想ってるよ。ずっと
作者:にこにこ
今日も彼のことを想う
1日だった。
彼は学校に
来なかったけれど、
ふっと思い出しては
頬を赤らめた。
連休明けには
会えるかな、
久しぶりに
会いたいな、
そうやって毎日
ニマニマしている。
ミオコ(でも、私の気持ちは
バレていない・・・・・・
誰にも、一度も・・・)
教室で彼を眺めるなんて、
何度しただろうか。
しかし、誰にも
気づかれていない様子。
私は彼を密かに
想い続ける。
ミオコ(LINEだって
好きになったら
恥ずかしくて、
まだ一度もしてないん
だよね・・・)
LINE友だちには
なっているのに、
一度もしていない
馬鹿な私。
もっとアピールすれば
良いのになぁ。
そしたら
好きになってくれるかも
しれないのに。
まぁ、私が好きなのは
野球だから、
サッカー部の彼と
上手くやれるか
心配だけど。
母「ゴハンだよー」
ミオコ「はーい」
大きな声で返事をし、
やっぱり彼を想いながら
食卓へ急いだ。
・*。・ 学校 ・。*・
ミオコ(・・・レン、
そろそろ来るかな・・
・・・・)
私の想い人は、
内田蓮。
うちのクラスの人気者だ。
フレンドリーで
誰とでも話せる。
最近、私と同じ
TikTokerさん推し
ということが
わかったばかりだ。
共通点があって
嬉しい。
レン「おはよー!」
良く響くレンの声。
はっと後ろを向くと、
教室に入ってくる
レンの姿があった。
急いで
そっちに駆ける。
――――――ということは
できず。
クラスの男子「内田おはよー、
なんでこないだ
休んでたんだよ!」
レン「だから、ちょっと
風邪引いてさ。
まぁスマホいじってたけどw」
クラスの男子「ほんとに
ちょっとなら
学校来れるだろー!?」
クラスの男子「レン、
行きたいって
言ってたじゃん!」
男子たちに
もみくちゃにされる
彼を見るだけだった。
ミオコ(・・・・・・
なんでできないんだろう・・・
・・・・・・)
自分からあいさつを
してみようと思うだけ、
教室でTikTokerさんの
話をしてみようと思うだけ。
口からも言ってない。
ただ心の中で
理想を呟く、
それだけで終わって
しまうのが許せない。
どうせ好かれても
いないのに、
そのくらいが
できないんだったら
“好き”を辞めて
しまうのが妥当だ。
想って、想って、
想って、
最後に
理想を思う――――――。
レン「・・・・・・コ。
・・・オコ、ミオコ!」
ミオコ「わ、はいっ!」
レン「なんだよー、
考え事か?」
驚いた。
レンの方から
私に話しかけるなんて、
そんなことは
今までなかった。
笑うレンに
返事をする。
ミオコ「何?」
レン「新しいTikTok
見たかな~って思って」
ミオコ「あ、見た見た!
すごい面白かったよね!」
レン「だよなー。
他の人にも知って
欲しいわ」
ミオコ「ほんとほんと。
最高だったよね、
あのTikTok」
2人で笑い合う時間は
楽しい。
クラスで私たちしか
知らないTikTokerさんの話を
している時間は、
最っ高に楽しい。
でも。
その“私たち”は
実は3人で。
私とレン、もう1人は
女の子だ。
ミアン「2人も見たの~?」
川原美杏。
私もいた小学校の
元6年1組で、
うちの中学に進んだ
仲良しグループの
天使的な存在。
その割に結構な
毒舌家っていう、
ちょっと変わった女の子。
私は彼女を少し
敵視中なのだ。
レン「あの花のやつ、
ミアンも見たんだ」
ミアン「えっ、花?
何それ私見てない!」
ミオコ「そっかぁ、
じゃあ今夜見てみて。
すごく面白いから」
レン「マジで良かった、
あれは」
ミアンは私よりも
彼と仲が良く、
私よりも前から彼と
TikTokの話をしていて、
私の上に位置する存在
だって思っている。
そして、レンは
ミアンのことを
好きなんじゃないか、
とも。
というわけで・・・・・・
・*。・ 家 ・。*・
ミアンとは時々
LINEするから
話しちゃおう。
あ、電話の方がいいかな。
うん、そうしよ。
プルルルルルルルッ
プルルルルルルルッ
プルルルッ ピッ
ミオコ「あっ、もしもし、
ミオコですっ」
ミアン「やっほ~
ミオコ。
どしたの?」
電話が繋がり、
スマホをギュッと
握りしめる。
ミオコ「えっとね、
ちょっと聞きたいことが
あって・・・」
ミアン「へぇ~、いいよ。
ミオコにしては珍しいね」
ミオコ「そう?
あ、ありがとう。
でね、その質問
なんだけど・・・・・・」
すぅ・・・・・・・・・
一度呼吸を整え、
再び口を開く。
ミオコ「あの、ね。
ミアンって、」
ミアン「?」
ミオコ「レ、レンのこと・・・
どう思ってる?」
うわぁ・・・
そう。
私が聞きたかったのは
これ。
レンのことを
好きかどうか。
でも、
「レンのこと好き?」
っていきなり
聞けないから、
どう思ってるかで
ストップ。
ミアン「え~?
あっははっ!
○○さんのことを
話せる面白い男子、
みたいな感じだけど笑」
なぜか笑うミアン。
どうとも思ってないと
受け止めるか、
好いてると
受け止めるか・・・
ミオコ「ほんとに・・・?
す・・・・・・
好きとかじゃ、
ない・・・?」
勇気を出して
彼女に問う。
もしYESだったら、
私、死――――――
ミアン「好きじゃないよ」
―――なずに、
告白しちゃわなきゃ。
NOだったから。
ミアン「私、レンなんて
好きじゃないよ。
まさか、ミオコ・・・
レンのこと好きなの?」
ミオコ「ふぇっ!?
・・・・・・す、
好きってわけじゃ・・・
ただ、ミアンってよく
レンと話すから、
好きなのかと思って・・・!」
ミアン「ふーん。
でも、私、ミオコが
レンのこと好きでも
笑わないけどなぁ」
ぼそりとミアンが
呟いた言葉に
反応してしまう。
好きだとバレても
笑わないのなら、
と思ってしまって。
ミオコ「あーあ・・・
ほんとはレンのこと
好きなの。
バレちゃったかぁ・・・・・・」
ミアン「やっぱりね。
じゃ、レンに言おっか。
『ミオコはレンを好き』って」
ミオコ「えぇ~・・・?
だめだよぉ、
そんなことしたら。
どうせ振られるの
わかってるからって
落ち込みたくない」
私たちはそのような
内容で通話を終えた。
・*。・ 学校 ・。*・
はぁ・・・・・・
私は今すごく気分が悪い。
恋愛事でこんなに
落ち込むとはなぁ・・・・・・
今日もレンのことを
想いながら
ここに来たけれど・・・
昨日のミアンの言葉が
気になるんだ。
「レンはミオコのこと
そんなに見てないかも」
っていう・・・
ミオコ(私、気にかけて
もらえてないのかな)
落ち込んでため息を
吐いて、
もう生きる気がしない。
そんなに恋愛に対して
色々と考えていると知って
また、ため息をつく。
と、
ミアン「嘘っ、こんなに
落ち込んじゃってる!」
ごめんごめん~、
などとミアンは
謝りながら走ってくる。
少しムッとして
しまった。
ミオコ「もう。
落ち込むに
決まってるじゃん!
だって、私、
見られて・・・・・・ッ」
ヒクッ、ヒクッ。
悲しくて、
哀しくて、
悔しくて、
虚しくて。
泣き出す私も
馬鹿らしくて。
意味のないことを
しているのは
わかっているのに。
教室にはレンも
いるのに。
私なんて大嫌い。
大っ嫌い、大っ嫌い、
大っ嫌い・・・
ミアン「ねぇ、ミオコ
どうしたの?
ごめん。ごめんね。
あっち行こっか」
ミオコ「ヒッ、ヒクッ、
ふぇぁっ」
ミアン「廊下に出るよ。
ほんとにごめんね、
ミオコ」
ごめん、ごめん、
ごめん。
繰り返しミアンが
謝ってくる。
ミオコ(やめてよ、
私がもっと
悲しくなるじゃん
・・・・・・っ)
廊下に出て、
木のベンチに
2人で座る。
ミアンは私に優しく
話しかけてくれる。
ミアン「ごめんね、
でも見てないっていうのは
本当なんだよね。
だってレンは、ミオコを
あんまり見ていたら、
変に思われるかもって
言ってたんだよ。
だからなの」
ミオコ「ふぇっ、
な、なんでっ、
変に思われっ、る、とっ」
ミアン「だって。だって、
ミオコのことを、
意識してるからじゃないの?」
ミオコ「・・・・・・えっ」
ミアン「私は・・・
そう思うけどな」
長く話して
落ち着いた。
そして思った。
意識してるんなら、
私は大丈夫だ。
告白、できるかも
しれないって。
ミオコ「ごめん~・・・
ありがとぉっ。
ミアン、好きぃ~~~」
ミアン「はいはい、
わかってるよ。
よしよーし」
こうしたからには、
私は彼に告白しなければ
いけない。
好きです、と。
・*。・ 翌日の学校 ・。*・
実は昨日の夕方、
ミアンから
LINEをもらったんだ。
ミアン〈やっほ~《ピース》
レンとさっきまで
LINEしてたんだけどね、〉
ミアン〈なんでミオコ
泣いてたの?〉
ミアン〈って聞かれたんだ~
《にや》《グッド》
つまり、ミオコのこと
気にかけてるって
ことだよね!〉
気にかけてくれてる。
つまり、私のことが
気になっているかも
しれない――――――。
何その素敵な考え。
何その甘い考え。
馬鹿なことを
思っているのは
わかっているのに、
期待で胸は
いっぱいなのは・・・
正しいのか、
正しくないのか・・・
わからないよ・・・・・・
でも、今はポジティブに
考えるしかない。
ミオコ「ミアン、
ありがとう!」
母「ミアンちゃん?
何のこと~?」
叫んで親に
不思議がられながらも、
告白への準備と言って
部屋へ逃げ込む。
もう後悔したくないから。
努力は一生、
本番は一回、
チャンスは一瞬。
そんな言葉、
聞いたことがある。
めちゃくちゃ
努力して
彼に近づいたし、
だからこそ本当に
告白は一回きりで、
チャンスだって一瞬しか
ないもん。
私、これ信じて
頑張らなきゃ。
ミオコ「明日、
絶っっっ対に
頑張るっ!」
よしっ。
気合を入れ、
鏡に向かって笑った。
・*。・ 翌日の学校 ・。*・
ミアン「あっ、
ミーオコっ!
おはよ~!」
朝、今日の予定を盛大に
バラされてしまった。
ミオコ「あ、ミアン、
おは・・・」
ミアン「今日のアレ
頑張ってね~~~!!!」
ミオコ「!?!?!?」
ミアンは、“アレ”を
すっっっごく強く読んだ。
口パクまでしたのだ。
ミアン〔こ・く・は・く///〕
そして、ミアンは
私から――――――
ミアン「・・・・・・レンっ」
彼へと、
視線を移した―――。
しかも、私の、
後ろ・・・・・・・・・!?
ミオコ「・・・・・・ッ!」
泣きそうになって、
恥ずかしくなって、
彼の方向になぜか
走ってしまって。
すごくすごく
情けない。
彼にぶつかった
その時。
レン「好き・・・」
突然に、今日
私の言うはずだった
単語を聴いた。
レン「・・・ミオコを、
ミオコのことが、
大好き」
ゆっくりと、
耳に、
入ってきて・・・・・・
ゆっくりと、
私も、
口に出して・・・・・・
ミオコ「私も、大好き。
レンくんのこと・・・
愛してます」
レン「ごめんな、
告る機会を
奪っちゃって」
ミオコ「そんなこと
気にしない、
だって、すごく嬉しい
・・・・・・
だから、大丈夫」
ミアン、ごめんね。
そして、
レン「付き合ってください」
ありがとう。
ミオコ「よろしく
お願いします///」
レン大好き!///
よろしくね!///
・*。・THE END・。*・
林 美央子
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