴァンパイアだったな。
サンキュ」





カナミ「えっ、あ、いや・・・」





そのとき、ガラガラガラっと、
入口で音が聞こえた。





タカト「まずい、きやがった」





相変わらずバリケードを
崩そうとする音は止まない。





カナミ「反対側から出よう!」





私たちは猛ダッシュで
もうひとつのドアに向かう。





協力してバリケードを
崩し始める。





カナミ「まずいよ!
もうむこう開きそう!」





タカト「喋る暇あったら
逃げること考えろよ!」





必死でバリケードを解く。





背後でガッシャーンと、
完全にバリケードが
崩れる音がした。





と同時に、私たちが壊していた
バリケードも崩れる。





タカト「行くぞ!」





図書室から飛び出して、
無我夢中に駆け出した。





マナ「あら、速い。
でもあたしだって人間に
負けやしないわ!」





背後でマナの声が聞こえる。





カナミ「やばいよっ!」





タカト「平気だよ!
さっき崩した椅子が
障害になるはずだ。
それよりもっと早く
走れねーのかよ!?」





カナミ「私は演劇部!
ちょっとはうんどうしてるけど、
サッカー部のエースの
あんたとは違うの!」





タカト「ああもうしゃーねーな!」





パシッ





タカトが私の手を掴む。





カナミ「え?」





タカト「こけんじゃねーぞ」





タカトは私の手を引っ張って、
猛スピードで走り始めた。





はやい!
はやすぎる!
まるで風になったみたい!





ホントはこんなこと
のんきに考えてる場合じゃないけれど、
そう感じてしまう。





久しぶりにこんなに
走ったからかな?





胸の鼓動がめまぐるしい
スピードになっている。





階段を駆け登り、
廊下を走り、・・・、





気づくともう
マナの気配はない。





タカト「はあ、はあ・・・
サッカー部甘くみんなってんだよ。
あいつ」





カナミ「・・・」





疲れて何も言えない私。





タカト「ん?
おいみてみろカナミ。
これ、あいつが言ってた
時計じゃねーか?」





カナミ「え?
・・・ああほんとだ」





そこには立派な
振り子時計があった。





タカト「針が1本しかねーけど・・・、
これって後半分って意味か?」





マナ「そーよっ!」





カナミ&タカト「!」





気がつくと、マナが
仁王立ちをしていた。





マナ「そのとおり、
残り時間はあと30分。
でも、もうゲームオーバーかしら?」





あははっと
高笑いをするマナ。





タカト「お前・・・、
追いついたのか?
この俺に?」





マナ「いいえ、とっても
追いつけなかったわ。
でもこの館には、
裏道がたくさんあるのよ」





カナミ「・・・!
・・・なんて、卑怯なの・・・!」





マナ「うるさい!
あんたは黙ってて!」





ドっっっ





カナミ「くっ・・・」





マナが私のお腹をけった。





痛さで私は、
床にうずくまる。





タカト「てめえ!」





マナ「アタシね、欲しいものは
どんな手を使ってでも
手に入れる主義なの。
そして今アタシが欲しいのはあなた。
だからコイツは邪魔なの」





タカト「ふざけんな!
俺は死んでもあんたみたいなやつの
いいなりにはなんねーよ!」





マナ「問題ないわ、
だってアタシがあなたの血を吸えば
もうあなたはアタシに逆らえないもの!」





狂ったように喋るマナ。





マナ「だから・・・・・・ね?
大人しく負けを認めて・・・」





マナはタカトに歩み寄る。
口元には牙が光る。





マナ「アタシの、彼氏になって」





カナミ「ふざけんなよっ!」





バシッ





私は持っていた教科書で
勢いよくマナの肩を殴る。





マナ「つっ・・・!」





マナは肩を抑えてよろける。





カナミ「あんた、それでいいの!?
あんたの恋愛って何!?
あんたの理想は、タカトを
犬みたいに従わせて、
自分の思うとおりに操ることなの!?」





無我夢中で叫ぶ。





カナミ「私の、私の大切な、
大好きなタカトを・・・、
あんたなんかに渡さないからっ!」





・・・つかのまの、沈黙。





え? ・・・・・・ああっ!





な、何今のセリフ!
(自分で言ったんだけど・・・)





まさかこんなタイミングで
告白してしまうとは!





顔が熱くなるのが
自分でもわかる。





タカト「・・・カナミ。
ありがとう。
俺も、カナミが好きだ」





!!!





タカト「小さい頃から、
ずっと好きだった。
声には出せなかったけど・・・
カナミが言ってくれて
ホントに嬉しい」





タカトは満面の笑みで笑う。





タカト「これからは・・・、
幼馴染としてではなくて、
恋人として、付き合ってよ」





カナミ「・・・うん!」





やった。
結果オーライ。





この気持ち、
やっと伝えられた。





タカト「さっき蹴られた部分・・・、
大丈夫?」





カナミ「え? ああ、平気平気!」





タカト「ならよかった」





マナ『全然よかないわよ!』





突如上がった叫び声に、
私の幸せな時間は
かき消される。





マナ「いまのはなに?
何かってに
ラブシーンしちゃってるわけ!?
ああ許せない!」





マナは突然私に
飛びかかった―――!













*...・・・*...・・・*





§・タカトside 急展開・§





今、幼馴染のカナミと、
やっと気持ちが通じたのに。





やっと両思いになれたのに。





ジコチュー吸血鬼が
カナミの首筋に噛み付く。





カナミは音も立てずに、
崩れ落ちた。





タカト「カナミっ!」





マナ「近づかないほうがいいわよ!」





駆け寄ろうとする俺に、
あいつは言い放った。





タカト「えっ?」





カナミが、
ゆっくりと立ち上がって





・・・マナのもとへと歩いた。





タカト「・・・カナミ?」





マナ「ああ、なんて愉快なの!
どう? 愛する彼女を
取られた気分は?
アタシじゃご不満のようだから、
ここはこの子に任せることにしたの!
彼女が相手なら、
手荒い真似はできないもんね!」





カナミは挑発的な目で
こちらを見ている。





(・・・どこまでも卑怯な奴!)





悔しくて、
唇を噛み締めた。





マナ「さあ、やっちゃって!
我がしもべよ!」





カナミ「はい、マナ様」





平坦にそうつぶやき、
カナミは無表情のまま
じわじわと近づいて来る。





(どうする?
このまま逃げるわけにも
行かねーし・・・)





緊張で、冷や汗が
止まらない。





カナミはもう目の前まで
来ている!





(・・・カナミ)





どうすることもできない自分に
嫌気がさした。







カナミ「なーんてね♪」





タカト「えっ?」





カナミは勢いよく
Uターンして、
マナになにかを掲げる。





マナ「ぐわっ!?」





マナが奇声をあげて、
・・・苦しんでいる?





一体何が起こったのか、
全くわからない。





マナはそのまま、
しゃがみこんだ。





カナミ「・・・いったでしょ?
あなたなんかに、渡さないって」





カナミは最後に、
マナの頬に
何かを貼り付けた。





マナ『あああああああああっ』





マナがありったけの
チカラで叫ぶ。





と同時に、マナの体は光輝き、
その光はだんだん
小さくなっていって―――――
消えた。





そしてものすごく強い風が
吹き荒れる。





目を開けて
いられないような風が。





そして次に
目を開けた時には、





俺らは空き地の草むらに
立っていた。





タカト「・・・家が、消えた?」





周りの景色は、
帰り道のままだ。





ふと横を見ると、
カナミが呆然と立っている。





俺は、カナミに近づく。





タカト「カナミ・・・だよな?」





カナミ「えっ? ・・・あっはは、
なんでそんな当たり前のこと聞くの?」





カナミは
可笑しそうに笑う。





ふだんのカナミだ。





タカト「だってお前、
あいつに・・・」





カナミ「えへへ・・・驚いた?
実はね・・・、あのヴァンパイア、
噛み付いたつもりだったのか
わかんないけど、
ワイシャツに牙が
引っかかってたの!」





タカト「え!?」





カナミ「なんで
気づかなかったんだろーね。
それほど動揺してたのかな?
だから、これはチャンスだ!
って思ったんだ。
わざとしもべになったふりをして、
隙を狙おうって!」





タカト「じゃあ、あれは全部・・・
演技?」





カナミ「演劇部
なめんなっての!」





カナミが
得意げに笑った。





カナミ「それでこれ、
もともと持ってた十字架の
ペンダントをあいつに見せたの。
案の定苦しんでた。
やっぱ吸血鬼だね。
仕上げに、この前買った
パーティー用のタトゥーシール。
十字架のやつを
あいつに貼ったんだ。
まさかこんなに効果が
あったなんて・・・」





タカト「・・・カナミ」





カナミ「うん?」





タカト「・・・お前もひきょーだなw」





カナミ「なっ・・・!
せっかく助けてやったのに!」





タカト「ウソウソ。
ホントサンキュ。助かったよ。
・・・やっぱ、俺にはカナミだけだ」





カナミ「・・・!」





カナミの顔が赤くなる。





この顔・・・、
永久保存ものだ。





カナミ「・・・もう、
日くれちゃったね」





タカト「ああ。まったく、
ほんと疲れたよ・・・」





カナミ「でも・・・、
案外良かったかも」





タカト「え!?」





カナミ「こんなことなかったら、
タカトと恋人になって
なかったかもしれないし!」





カナミがにっこり笑う。





その顔を見て、俺は決めた。





カナミは―――――
誰にも渡さない。













*...・・・*...・・・*





~ショートエピローグ~





―――――空には1匹の
コウモリが飛んでいた。





人の姿を奪われた―――――
マナである。





(次こそは・・・、
理想を見つけるんだから!)





ダメージが
回復しきれていない体で
ふらつきながら





夜の街を
飛んでいった・・・







happy end・・・?

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