しのぶれど ~青春百人一首~

CAST稲垣 来泉稲垣 来泉

作者:くりくり

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.04.20

私は、中学2年生のくるみ。





私は、友のそのまの
幼馴染である
いるまが
ちょっと気になっている。





そんな中、
学校の伝統行事である
百人一首大会の準備が
始まった。





3人グループに分かれて
全学年でトーナメント戦をし
優勝を決める。





なんとくじ引きで
私とそのまと、いるまの
3人グループで
戦うことになった。













・*。・ ある日の放課後 ・。*・





私たちは自主練で
毎日放課後
練習することにしたんだけど・・・





そのま「いるまのせいで
練習が練習にならないんだけど!」





いるま「は?
俺に言われても知らねーし」





そのま「バカじゃないの?!
いるまが足引っ張ってることも
わかんないの?!」





いるま「それはこっちの
セリフでしょ」





そのま「は?
今日の練習試合で負けたの
誰のせいだと思ってんの?」





いるま「もういい!
俺、帰るから!」





くるみ「いるま~! 待って!」





いたっ





足首が痛い。





いるまが驚いて
手を差し伸べてくれる。





手につかまって
起き上がろうとするけど
足首が痛くて
立ち上がれない。





いるま「大丈夫?」





くるみ「足首が・・・」





そのま「急に立ったから
足をひねったのかも」





いるまが背を向けて
しゃがんだ。





いるま「はい。
足、ひねったんだろ?」





くるみ「ありがと」





私はいるまに
おんぶされながら
そのまと一緒に帰った。





あれから一度も
負けたことがない。





あの喧嘩を境に
個人としてもチームとしても
技術も心も強くなっていった。





そして、見事
決勝大会まで登り詰めた。













・*。・ 決勝大会 ・。*・





そのま「いよいよ来たね」





くるみ「うん」





先生「相手は去年優勝した中3の
松田、伊藤、星乃だから、
強いと思うけれど
頑張ってね!」





3人「はい!」





いるま「ここまで来たからには
絶対に優勝しよな!」





3人「えいえいおー!」





(中略)





読み手「君がため お~
(しからざりし命さへ
長くもがなと
思ひけるかな~)」





バン





取られた。





とうとう自陣の札も
相手の札も一枚になった。





しかも、よりによって
「秋の田の」と「秋風に」の
2枚が残ってる。





だから、3文字聞かんと
取れない。





これを取ったら優勝。





取れなかったら準優勝。





百人一首を
やったことなかった3人。





百首覚えるところから始めた。





毎日放課後、最後まで
教室に残って練習をした。





悲しい、悔しい
そんな日々だらけやった。





そやけど、楽しかった。





3人やから
やり遂げられた。





どんどん
強なっていくのが
うれしかった。





なんかウチ、
見えてきた気がした。





次読まれる・・・・・札。













──────────
──





・いるまの回想始め・
(百人一首始めたばかり)





くるみ「ハルトくんは
どの歌が好き?」





いるま「俺は、ないかな・・・」





くるみ「そうなんだ。私は
『秋風にたなびく雲の絶え間より
もれいづる月の影のさやけさ』かな。
秋の月が綺麗な季節の夜空。
横長の薄い雲が広がってる。
雲の隙間から明るい月の光が
漏れ出てきてる。
その漏れ出てる月の光がとても美しい。
・・・そんな情景が素敵だなって」





・回想終わり・





読み手「あ~(きかぜに
たなびく雲の絶え間より
もれいづる月の
影のさやけさ~)」





バン





私といるまは
同時に動いた。





取った時、私の頭と
いるまの左側の頭が
ぶつかった。





左を向くと
笑ったいるまがいた。





相手チームを見て一礼。





3人「ありがとうございました」





読み手を見て一礼。





3人「ありがとうございまいした」





私たちの後ろからの歓声が
体育館に響き渡る。





私たちは抱きしめ合った。





3人「やったー!!」





突然そのまが
私に耳打ちをした。





そのま「いるまのこと
好きでしょ?」





私「え? バレてた?」





そのま「うん。バレバレ(笑)
後でいるま、体育館裏に
呼び出しとく!」





私「ありがと!」





いるま「2人で何話してるの?」





そのま「なんでもな~い(笑)
そういえば2人とも最後の札、
1文字目しか読んでないのに
取ってなかったっけ?」





いるま「なんか次読まれる札が
見えたんだ」





くるみ「同じ~」





そのま「え~! すご!
2人とも超能力じゃん!
私も欲しい~」













・*。・ 体育館裏 ・。*・





くるみ「しのぶれど
色に出でにけり我が恋は
物や思ふと人の問ふまで~」





いるま「え?」





くるみ「いるまはホントに鈍感だね。
和歌の意味考えてみて」





いるま「あぁ!」





※『人に知られまいと
心に秘めていたけれど、
顔に出てしまった。
恋をしているのですかと
人が尋ねるほどに』
という意味。





いるま「俺も好き!
付き合ってください」





くるみ「はい! もちろん!」







*end*

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