nicola

キーワード検索

17年、恋をして

CAST泉 有乃泉 有乃

作者:はんちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.06.30

『おおきくなったら、
ぜったい、ゆのちゃんを
むかえにいくから』





『うん! やくそくだよ』





あれから10年経った今も、
忘れてないよ。





ねえ、あなたは
覚えていますか?





16歳になったあなたへ。











*・*・・・*・・・*・* *・*・・・*・・・*・*





わかな・りり「ゆの、おはよー!」





ゆの「おはよう」





親友2人の明るい声で
私の1日は始まる。





私、泉ゆの。
読書が趣味の高校1年生。





りり「わかな、今日の小テストの
勉強した?」





中瀬りりは
大学生の彼氏を持つせいか、
私たちの中で群を抜いて大人っぽい。





その彼氏というのが、
私の兄・リュウトなんだけど。





わかな「え? 今日テストあるの?
初耳!」





お調子者の葉山わかなは、
運動神経抜群。





最近、幼なじみの輝之介くんと
付き合い始めたらしく、
いつもニコニコしていて
すごくかわいい。





この2人とは
中1の頃に出会って以来
ずっと一緒の大親友。





わかな「あ、そういえばね!
今日、転校生来るんだって!」





イケメンだといいなぁ、と
はしゃぐわかなの横で、





りり「いやいや、わかな彼氏いるでしょ」





と、りりが冷静にツッコむ。





転校生、か。
転校生と聞くたびに、
私は期待してしまう。





もしかしたら、あの人
なんじゃないかって。





心の中では、分かってる。
“大きくなったら迎えに行く”
なんて、小さい子どものただの口約束。





分かってる、つもりなの。
でも、あきらめられない自分がいる。





ダメダメ、もう忘れよう。
10年間も待たせといて、
来るはずないんだから。





りり「・・・の、ゆの! 大丈夫?」





ゆの「・・・っだ、大丈夫」





「すっごい怖い顔してましたよー」と
わかなが言って、りりがいさめる。





ごめんね、わかな、りり。





本当のことを言えない、
こんな臆病者で。













*・*・・・*・・・*・* *・*・・・*・・・*・*





私が6歳、小学校に上がる
少し前の話。





『いーちゃん、
ほんとにいっちゃうの?』





向かいの家の幼なじみが、
九州へ引っ越すことになった。





彼の名は、堀口イブキ。
忘れたことなんてない。





転んで泣いている私に
優しく声をかけて
絆創膏をくれたこと。





親とケンカして拗ねているとき、
家に招いてなぐさめてくれたこと。





いーちゃんは、すごく優しかった。
大好きだった。





私は、いーちゃんとの別れが嫌で嫌で、
地面にぺたりと座りこんで
泣きじゃくった。





そのとき、いーちゃんは
私の頭を撫でてこう言ったの。





『ゆのちゃん、なかないで。
おおきくなったら、ぜったい、
ゆのちゃんをむかえにいくから』





最後まで変わらない
いーちゃんの優しさが嬉しくて。





『うん! やくそくだよ』





そう笑って見送った。













*・*・・・*・・・*・* *・*・・・*・・・*・*





先生「席につけ、転校生を紹介する。入れ」





私は、この瞬間が1番嫌い。





ダメとは分かっていながらも、
期待をこめてドアのほうを見るのに、
いつも決まって全くの別人。





そうやってどん底に
突き落とされる、
この瞬間が大嫌い。





だから、私はずっとうつむいていた。





上履きの、ぱたぱたという
音がする。





ドアが開いて風が吹く。





先生が黒板に名前を書く
チョークの音。





“堀口イブキ”





イブキ「・・・ゆの?」





ああ、彼が、やっと来てくれた。





嬉しさを噛みしめて
顔を上げた。





ゆの「いーちゃん!」













☆。。・★。。・☆。。・★。。・☆。。・★。





わかな「いやぁ、びっくり!
まさか、ゆのとあのイケメンくんが
幼なじみなんて」





りり「確かにね」





お昼休み、お弁当を食べながらの
ガールズトーク。





りり「それにしても、10年か。
ゆの、よく頑張ったね」





10年。
この2人は知らない。





10年という歳月が、
彼を変えてしまったこと。













*・*・・・*・・・*・* *・*・・・*・・・*・*





ゆの「いーちゃん、会いたかった。
ずっと待ってたんだよ・・・?」





イブキ「・・・・・」





私は、彼を体育館裏に
呼び出した。





黙ったままのいーちゃん。





ゆの「ねぇ、何か言ってよ・・・」





イブキ「ずっと待ってたとか、
本気で言ってんの?」





いーちゃんの目は、声は、
冷たかった。





イブキ「お前のことなんて
忘れてたわ、つかマジ重い、
そういうの迷惑」





彼はそう言い放った。





瞬間、私の心は凍てついた。





あの頃のいーちゃんは、
もうどこにもいない。





冷たくされたことよりも、
そのことのほうが悲しかった。





涙なんて、出なかった。





出ないほど、悲しかった。













*・*・・・*・・・*・* *・*・・・*・・・*・*





気がつくと、私はわかなとりりに
抱きしめられていた。





いつの間にか、私の目からは
溜まりに溜まった涙があふれていた。





わかな「ゆの、私には何も分からないよ?
でも、ゆのに泣いてほしくない」





りり「私もだよ。
私もわかなも、ゆのが大好きだから
辛い思いしてほしくない」





ゆの「・・・2人とも、
ありがとう・・・っ」





私は、すべてのことを話した。





わかなとりりは、そのすべてを
受け入れてくれた。





わかな「はぁ? 何なのそれ!
意味分かんない!
とっとと忘れちゃいなよ!」





りり「わかな」





りりは、静かに言う。





りり「ゆのは、それでも
彼のことが好き?」





私は、何度も何度もうなずいた。





ゆの「10年間、大好きなの。
想い続けてきたの。
あきらめたくない・・・」





りり「ゆのがそう思うんなら、そうしな」





わかな「うんうん。
わかなも応援するからさ!」





2人のあたたかさが嬉しくて。





ゆの「ありがとう・・・
本当に、ありがと・・・っ」





泣き続ける私を、2人はずっと
抱きしめていてくれた。













☆。。・★。。・☆。。・★。。・☆。。・★。





え、なんで?





放課後、昇降口。





わかなとりりは、部活。





私の靴箱の前にいたのは、
いーちゃん。





イブキ「・・・帰るぞ」





私のスクバをひょいと取って、
スタスタと歩き出す彼。





まっすぐと
自転車置き場に向かって、





自分の自転車のカゴに
私のスクバを放る。





ゆの「・・・え、なんで?」





イブキ「いいから乗れ」





後ろをアゴで指す。





乗るしかない。





2人乗りの自転車は、
ゆっくりと走り始めた。





イブキ「つかまれよ、
落ちても知らねぇぞ」





そう言って、私の腕をつかんで
自分の腰にまわさせる彼。





・・・ずるいよ。





ゆの「ねぇ、どうして?」





あんなひどいこと言ってたのに、





冷たい目をしてたのに、





どうして急に優しくするの?





イブキ「・・・植え込みの陰に、
クラスのやつが隠れてたの
気づいてなかったのかよ」





ゆの「・・・ふぇ?」





イブキ「俺らの話を聞いてたんだよ、
うかつなこと言えるかよ」





あ・・・
そういうことか・・・





これも、いーちゃんの優しさ?
嬉しくてつい笑ってしまう。





あまり騒がれないように、
わざと私を突き放したんだね。





いーちゃん、大好き。
腕に込める力を強くした。





イブキ「ゆの」





自転車がふいに止まる。





イブキ「迎えに来たよ」





夕陽が射す交差点、
彼の笑顔。





何年ぶりだろう。





・・・10年。





10年という歳月は、
君と私を大人にした。





ゆの「・・・待ってたよ、ずっと」





10年間の片想いは、





長い時を経て
今、叶いました。













☆。。・★。。・☆ 7年後 ★。。・☆。。・★。





大学を卒業した私たちは、
今日、新たな一歩を踏み出します。





わかな・りり「ゆの、結婚おめでとう!」





また、新しい恋物語が始まる。





きっと、新しい家族が増えて。







☆End☆

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

泉 有乃が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!