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仕組まれた偶然

CAST稲垣 来泉稲垣 来泉

作者:ゆず故障

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.06.20

ザーッ――





まるでバケツの中の水を
思いっきりひっくり返したような
雨が降る。





一体何日、この雨は続くのだろう?





もう一生晴れなんて
やって来ないんじゃないかという考えが
頭をよぎってしまうほどに
雨は降り続いていた。





くるみ「雨、全然やまないねー
まじ雨の日って、ゆううつ」





りりか「ね! 湿気すごいし・・・
この前帰る途中
カエル見ちゃったよー(泣)」





くるみ「カエルまで!?
全く・・・いつになったら
太陽が拝めるのやら・・・」





私、稲垣くるみ。
雨なんて大ッ嫌い。





髪はぐしゃぐしゃになるし、
服は濡れるし・・・
とにかくテンション下がる。





くるみ「やっと帰れるっ!
って、まだ雨降ってるよ・・・」





りりかは今日委員会だから
一緒に帰れないんだよねー・・・、





雨の日に、ひとりで帰るのか・・・





くるみ「最悪」





ひとりさみしく昇降口に向かうと
いかにも挙動不審な人が。





・・・何者?





見たことないけど、上級生かな?





って、上級生がなんで
私のクラスの傘立てのぞいてんのよ。





くるみ「あのー・・・
クラス、間違ってませんか?」





ハルト「っあ、すみません」





くるみ「?」





ハルト「俺の傘がなくてさー。
もしかしたら他のとこに
混ざってないかなーみたいな?」





何この人・・・
まさかいじめられてんの?





ハルト「あ、ちょ、勘違いしてない?
別に、俺、いじめられてるとかじゃ
ないからねっ?」





くるみ「っそんなこと・・・思って・・・
・・・
思って・・・ました。すみません」





ハルト「やっぱりね!
よかったー、誤解が解けて!」





そう言ってニカッと笑うこの人は
今まで見た笑顔の中で
誰よりも明るくて爽やかで
屈託がなくて・・・





まさに『天真爛漫』という言葉が
ピッタリだった。





くるみ「じゃあ、傘は?」





ハルト「誰かに間違えられたかなー。
ビニール傘だから
かなりありえるんだよねー」





くるみ「じゃあ、
どうやって帰るんですか?」





ハルト「やさしい人に入れてもらう!」





くるみ「そうですか、がんばって下さい」





ハルト「ちょ、ちょっと!
俺の言ってるやさしい人は
君なんだけど?」





くるみ「すみませんが
私、やさしくないので・・・」





ハルト「いーの!
で、入れてくれる?」





そんな笑顔で笑わないでよ・・・、
断れないじゃん・・・っ!





くるみ「・・・いいですよ」





ハルト「ありがと! えーっと・・・」





くるみ「あ、稲垣・・・くるみです」





ハルト「ありがと! くるみちゃん!
あ、俺、今井ハルトです!
高2ね! くるみちゃんは?」





くるみ「高1です」





ハルト「どーりで見ない顔だと思った!
それにかわいいしね!」





くるみ「!」





かかかか、かわいい・・・?





ハルト「じゃ、行こっか」





落ち着け、私。





この人はいかにも軽そうだ。





うん、だから、この人の
かわいいなんて・・・
かわいいなんて・・・





ハルト「ん? どしたの?」





くるみ「ぃ、いえっ!」





それから私たちは
色んな話をした。





好きなこと、嫌いなこと、
お互いのこと・・・





この人と話してると
話題が尽きるなんてことはなかった。





正直に言うと、楽しかった。











*...・・・*...・・・*





くるみ「・・・りりか、
高2の今井ハルト、って
知ってる?」





りりか「もっちろん!
校内イケメンランキングに
必ず3位以内に入る人だよっ」





そんなに有名な人
だったのか・・・





りりか「ひまわりが咲いたような笑顔が
ハルト先輩の一番の魅力ぅー!」





やっぱり。





あの笑顔に魅せられたのは
私だけじゃないよね。





りりか「あ! うわさをすれば
ハルト先輩!」





くるみ「!」





ハルト「あ、くるみちゃん!
この前はありがと、助かった!
実はさ、今日も、傘、
間違えられちゃったみたい」





くるみ「先輩・・・
今日は晴れですよ?」





そう、今日は晴れ。





1週間ぶりに雲の隙間から
太陽が顔を見せたの。





もしかしたら、今日も雨が降って
先輩も傘忘れてて・・・また・・・





って願ってたのに
神様は非情だ。





なのに、この展開は何?





ハルト「いーの!
雨が降ってなかろうが
俺はくるみちゃんと一緒に
帰りたいんだよね」





くるみ「っ//」





ハルト「くるみちゃん、好きです。
くるみちゃんは?」





この人は、ずるい。





そんな笑顔を見せられて
断る女の子なんて、いないよ・・・っ!





くるみ「わ、わた、私も・・・っ//!」





ハルト「よく出来ました」





そう言ってまた
ニカッと笑うこの人。





この人の笑顔は、雲の隙間から
射しこむ太陽の光より
まぶしくて・・・





私は、この人の笑顔に
最初っから惚れてたんだ。





ハルト「りりか、感謝」





りりか「当然っ!」





ハルトとりりかは、いとこ同士。





先輩は、私が先輩を
好きになる前から私が好き。





あの雨の日一緒に帰ったのは
偶然なんかではなく





先輩とりりかによって
仕組まれた必然。





・・・そのことを私が知るのは
もう少し後のお話。







*fin*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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