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かんちがいらぶ。

CAST稲垣 来泉稲垣 来泉

作者:夏那

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.09

体育館中にボールを
叩きつけるような音が響く。





『がんばれ、イルマ!!!!!!』





私は心の中で
必死に応援する。





周りの女の子たちに
負けないくらいに。





数秒後、ゴールを決めた音が
聞こえた。





『よっしゃっっ』と、
心の中でガッツポーズする。





先にカミングアウトします。





私、稲垣クルミは、
同い年でバスケ部の
安藤イルマくんのことが
好きです。





きっかけは、
中3になってからの席替え。





いっつも女子に
囲まれて暮らしていたイルマは、
私の目にはチャラく映った。





絶対関わりたくない・・・





そう思っていたのに、
なぜか隣になってしまった。





神さま仏さま、
松尾さま助けて――――!





親友のそのまに助けを乞うも
願いは届かず・・・





ていうか、さっきから、
主に右サイドから
視線感じるんですけどおおおおお。





恐る恐る安藤の方を
向いてみると、
安藤はニパッと笑って、





「クルミちゃん、
やっとこっち向いてくれたね!
俺、安藤イルマっていうんだ、
よろしくっ」





とだけ言ってきた。





なんなんだ、
今の笑顔はっっ・・・





その日から
この天使のような笑顔の
虜になった。





そして、日を重ねていくうちに
チャラいだなんて
みじんも感じなくなり、





むしろ誠実さだけ
残ったような人であることにも
惹かれていった。





私はそんなイルマが
大好きになり、
一緒に放課後まで
話したこともあった。





そんな時間が、その時の私には
とても幸せだった。





席替えをして1か月が
経とうとしていた頃、
イルマの態度が急変した。





話しかけてくれなくなった。





目を合わせてくれなくなった。





沢山の不安が
私の中をかけめぐった。





もしかしたら、私が積極的に
話しかけたのが悪かったのかな・・・





イルマが嫌なら、
もう、話すのやめよう・・・





そして、今に至るのである。





ちょうどバスケ部も
終わったので、
私は体育館から出ようとした。





出口に誰かいる。





「・・・そのま・・・?」





「せーかいっっ!」





なんでいるんだろう・・・





そう思ってると、
そのまがズバッと言ってきた。





「ねえ、なんか悩んでるでしょ。
イルマくん絡みでさ」





そのまには、私がイルマを
好きなのを教えてある。





そのまは、いつも応援してくれた。





だから、すぐに分かって
しまったのかもしれない。





「うん・・・」





いっぱい話を聞いてもらった。





話しかけられなくなったこと、





対応が塩になったこと、





目を合わせてくれなくなったこと・・・





全部話し終えたあとに、そのまは。





「じゃあ、全部
聞いてみちゃいなよ!」





と言って、私の後ろに
目をやった。





そうしたかと思うと、
おっと、とだけ言って
すたすたと帰っていった。





どうしたんだろう・・・と思って
後ろを振り向こうとした瞬間、
大きい手が私の目をおおった。





「だーれだ」





と、後ろの人は言う。





聞き覚えのある声だ。





「え、イルマ?w」





「ぴんぽん!」





イルマは、あの天使の笑顔を
また私に見せてくれた。





よかった、嫌われてなかった・・・
と安心していると、
2人の間に沈黙が生まれた。





ふと、そのまの言っていたことを
思い出した。





『じゃあ、全部
聞いてみちゃいなよ!』





聞くなら、
今しかない気がする。





だから私は、勇気を振りしぼって
聞いてみる。





「あのっっ!!!!」





イルマは、びっくりしていた。





それでも話を続ける。





「最近、私、何かしたかな・・・?」





イルマは、





「?? なんもしてないけど・・・?」





と答える。





「え・・・じゃあなんで・・・
急に冷たくなっ・・・」





言いかけたところで、
何かが詰まったみたいに
言葉が出なくなる。





いきなり、イルマの手が
私の頭の後ろへとまわった。





驚くひまもなく、
イルマはその手を
自分の方へと引き寄せた。





「え、イル・・・
急にどうし・・・」





「好きだよ」





私の耳元でそうつぶやいて
そっぽを向いた。





「・・・・・・・・・・は!?」





ほっぺが少しだけ
赤くなっている。





「えっ、なんでなんで!?
だって、急に冷たくなったじゃん!!!
それなの・・・」





「返事は??」





イルマは、今まで見たことのない
ドS顔をして聞いてきた。





「えっ、その、えっと・・・
『ハイ』で・・・す」





「よろしい」





イルマはまた私の頭の後ろに
手をやって、





今度は自分のおでこに
『コツン』と寄せた。





「じゃあさ、一緒に帰ろ。
そしたら全部話してあげる」





「わ、わかった!」

















*。*。*。*。*。*。*。*。





帰り道、さっそく本題が出た。





「俺が冷たくなったのは、
クルミを邪魔することだけは
したくなかったから」





「・・・・・・・は??」





「ちょっと待って、
私の邪魔ってなに!?」





「松尾が、クルミの好きな人は
数学の先生だって・・・」





「ちょっ、なにそれ!?!?」





「だから、授業中に
俺としゃべってるよりも
先生のこと見てたいだろうな、
って思って。
だから、今がほんと信じられない笑」





あーもう、そういう
気づかいできるとことか





「大好き」





「「えっっ!?」」





なぜかふたりとも
びっくりする。





やばい、
心の声もれてた・・・・・・





もういいや、この際
全部言っちゃおう。





「今年の席替えで
隣になってから好きになったの。
特に、男女差なく話せるところとか、
約束はちゃんと守るところとかが
すごい好き。
これからもよろしくね!」





イルマの顔が、更に赤くなる。





いよいよ、私の方を
向いてくれなくなった。





不思議。





前までは不安で
仕方なかったことなのに、





ほんの少しの勇気を出しただけで
こんなにもうれしくなれるなんて。







*END*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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