分身!?

CAST相沢伊吹

作者：こと

2025.10.17

私、相沢イブキ！
イブキって呼んでねっ。

あ、恋バナしちゃう？
いいよ。

私の好きな人はね、、、
幼なじみの堀口イブキ。

同名だがら、よく
ダブルイブキっていわれる。

彼はね、ちょっとツンデレなとこが
かっこいいの！

でも、そんなこと言えないから、
私はただの幼なじみみたいに話す。

今日もね。

「イブ！」

登校中に彼の姿を見つけ、
私は彼に駆けよる。

イブキとイブキだと紛らわしいから、
私は彼を「イブ」って呼ぶ。

彼は、私のことを「イブキ」。

私の名前を呼ぶイブの声は
やさしいんだっ！

「おはよっ」

「・・・ああ、おはよう・・・」

彼は、のんびり返した。

一見クールに見えるけど、
こう見えて彼は
熱いところがある。

それもまた、いいんだよね！

学校まで２人で話して歩いた。

話すって言っても、私が一方的に
しゃべるだけだけど。

でも、彼の口角が上がったり、
ちょっと面白そうな顔になるのを
見るのが幸せ。

「おはよーっ！」

クラスのみんなに
あいさつした。

友達の大月ミクが
「おはよ・・・え？」
とこちらを向き、変な声をあげた。

「？　何？」

「ほ、堀口くん・・・？」

みんなこっちを見た。
こっちっていうか、イブを。

「え、お前・・・」

１人困惑した声をあげる人がいた。

その人の顔を見て、私は叫んだ。

「も、もう１人のイブ!?」

「ど、どういうことだよ、イブキ」

「知らないよ！」

クラス中は、パニック。

イブとイブが言い争い、
結局クラスで、どっちが本物か
投票することになった。

私が困惑する中、
みんなはてきぱきと動く。

私がいっしょに登校してきた方の
イブに投票する人は、４０人中２人だ。

「・・・どうしよう、選べないよ・・・！」

ちょっと涙目になる。

私は信じてあげなきゃいけないのに、
ほんとのイブを。

「イブキ・・・俺が本物だよ」

「イブキ、俺を信じてよ」

２人が、急かしてくる。

２人とも考えることは同じらしく、
私の片手をそれぞれ握った。

「イブキ」

「イブキ」

その瞬間、わかった。

本物は・・・「こっち！」

いっしょに登校してきた方のイブを、
私は選んだ。

ミクが私を非難する。

「なんで？
こっちの堀口くんの方が
先にいたのに!?」

「だって・・・」

私は穏やかな目で
みんなを見つめた。

視線が集まる。

「私の手を握ったときにね、思ったんだ。
話す声とかでも。
ほんとのイブは、そ、その・・・
私のこと、好きなはず、
だから・・・こっちのイブは、
私のことを好きでいてくれてるって
思ったんだ。
そして、安心したの。
私、イブの近くにいると
いつも落ち着くんだ」

それを聞いて、
クラスがざわめいた。

「幼なじみのイブキちゃんが
言うなら・・・」

「相沢さんが言うなら
間違いないだろ」

「言われてみれば、
こっちの堀口、
いつものと違ったかも」

みんなが、ほんとのイブのために
動いてくれてる。

そのことがうれしかった。

「チッ！」

偽物のイブは大きく舌打ちした。

そして、黒い靄となって消えた。

「や、やったあ・・・！」

「よくやったね、イブキ！」

ミクが、みんながほめてくれる。

イブも穏やかな笑みを浮かべている。

帰り道、イブは言った。

「俺のこと、信じてくれて
ありがとう」

「全然だよ」

私は謙遜した。

「私、イブのことが好きだから
わかったんだよ」

イブは小さく目を見開いた。

そして笑う。

「うん、俺も」

＊ｅｎｄ＊