カナミは幽霊が見える
作者:リヴ
やっほー、 私は小林カナミ。 幽霊が見えること以外は ごくごく普通のJC。 小さい頃は、人には見えないものが 見えるって知らなくて、 散々こわい思いもしたけれど、 今ではかなり慣れてきた。 マ「カナミ~、 今から学校かーい」 この子はマナ。 実は交通事故で 亡くなっちゃったんだ。 でも、それを伝えるのは ご法度。 マナはまだ自分が死んだって 気づいていないからね。 気を失ってるだけって 信じちゃってる。 カ「うん。 いってくるねー!」 マ「たまには彼氏 連れて来てよねー」 カ「うわっ、イヤミ(笑)」 通学路を全力ダッシュ しながら思う。 彼氏ねえ。 私、モテないからな。 男子に友達だって思われて おわるタイプ。 いや、一度、かなりイケメンに 一目惚れをしたことはあるけど、 あとでその男の子は、50年くらい前に 亡くなってたって知ったんだよね。 それからちょっと恋愛に 積極的じゃなくなった。 オ「ここをまっすぐ進んで、 右に曲がってください」 あ、あれは同クラの オオゾラだ。 おじいさんに道を教えてる。 あんまり話したことないけど、 意外といいとこあるんだなー。 ?「ねえ、あの男子、 誰に向かって話してるの? ひとりごと? こわいんだけど」 えっ。まじで? あのおじいさん、 見えてないの? 私以外。 え? え! じゃあ、オオゾラは 私と同じで、 幽霊が見える体質ってこと? えええっ! オ「はい。 ではお気をつけて」 カ「あのう。 オオゾラくん?」 オ「うわっ。 びっくりしたあ」 カ「いきなりですけど、 もしかして、 幽霊が見えるの?」 オ「えっ、なんで知ってんの?」 カ「やっぱり・・・ 実は、私もなんだよね」 オ「えええっ。 マジで?」 カ「大マジ。 さっきのおじいさん、 みんなには 見えてなかったみたい」 オ「あちゃー。 幽霊だって気づかんかった。 やってもうた」 カ「私はじめてなんだ。 幽霊が見える人に会ったの」 オ「俺も。 ちょっと話聞きたいから、 今日の放課後、 図書室に来てくれる?」 カ「了解!」 *。・ 放課後 ・。* カ「へえ。生まれつき 見えたわけじゃないんだ」 オ「うん。飼ってた犬が 死んじゃったときからなんだよね。 でも、それまでも 霊感は強い方だったかな」 カ「私もね、家に幽霊の女の子が 住みついちゃって。 その子、まだ、自分がもう生きてないって 気づいてないんだ。 事故にあって、気を失ってる だけだって思ってるの」 オ「へえ。 そういうタイプの幽霊には 会ったことない。 今度会わせてよ」 カ「いいよ。 マナも話し相手が増えれば、 喜ぶだろうし」 オ「また連絡取りたいし、 LINE交換しない?」 カ「いいよ」 *。・ 休日 ・。* カ「どうぞ~」 オ「おじゃましまーす」 マ「うわあ! カナミ、 もしかして彼氏?」 カ「ちがうわ! 同クラのオオゾラ。 マナが見えるんだよ」 マ「まじ? やったあ。 男子と話すのひさしぶりだー」 オ「すげえ。 こんなハイテンションな 幽霊はじめて」 カ「しーっ。 マナの前で幽霊って 言っちゃダメ!」 オ「あ、ごめん」 マ「オオゾラ君はさー、 カナミとどういう関係なの?」 カ「だーかーらー、 クラスメイトって 言ったじゃん」 マ「オオゾラ君に きいてるんですぅ」 オ「クラスメイト以上だと 思ってる」 マ「わあ! それは一体 どういう・・・?」 カ「同じ、人には見えないものが 見える同士ってことでしょ」 オ「それもあるけど」 マ「ねえ、オオゾラ君、あたしね、 もうそろそろ自分の体に帰りたいの。 カナミと暮らすのも幸せだけど、 もう一度学校にも行きたいし、 恋もしたいんだ。 手伝ってくれない?」 オ「あ、あー、別にいいけど。 その、マナちゃんは・・・」 マ「やったあ。 ありがとう!」 カ「どうしよ・・・ マナは自分がまだ生きてるって 思ってるからなあ」 オ「もうそろそろ 本当のことを伝えるのが、 マナちゃんのためだと思うけど」 カ「でも、どうやって? いきなり、あなたはもう 生きてないんですよ、 早く成仏しましょうねー って言うの?」 オ「難しいところだな・・・」 カ「マナが自分から気がつくのが 1番だと思うんだよね」 オ「自分から気づくって ありえるか?」 カ「うーん」 結局、どうすればいいか わからないまま、 1日が終わってしまった。 *。・ 1週間後 ・。* 私たちは、マナに 自分たちの口から 伝えることにした。 マナの事故がのっている 新聞の切り抜きを見せると、 マナはきょとんとした顔になった。 マ「これって・・・」 カ「マナ。 言いにくいし、 私だって信じたくないけど、 こういうことなんだ」 マ「これ、あたしの名前。 あたし死んだの?」 カ「うん・・・」 マ「うそだ。 そんな、ねえ、うそだよね?」 オ「つらいけど、 本当のことなんだ」 マ「そんな・・・」 カ「私はマナと知り合えて、 ほんとによかったって思ってるし、 マナが大好きだよ。 でも、大好きだからこそ、 伝えないといけないと思ったの。 いつか絶対に気がつく。 気がついたとき、私がずっと マナを騙してたってわかったら、 マナは傷つくでしょう・・・?」 マ「カナミ・・・ありがとう。 あたしもカナミが大好きだよ」 カ「マナ、ずっとここにいて ほしいんだよ。でも・・・」 オ「ずっと地上に居続けると、 いつか怨霊になってしまうんだ。 俺は何人もそうなった幽霊を 見たことがある。 そうなってしまうと、 もう自分の意志で考えることも、 誰かを思いやることも できなくなるんだ」 マ「そうなの・・・ カナミ、つらかったよね。 ずっと嘘ついてなきゃだめだなんて。 あたしのために、ありがとね」 カ「マナ・・・」 マ「どうすればいいの? どうすれば、成仏できるの?」 オ「今まで生きたことに 感謝するんだ。 ありがとうって。 生まれてよかったって、 心から感謝するんだ」 マ「そっか。 ふふ、後悔はあるけど、 でも、短かったかもしれないけど、 生きれてよかったって思うよ。 あと、幽霊になってよかったって。 カナミやオオゾラ君と出会えて、 ほんとにうれしい」 カ「マナ・・・ 大好きだよ・・・」 マ「あたしも。 よしっ、やってみますか」 カ「マナ、また会えるよ。 きっと、また会える」 オ「また会ったら、 今度はすっごいイケメン 紹介してやるよ」 マ「わーい。 楽しみにしてるね」 マナが目をつぶった。 マ「神様、あたし、生きてよかった。 幸せだった。 でも、もう1回 生まれ変わってみたいなあ。 まだ未来のことはわかんないけど、 あたしは自分の生きた時間を楽しんだよ。 ありがとう」 そう言った瞬間、マナの姿は 跡形もなく消えた。 カ「マナー!」 オ「マナは幸せだったんだな。 まずはそれをよかったって思おう」 カ「でも、さびしい・・・」 オオゾラが 私を抱きしめた。 人のぬくもりに 勇気づけられる。 オ「俺もさびしい。 でも、さびしがってちゃ、 マナが悲しむよ」 カ「そうだね」 マナ、大好きだよ。 友達だからね。 ずっとずっと。 ........* あれから1年がたった。 私には妹が生まれた。 名前はマナ。 すっごく可愛いの。 オオゾラとはあれからも 仲良くしてる。 今日は2人で会う約束を してるんだ。 カ「オオゾラ~!」 オ「カナミ!」 カ「急に呼び出すって何~? まさか告白~?」 オ「えっ。 なんでわかったの」 カ「へ。 え、えええっ」 オ「うん。 俺はカナミが好きだよ。 だからそれを伝えようと思って」 カ「あ、ありがとう。 私も好き!」 *・。+ *・。+ *・。+ 天国のマナへ 私、彼氏ができたよー! 多分、幽霊が見えるカップルって、 世界中探しても私たちだけだね。 *end*
小林 花南
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