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CAST白水ひより白水ひより

作者:ライラック

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.03.15

危険だって分かってる。





でも、それでも、
すがりつくことしか私にはできない。





私は、ヒヨリ。
平凡な女子高生。





今は、激しい片思い中。





でも相手は、画面の中の人。





人気アイドルのユアの大ファン。
私の自慢の推し。





ファンクラブに入って、
ブログは必読、
SNSも絶えずチェック、
いいねとコメントを怠らない。





握手会とお話会は
可能な限り参加。





ライブでは、絶え間なく
黄色い声援を送る。





推し活資金を稼ぐために
バイトに明け暮れる。





もはや推し活してない時間は、
バイトしてると言っても過言ではないくらい
シフトを限界まで入れてる。





学校の授業はいつも寝ていて、
成績はガタ落ち。





将来の展望は、ない。
今がすべて。





このギリギリの限界まで
推し活する日々が
私に生きてることを実感させてくれる。





1年前、たまたま手に取った雑誌で
ユアを見つけて、恋に落ちた。





ユアは、モデルもしているのだ。





同性なのは、とりあえず置いといて
その日から私の毎日は、輝き出した。





退屈な日常から刺激的な非日常へ、
ユアは、私を連れ出してくれた。





「今日も食べないの?」





昼休み、クラスメイトのダイジが
話しかけてくる。





「うん。食べない」





私は、そっぽを向いた。





私は、いつも昼ごはんを抜いている。





1円でも多くユアに使いたいから
節約しているのだ。





推し活を始める前より
私の体重は5キロ以上も落ちていた。





「食べた方がいいって。
最近やせすぎ」





そう言ってダイジは
アンパンをくれた。





「ありがとう。でも、いいや。
食欲ないから」





「まだ推し活してるん?」





「してるよ。
てか、推し活しかしてない」





私は、弱々しく笑った。





本当にこれでいいのだろうか。





推し活そのものに
疑問がないわけでは、ない。





ユアには、ユアの人生があるし、
私には、私の人生がある。





私がどれだけユアに尽くしても、
ユアが私の人生を背負ってくれる
わけではない。





「俺、ヒヨリのこと好きやねんけど」





ダイジがふいに言った。





「うん?」





「つきあってくれへん?」





ダイジは、自分の分のアンパンを
食べながら言った。





「ごめん。
私が好きなのは、ユアだけなの」





私は、ピシャリと言った。





「ユアって芸能人やろ?
リアルで恋愛せえへんの?」





「うーん」





こんな自分でも
好きと言ってくれる人がいるのは
ありがたい。





でも私は、ユアが好き。





たとえユアが私のことなんか
1ファンとしてしか
興味なかったとしても。





「ハマりすぎたら、危険やない?」





ダイジが心配そうな目で私を見つめた。





「でも、私には他に何もないから」





私は、ぐったりとうなだれた。





私には、本当に何もない。





勉強も運動も苦手。
顔だって別にかわいくない。
ユアとは、違う。





ユアは、選ばれた特別な人間。





そんなユアを応援することだけが
私のアイデンティティ。





生きる価値、存在してる価値、
推し活を通してしか私は
自分に価値を見出せない。





ユアからは、認知をもらってるし、
熱心なユア推しとして
界隈では知られてる。





それしか私には





それしかないから。





それを抱きしめないで、
他に何を抱きしめろというの?





「何もないなんて言うなよ」





ダイジが私を抱きしめた。





ダイジのこんな寂しそうな声を
私は初めて聞いた。





どこにも行き場のない涙が
スッと一筋落ちてきて、
ダイジの肩を濡らした。





「私は、・・・」





「ヒヨリは、ステキだよ。
何もないわけがない」





「ダイジに言われてもうれしくない。
そういうセリフは、ユアに言われたい」





他にも人がいる教室で
抱きしめられているという
シチュエーションに耐えきれず、
私はダイジをはがした。





本当は、リアルで愛されたい。





お金を払わないと
話してくれさえしないアイドルより、
リアルで愛してくれる人が欲しい。





でも、推し活を手放すのも恐い。





推し活がなくなったら、
他に私に何が残るのだろう?





「なぁ、俺にくれよ。
ヒヨリのユアに向いてる気もちの
100分の1でも。
それ俺、めっちゃ大切にするから」





ダイジが真剣な瞳で私を見つめた。





あぁ、そうか、そうだよね。





この人は、私を愛してくれてるんだ。





ありがとう。





私には、何もないなんてこと、
なかったんだ。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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