後輩男子。
作者:まどか
「・・・―――き! いぶきってば!」
「へ?」
「なにボーっとしてんの!
あ・・・―また後輩くん
見てたでしょ?」
「み、見てないよ!」
「ハハッ!
かわいいんだから!」
あたし、相沢いぶき。中3。
あたしの席は窓側の一番後ろ。
外は広いグラウンドがあって
そこではサッカー部が
いつも練習していた。
あたしはいつも窓から
サッカー部の“彼”を
見つめていたんだ・・・―――。
あたしは気づけばサッカー部の後輩に
恋心を抱いていた・・・――――。
*...・・・*...・・・*
「あれ? いぶき、
どーしたの?」
「なんか熱っぽくてさ~」
「まじ!? 保健室いってきなよ!
先生にはちゃんと言っとくから!」
「うん、ありがとう」
みくに甘えて、あたしは
保健室に行くことにした。
―――・・・昨日、
髪乾かさないで
寝ちゃったからかなー・・・
保健室に入るも
先生はいなかったから
仕方なくあたしは
ベッドに横になった。
太陽の光がぽかぽかと暖かくて
気づけば眠りについていた。
――――・・・
「せんせーっ!
ケガしちゃったんだけど!」
誰かの大きな声で
あたしは目を覚ました。
時計を見ると4時12分。
そっと仕切りのカーテンを開けると
そこにはサッカー部の彼がいた。
「あ・・・―――
あ、安藤くん・・・だよね?」
「俺のこと知ってるんすか?」
――・・・あ、ヤバい。
絶対変なやつだって
思われたかも・・・
「まぁ・・・俺も知ってますよ」
さっきまでの高い声とは違って
低い声になり、顔が近づいてきた。
この距離感は、何なんだろう・・・?
・・・ってか、安藤くんが
あたしのこと知ってるって・・・――//
「いつも、窓から見てますよね?」
「・・・――!!」
うそ・・・!?
気づかれてた!!?
「いや! あれは・・・その・・・―――」
「あれって、俺のこと見てたんですか?
それともほかのやつ?」
安藤くんは意地悪な笑顔で
あたしを見つめている。
ドキドキしすぎて
熱が上がっちゃいそう。
「先輩って・・・
俺のこと好きでしょ?」
「・・・――じゃない・・・
好きじゃない!」
「俺は、先輩が好きです」
「そんなこと・・・
あたしじゃなくても
誰にでも言うくせに・・・」
「ホントに先輩は
俺のこと好きじゃない?」
「うん・・・って言ったら?」
「俺のこと好きにさせますよ」
あたしってば、今日会ったばかりの人に
なに泣きそうになってんだろう。
からかわれるのがイヤだから?
ううん・・・そうじゃない。
うれしいからだ・・・――――
・*。・ 翌日 ・。*・
「あれ?
いぶき先輩寝不足?」
「うん・・・まぁ・・・」
昨日、いろんなことが
いっぺんにありすぎて
なかなか寝つけなかったからな・・・
昨日のことから、安藤くんは
昼休みになると必ず
あたしの教室にやってきて
あたしを連れて、屋上で
ご飯を食べるようになった。
「あ・・・先輩の卵焼き美味しそう!
もらいっ!」
「あ!」
安藤くんはあたしの弁当から
卵焼きをとり、自分の口に運んだ。
「・・・ん、旨い!」
安藤くんは、子どもみたいに
無邪気な笑顔を見せて笑っていた。
その笑顔をみるたびに
あたしは安藤くんにドキドキしていた。
「あ、先輩!」
「なに?」
「今度の日曜日、サッカーの大会で
俺、スタメンに選ばれたんッスよ」
「え・・・すご!」
うちのサッカー部は
数多くの大会で優勝している、
サッカー名門校だ。
ましてやレギュラーになるのも
難しいと言われているのに・・・すごい。
「だから、先輩にも見にきてほしくて」
「え・・・っと、うん。行くよ」
「まじ!? やった!
先輩、俺がんばるから!」
*...・・・*...・・・*
放課後になり、あたしは
帰ろうとした時・・・
玄関に安藤くんの姿が見えた。
しかも・・・誰かと一緒にいる。
名札には“末永”と書かれていた。
末永さんって理事長の娘だよね?
しかも・・・サッカー部のマネしてる。
・・・―――なんか胸騒ぎがする。
「イルマさ・・・
相沢先輩のこと好きなの?」
「うん、好きだけど?」
「なんで・・・っ!?
あたしの方がずっと・・・ずーっと前から
イルマが好きだったのに、
なんでヒョイっと出てきた女に
とられなきゃいけないの!?」
末永さんも安藤くんが
好きだったんだ・・・
なんか複雑だな・・・
「なんでって
俺が先輩が好きだからだよ」
「どーしても、あたしより
先輩をとるならパパに言って・・・
イルマのスタメンの話なしにするから!」
―――・・・な、なにそれ!?
「なにそれ? おどしてんの?」
「だいたいさ・・・
相沢先輩ってイルマのこと好きなの?
どうせ、仕方なく
つきあってるんじゃないの?」
パンッ
玄関に鳴り響いた小さな衝突音。
あたしの平手打ちは
末永さんに命中した。
「ふざけないでよ・・・っ!
あたしは仕方なく安藤くんといるんじゃない!
それに・・・自分の思い通りに
ならないからって、おどすなんて間違ってる!」
「な、なによ・・・っ!
勝手にすれば!?」
末永さんは右頬を押さえながら
その場を後にした。
「先輩、盗み聞きしてたんすか?」
しまった。
安藤くんがいること
スッカリ忘れてた。
「あー・・・ごめん、
聞くつもりはなかったんだけど・・・」
「それよりも・・・先輩。
さっきのってどーいう意味?」
「え?」
「“安藤くんとは
仕方なくつきあってるんじゃない”
ってやつ」
「それは・・・―――
あたしが安藤くんが・・・
好き・・・だからだよ」
そういうと安藤くんは
あたしを両手でやさしく包んだ。
「も・・・いっかい言って」
「好き」
「もっと」
「好き好き好き好き・・・」
「よし! 充電完了!
今から練習してきます」
「え・・・あ、うん」
「それと・・・」
そう言うと安藤くんの顔が
近づいてきて・・・
あたしにだけ聞こえる声で・・・
「好きです、先輩。
つきあってください」
耳元でそうつぶやいた。
*FIN*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
相沢 伊吹

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