青空はいつもある

CAST若林 真帆若林 真帆

作者:ハニートースト

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.10.26

まさかあの台風の日が、
私を大きく変えることになるなんて、
誰が予測しただろう。





いつものテレビ番組の
お天気お姉さんでさえ
教えてくれなかった、
夢の始まり・・・





マホ「こんにちは」





塾のドアを開けて、
中にいる草野セイカ先生に
挨拶をする。





セイカ「こんにちは
マホちゃん。
今日も暑いねー」





ここはとある街の
小さな塾。





先生は1人しかいなくて、
狭いけれど、
通っている人は皆
成績が上がっている、
評判がいい塾だ。





セイカ「好きなとこに座って」





マホ「はーい」





カバンの中から
数学のプリントを出して、
椅子に座る。





セイカ「今日は何やるの?
数学?」





マホ「はい。
夏休み明けたら
テストだから、
そのテスト範囲を
やりたいなって・・・」





???「・・・こんにちは」





セイカ「こんにちは~。
カケル君、焼けたね(笑)」





カケル「最近、練習が多くて」





セイカ「そっかそっか、
大変だね。
じゃあ、ここに座ってね」





私の隣に座ったのは、
男子高校生。





髪が短くて
日焼けしてるから、
多分野球部?





一緒になるのは
2回目くらい。





高校生と一緒に勉強って、
ちょっぴり緊張してしまう。





セイカ「それじゃ、
始めようか」





黙々とプリントを
解いていく。





先生は、カケルさんと
話をしていた。





セイカ「そういえば、
カケル君、遠征いつ?」





カケル「20日からです」





セイカ「台風と
かぶっちゃいそうだね」





カケル「はい。
だから延期になるかもです」





遠征か~。
すごいな、
どこに行くんだろう?





なんてことを考えていたら、
先生が私に話しかけてきた。





セイカ「あ、マホちゃんって
野球が好きなんだよね?」





マホ「えっ・・・」





セイカ「自己紹介の紙に
書いてた!」





マホ「あ、はい。
好きです」





セイカ「カケル君、
野球部なんだよ。
話が合うかもね」





マホ「え? いや・・・」





すると、カケルさんは、
仕切りの壁から
ひょいと顔を出して





カケル「よろしく」





そう一言だけ言った。





マホ「よ、よろしく
お願いします・・・」





ノートにシャーペンを
走らせるカケルさんに、
一言呟いておいた。





次の塾の日、
少し早めに着いた私は、
自習スペースの椅子に座って、
前の授業が終わるのを
待っていた。





しばらくすると、
ドアが開いた。





カケル「こんにちは」





セイカ「こんにちは!
ちょっと待っててね」





ありゃ。
今日も一緒ではないか。





カケルさんと
目が合った。





こういうときって、
どうすればいいんだ?





笑う?
でも一応先輩だし・・・





甲子園の話をする?
それも突然すぎるよね・・・





戸惑っていると、
カケルさんは
何もなかったかのように
塾のポスターを眺めた。





む、無視かい・・・!?





セイカ「はい、
じゃあ気をつけて
帰ってね~。
マホちゃん、カケル君、
ごめんね
待たせちゃって」





マホ「いえいえ!」





セイカ「じゃあ座って」





前回と同じ席に座って、
プリントを解き始める。





先生が話しかけてきた。





セイカ「マホちゃん、
ニコラ高校の体験入学
どうだった?」





マホ「楽しかったです。
野球部の見学も
させてもらって」





セイカ「えっ、
マネージャーやるの?」





マホ「はい、マネージャー
やりたいんです!」





わざと大きな声で
言ってみた。





セイカ「え?、
マネージャーって大変だよ?
先生はあまりオススメしないな」





マホ「え、でも・・・」





すると、
隣から声がした。





カケル「そうですね。
マネージャーやりたいって来た人も、
序盤で辞めていくのがあるあるです」





セイカ「だよね、
キツイもんね」





何だか、滅多打ちに
された感じだ。





マホ「さようなら」





セイカ「さようなら!」





塾の外に出ると、
先に出ていったはずの
カケルさんが立っていた。





カケル「あのさ・・・」





少し間が空いたあと、
カケルさんが言った。





カケル「お前、志望校どこ?」





マホ「え。えっと、
ニコラ高校です」





カケル「やっぱりな。
頭良さそうだもんな」





マホ「え! いやいや、
そんな・・・」





カケル「とか言いつつ、
俺、ニコラ高校の生徒」





マホ「はぇっ・・・!?」





間抜けな声が
出てしまった。





カケルさんが・・・
ニコラ高校野球部員ってこと!?





カケル「あのさ・・・俺・・・
お前のこと気になってるんだ」





マホ「・・・え?」





カケル「だから、待ってる。
マホがマネージャーに
なってくれるの、
ずっと待ってるから」





カケルさんのこんな表情、
初めて見た・・・





カケルさんが私のこと、
気になってる・・・?





しかも、名前で
呼んだよね・・・





顔が赤くなるのが、
自分でもわかる。





カケル「マネージャーになって、
俺に気持ち伝えてほしい」





でも・・・





違う。
そういうことじゃないんだ。





マホ「・・・嫌です」





カケル「え?」





マホ「私、そんな理由で
マネージャー
目指してるわけじゃないです。
感動を与えてくれる人を、
一生懸命頑張ってる人を、
支えられたらって思ってるんです。
だから・・・」





カケル「・・・うん。分かった。
俺こそ、プライドを
傷つけるようなこと言って、
ごめん」





カケルさんは、
私に背を向けて
去って行った。





セイカ「マホちゃん?
手、止まってる。
分からないとこあった?」





マホ「あ、いえ・・・
大丈夫です」





セイカ「そう。
最近元気ないね」





マホ「そんなこと、
ないです。
夏休みの宿題が終わらなくて」





カケルさんに告白されてから
2日後、
カケルさんは遠征に行った。





今日帰ってくる予定だけど、
ちょうど台風が接近していて、
外は大雨だ。





その時、
塾の電話が鳴った。





セイカ「はい、
ニコラゼミナールです。
はい・・・えっ?
・・・そうなんですね、
わかりました・・・」





電話をきった先生の
表情を見る限り、
あまり良い電話では
なかったようだ。





マホ「先生、なんの電話?」





セイカ「あのね・・・
台風で木が倒れて、
カケル君の乗ったバスが」





マホ「えっ!?」





私は、とっさに
外に飛び出していた。





セイカ「ま、マホちゃん!?」





外は強い風が吹いて、
大雨が降りしきっている。





私は必死に走った。
カケルさんが
どこにいるかなんて
知らないまま。





マホ「どうしよう・・・!
カケルさんに
もう会えなかったら
どうしよう!!」





雨と涙と汗で、
ビショビショに
なってしまった。





マホ「バカだな、私・・・
こんなことしたって、
カケルさんに
会えるわけないのに」





見知らぬ道を、
ただ真っ直ぐ走る。





カケル「マホ・・・!?」





マホ「え・・・」





振り返ると、
そこには傘を差した
カケルさんがいた。





カケル「なんで、
マホが、ここに・・・?」





マホ「カケルさん・・・
生きてる・・・」





カケル「は?
ていうか、バスが
立ち往生しちゃってさ。
皆腹減ったって言うから、
コンビニに買い出しに行ってた」





マホ「え?」





立ち往生??





マホ「え、バスが倒れた木に
潰されたんじゃなくて・・・?」





カケル「なんだそれ!
怖すぎ」





マホ「そっか・・・
全部、私の
勘違いだったんだ・・・」





安堵と疲れで、
全身の力がふっと抜けた。





倒れかけた私の体を、
カケルさんが支えてくれた。





カケル「大丈夫か?
それにしても、
お前はすごいよ」





マホ「え・・・?」





カケル「だって、
俺ら野球部の為に
ここまで来てくれるなんて。
お前は最高の
マネージャーになれるよ」





マホ「カケルさん・・・」





なんでだろう。
嬉しいのに、複雑。





だって私は、
カケルさんだけを思って、
ここまで来てしまった。





そう、カケルさんを、
想って・・・













*。*。*。*。*。*。*。*。





――――1年後。





マホ「カケル先輩。
今までありがとうございました。
お疲れ様でした」





カケル「おう」





マホ「私、少しの間だけでも
カケル先輩の
マネージャーになれて、
良かったです」





カケル「・・・おうっ・・・」





マホ「もう、
泣かないでくださいよ(笑)」





カケル「そういうこと言う
お前が悪い」





そう、私はニコラ高校野球部の
マネージャーになった。





そして今日、
カケル先輩達
3年生の先輩方は、
最後の試合を終えた。





あの台風の日とは違う、
晴れ渡った青空の下で。





カケル「今までありがとう、
マホ。
それと・・・俺、
まだマホのことが」





マホ「先輩。
私から、言わせてください」





カケル「え・・・」





青空はいつも
あるんだよね。





雨が降っていても、
その雲の上に必ず。





マホ「私・・・
カケルさんのことが、
好きです」







―――――end。

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