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猫だが人に恋をした

CAST相沢 伊吹相沢 伊吹

作者:Mmm

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.03.21

「・・・ごめんね、にゃおん」





ザーザーと雨が降る公園に
ぽつんと取り残された、段ボール箱。





「にゃおーん!!」





まだ小さい子猫の私は、
段ボール箱の中から
そっと外をのぞいて





いつも遊んでくれた飼い主、
真海ちゃんの遠ざかる背に
声を張りあげて鳴いた。





「真海ちゃん、どこ行くの、
私も連れてって!!」











・*。・ 数時間後 ・。*・





「あ、捨て猫・・・」





ポツポツという、傘に
雨粒が当たる音とともに、
誰かが段ボール箱をのぞきこんだ。





寒さに凍えていた私は、
真海ちゃんが残してくれた
タオルケットにくるまりながら
顔を上げる。





真海ちゃんと同じ学校の
制服を着た、男子がいた。





「寒いんだな・・・
ちょっと、待って」





そういうなり、ほわっと
暖かい上着が私にかけられた。





「にゃおーん」





ほっとして、ゴロゴロと
喉を鳴らすと
彼は力が抜けたように笑った。





(キラキラしてる・・・)





「だれか、いい人にもらえたらいいな」





そう言って、彼は私の段ボール箱に
自分の傘をかけ、去っていった。





ドクン、ドクン、ドクン、と
私の心臓が大きく鳴り打つ。





彼の体温で暖かい上着にくるまり、
私は今まで感じたことがないくらい
気もちが高ぶっていた。





「待って待って待って・・・
あの人かっこよすぎない!?」





にゃおんにゃおんと
独り言をつぶやく。





私は彼に一目惚れしたのだ。





「どうして私、猫なんだろう・・・」





「人間だったら、今も
真海ちゃんと一緒に遊んでいられて、
人間だったら彼のあとを
追いかけられるのに!」





「私、これからどうなるんだろう・・・?
新しい飼い主なんて見つかるの?
このままずっと、ひとりぼっち?」





涙があふれた、そのとき。





「ひとりぼっちじゃないよ!」





力強い声がしてハッと振り向くと、
ニコニコと笑う小さな妖精が
ふわふわと浮いていた。





「私は雨の日に願いを叶える
雨の精霊、そのま!
どうして泣いているの?」





私は、なにもかも話した。





「私、人間になりたい!
人間として真海ちゃんと
友達になりたいし、
この上着をかけてくれた彼に
もう一度会いたい!」





「わかった、私の力であなたを
人間にしてあげましょう!
でもね、とってもたくさんの力が
必要な願いだから・・・
効き目はきっと、1ヶ月しか持たないわ」





雨の精霊がくるくると
私の頭の上で回ると、
キラキラとした粉が辺りに舞った。





(なんだか・・・眠たく・・・)











・*。・ 翌日 ニコラ学園 ・。*・





「相沢伊吹です、
よろしくお願いします!」





私、にゃおんは
相沢伊吹という名前の
中学2年生の女子になった。











・*。・ 休み時間 ・。*・





「ほら、話しかけろよ!」





友達にドンッと押され、
私の席の前にひとりの男子が
よろめき立った。





(・・・!!!)





彼だった。





上着をかけてくれた、彼が
私の顔を少し恥ずかしそうに
見つめていた。





「あ、あの・・・
あ、相沢さんって、」





「い、伊吹って呼んで下さい!」





「伊吹ちゃちゃちゃちゃ」





「笑 遼介、緊張しまくってる笑
こいつが、相沢さん。
かわいいってさっき、」





「ちょっ、ストップ!」





(遼介、くんって言うんだ)





ニヤニヤと割って入ったのは
さっき彼を私の席の方へ
押した男子だった。





「俺、今井暖人、
でこいつ、八神遼介。
よろしく」













・*。・ 放課後 ・。*・





「遼介ー! 来週土曜空いてる?
うち新潮モールで
ダンスのパフォーマンスするんだ!
見に来てよ!」





ガラッと教室に入ってきた人物に、
遼介くんを見てぼーっとしていた私は
息を呑んだ。





「真海先輩!
ガールズグループ
オーディション見ましたよ!
ガチすごくて尊敬っす!」





「遼介も私のパフォーマンス見て
しっかり学びなさい」





少し気取って言う真海ちゃんに
思わず近づいた。





「真海ちゃん! あの、どうして、」





「? 誰、この子」





(!・・・そっか、真海ちゃんは、
人間になった伊吹は知らないんだ)





「転校生だよ」





遼介くん。





「そうなんだ! 部活決めた?
是非是非アイドル部入らない?」





「アイドル部?」





「アイドルデビュー目指す部活で、
部費でレッスン受けたり、
オーディション受けたりできるの!
私、部長で、遼介も部員なんだ」





(遼介くんも、部員!)





「入ります!」





(1ヶ月限定の人間生活、
満喫するぞっ)











・*。・ 数週間後 ・。*・





だいぶ私は、新しい人間としての
生活に慣れてきていた。





それに、





「まじ伊吹のジャンプ
めっちゃ高くてすごいな!
なんかもう猫!? ってくらい
軽々してるし、才能あるよ!」





「遼介くんだって
すごくキレ良く踊ってて
かっこいいよ!」





彼との関係がいい感じかもって
思うのは、私の自惚れ?





そんな、浮かれた日々で、
でも、真海ちゃんの表情が
少しずつ暗くなっていっていることも
薄々と感じていた・・・











・*。・ ある日の自主練中 ・。*・





「伊吹、ちょっといい?」





真海ちゃんが
私の方に近づいてきた。





正直、真海ちゃんは大好きだけど、
捨てられたことを考えると
複雑な気もちで、





いまだ少し、気まずい気もちが
ぬぐえないでいた。





「うち、遼介のこと、好きなんだ。
・・・伊吹もだよね?」





真海ちゃんの告白に、息をのむ。





「!」





「・・・実は遼介、
今おっきい公開オーディションで、
結構審査進んでて。
来週から、本格的に
密着のついた合宿審査で、
学校来なくなるんだ。
審査が順調に進んでいったら・・・
もう、3ヶ月は会えないと思う」





「アイドルデビューはずっと
遼介が目指していたし、
うちも応援したいと思ってる。
だから・・・遼介から手を引いてくれない?
今は、恋愛じゃなくて
オーディションに向けて
集中しないといけない時期だから」





「・・・うん・・・わかった」





そのとき、私は
気がついてしまった。





遼介くんがいなくなる日。





その日は、私が人間である
最後の日でもあるということに。













・*。・ 翌日 ・。*・





「伊吹、実は俺、今
結構オーディションで
いいとこまでいっててさ」





遼介くんの突然の切り出しに
ギクリと胸がなった。





「しばらく会えなくなるけど・・・
俺、絶対デビューしてみせるから、
帰ってきたら、伊吹に
伝えたいことがあるんだ」





(なんか、いつもと
雰囲気が違う・・・?)





(顔が、赤くて、照れくさそう)





伝えてくれること・・・
予想できた。





(私も、遼介くんが好き)





(でも・・・
あなたが帰ってきたとき、
もうあなたの知っている伊吹は、
いないんです)













・*。・ 公園 ・。*・





「うぐっ、ひっく・・・」





気がつけば
私が真海ちゃんに捨てられ、
遼介くんと出会った
あの公園に来ていた。





「猫に、戻りたくない・・・!」





「遼介くんが好き、
この気もちを伝えたい!」





「でも・・・今伝えて、
大事なオーディションの
邪魔になったら・・・」





「でも、私には、もう
待っている時間はないのに・・・!
・・・どうしたら、いいの?」





ぐちゃぐちゃになって
あふれた涙。





いつしか、ポツポツと
雨が降り始めた。





「まーた泣いてる!」





「! 雨の妖精さん!」





「話は聞いたよ!
申し訳ないけど
ずっと人間のままで
いることはできない。
でも、人間の今だから、
できることはまだ
たくさんあるんだよ?」













・*。・ ニコラ学園 ・。*・





雨の妖精さんに言われ、
私はあることを決めた。





思い出をたくさん、作ること。





そして、遼介くんに
手紙で想いを伝えること。





「真海ちゃん。この手紙、
遼介くんがオーディションから
帰ってきた後、渡してくれない?」





彼のオーディションの邪魔には
なりたくなかったから、
遼介くんが帰ってきてから
真海ちゃんに
手紙を渡してもらうことにした。





「いいけど・・・」





雨の妖精さんいわく、
私が猫に戻った時点で
私が人間だった時の相沢伊吹の記憶は、
みんなから消えるらしい。





でも。





(真海ちゃんなら、
きっと渡してくれる)





(そしてきっと・・・)







[手紙]
・。・:・°・。・:・°・。・:・°・。・:
・。・:・°・。・:・°
遼介くんへ

私のこと、もう忘れてるかもしれないね
でも、これだけ伝えたくて、書きました
好きです
公園で待ってます
少しでも会えたらうれしいな

人間の相沢伊吹であり、猫のにゃおんより
・。・:・°・。・:・°
・。・:・°・。・:・°・。・:・°・。・:







そして1週間後
私はまた、猫に戻った。











・*。・ 3ヶ月後 公園 ・。*・





「にゃおん!?」





公園にやってきた人を見て、
私、にゃおんは
うれしさのあまり
大きな声を出した。





「あ、野良猫・・・」





久しぶりに見た彼は、
相変わらずキラキラしてて
かっこいい。





手には、見覚えのある手紙を
握っていた。





「・・・もしかして・・・」





目が合う。





「にゃおん?」





「にゃおん!」





「・・・伊吹?」





「にゃおん!」





「ははっへんなの。
そんなはず、ないのに、な」





「意味わかんない手紙を
真海先輩から渡されるし。
・・・でも、なんか不思議と
この公園に来て
確かめたくなったんだよな。
全く会った記憶のない・・・
伊吹・・・にゃおんが、待ってるか」





彼の瞳から涙があふれ出した。





「俺、オーディション受かった。
上京と、デビューも決まったんだ。
・・・地元離れるけど・・・うん!
にゃおんがいたら、
寂しくなくなりそうな気がする!」





遼介くんは私を抱き上げた。





「猫連れていっていいか、
マネージャーに聞いてみる」





スマホを耳に当て、
遼介はにゃおんを抱えて
公園から去っていった・・・







─終わり─

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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