恋愛禁止令なんて

CAST崎浜梨瑚

作者：デイジースター

2025.08.08

２０××年。

中高生による事件が
多発した。

原因のほとんどが
恋愛だったため、

政府は、中高生の恋愛を
禁止した。

・・・・・・・・・・・・・

私、崎浜リコ！

いまの日本は、恋愛禁止。

私の学校は、特に厳しい。

監視員は
１つの教室に４人、

監視カメラは
１００台近くある。

教室の真ん中で
レーザーで仕切られている。

授業も、教室と教科は同じでも
違う授業みたい。

体育なんか全く違う。

男子が柔道してる横で
女子は華道やってたり
茶道やったり。

重いものは、男子が運ぶ。

でも、そんな環境で
恋愛する人も多い。

教室突然来て告白して、
取り押さえられる男子。

トイレでこっそり会う
カップル。

兄妹とか親使って
会うカップル。

こんな世の中ダメだって
誰もがわかってる。

でも、どうにもできない。

せめて、この学校だけでも
変えられないかな。

「ダイジ兄ちゃん！　スマホ貸して！」

クラスメイトの久野ナツ。

お兄ちゃんとLINE友達だった。

北島ミサキは、親同士が仲よいから
よく会う。

西ユアン先輩は、
お兄ちゃんと仲がいい。

久野ナツに電話しよう。

「もしもし？　ダイジ先輩？」

「あ、ゴメン。
同じクラスのリコです」

「そっか。どうしたの？」

「私、こんな世の中
おかしいと思う！
変えたい！」

「俺も、そう思う。
でも何ができる？」

「それは・・・」

「立てこもりだろ」

お兄ちゃんが
口をはさんできた。

「立てこもり！　それだ！」

「立てこもりして
何になるんだ？」

「警察と話をつけるんだ。
政府とでも構わない。
こんな法律なくさないなら
一生でないって」

「ナツ、男子にこのこと
伝えてくれないかな？
女子には言うから」

「わかった」

＊・・・＊・・・＊・・・＊

次の日から、作戦は始まった。

立てこもり場所は、教室。

LINEで会話。

《監視カメラどうするんだよ？》

《家からお兄ちゃんに
ハッキングしてもらう》

《監視員は？》

《スタンガン１人１台》

・＊。・　１か月後　・。＊・

教室に立てこもった。

食料もかなり買ってある。

「お前ら！　出てきなさい！」

「嫌だ！
警察と話がしたい。
呼んで来い！」

数分後。

「警察だ！
要求は、何だ？」

「いまの法律を変えろ！
関係のない俺らまで
巻きこまれるのは
おかしいだろ！」

「お前らも、犯罪を
起こしかねない！」

「なんでそんなこと
言えるんだよ？
犯罪を犯すという証拠は
どこにある？」

「それは・・・
過去の事例から・・・」

「過去といまは違う！
恋愛が原因の犯罪は
性格的な問題だ！」

２時間に及ぶ会話に
警察が折れた。

「政府に話をつけてくる。
しばらく待っていろ」

教室の前には、
誰もいなくなった。

クラスメイトで
大はしゃぎ。

「そういえば、男子と話したの
初めてかも！」

「言われてみれば・・・」

「ていうか、好きな人
いるんだけど・・・」

「うちも！」

「俺も！」

どんどん話が弾む。

異性と話すのは
こんなに楽しいんだ。

「リコ、リコ」

ナツだ。

「ん？」

「ずっと前から好きだった」

「私も。ナツのこと、好き」

この日だけで
今までの思いを打ち明け、
両想いだったカップルは
計１０組。

こんなにいたなんて。

「お前ら！
政府に話はつけた。
しばらくかかるとは思う」

法律を変えるのに
時間がかかるということだ。

皆の顔が笑顔に変わったのは
間違いない。

・＊。・　１年後　・。＊・

私たちが高校生になる年に
法律はなくなった。

新聞には、
私たちの意見からだと
書いてあった。

これからの中高生の自由が
増えたとともに、

私の幸せも増えた。

＊ＥＮＤ＊