大切な人へ
作者:にこにこ
大好きを言えないまま
去ってしまった後悔は、
いつまでも残るだろう。
忘れることなんて
できっこない。
限られた時間なんて
わからなかったからこそ、
後悔は大きい。
・*。・ 市民病院 ・。*・
頭痛、腹痛、
吐き気、無食欲
今日は
この4つかな・・・
池クルミ先生「相変わらず、
頭痛と吐き気と
無食欲なんですね」
セナ「はい・・・・・・」
池先生「やっぱり
原因不明か・・・
どうしてでしょう。
こちらもわかりません」
セナ「ですよね」
ルキ(セナ母)「私も
よくわかってなくて」
セナ「新潮区合唱祭の日から、
突然だってことは
わかってるんですけど」
今日は持病で
病院に来ている。
原因のわかっていない病気は
他に例がないらしく、
先生も私もすごく困っている。
学校にもしっかり
行けていないし、
LINEで言っても
あまり納得されない。
特に男子たち・・・
ルキ(セナ母)「とりあえず、
薬は毎日飲んでます」
池先生「お水は2L
飲んでますか?」
セナ「あ・・・お水、
あんまり飲んでないです。
ごめんなさい」
池先生「ちょっとずつ
増やしていけば
大丈夫ですよ」
セナ「わかりました」
うぅ、やっぱり
頭痛がする。
ルキ(セナ母)「セナは演劇部で、
今度主人公役をやるんです。
できるだけ学校に
行きたいようですが」
池先生「学力面もありますし、
気をつけて過ごせば
問題ありませんよ。
主人公役、頑張って」
セナ「ありがとうございます」
緊張しながら言うと、
それじゃ、と
先生が口にした。
池先生「また来週の水曜日に」
ルキ(セナ母)「ありがとうございました」
セナ「ありがとうございました」
池先生「では」
ドアを閉め、
ため息をつく。
はぁ・・・・・・・・・
ルキ(セナ母)「学校、
無理しないでね。
誰だっけ、ゆなちゃん?
とも仲良くね」
セナ「ゆななは自分から
寄ってきてくれるから、
私が気をつければ大丈夫」
ルキ(セナ母)「そっか。
じゃ、待ってて」
セナ「うん」
吐き気を抑えるために、
なるべく正面を
向きながら過ごす。
こんな生活、
もうやめたかった。
普通に
過ごしたかった。
あの新潮区合唱祭までは、
元気だったのに。
・*。・ 学校 ・。*・
ゆなな「セナっ!
おはよう、
来たんだね」
セナ「うん、
おはようっ」
ゆなな「おはよぉ~、
次体育だよ。
一緒に行こう」
セナ「おっけー」
ゆななは中学からの
お友達で、
1番喋っている。
フランスに住んでいた
白系ふわふわ少女。
全方位完璧、
モテそうな雰囲気を保つ
かわいい子。
私を愛してくれている。
ゆなな「どっか行ってたの?」
セナ「市民病院に行ってた」
ゆなな「そっかー。
どうだった?」
セナ「変わらず、かな・・・
お薬処方されたよ」
ゆなな「共感できないのが
悔しいよ」
セナ「あはは、
ありがとう」
会話を繰り返し、
グラウンドに到着する。
セナ「さっむ!
走ろー」
ゆなな「おっけー。
最近寒すぎて困るよね、
ほんと」
セナ「それな」
ゆなな「手袋片っぽ貸すよ」
セナ「ありがとぉー」
ゆななはすごく
優しくて大好きだ。
・*。・ 体育中 ・。*・
セナ「寒っ・・・」
ゆなな「だねー。
あ、打つよ」
ソフトボールの練習試合中、
私は守備で、ゆななは攻撃。
同じベースに来て
喋っていたら、
クラスメイトが
いつの間にか
ボールを打っている。
ゆなな「やば、走らなきゃ」
セナ「ばいばーい」
その返事は来ず、
ゆななは
ホームベースに帰った。
セナ「・・・・・・ふぅ・・・」
あぁ、辛いなぁ。
みんなは元気なのに。
なんで私だけ
なんだろう。
本当に、なんで・・・・・・
セナ「・・・あぁっ――――
―――――」
――――――バタッ
ゆなな「セナっ!!!」
クラスメイト1「セナ大丈夫!?」
クラスメイト2「セナちゃん!」
ゆなな「みんな、
先生呼んで来て!
ねぇ、セナ・・・
どうしたの・・・・・・っ」
ゆななたちの声を
受け止め切れず、
私は意識がなくなった。
・*。・ 総合病院 ・。*・
ゆなな「・・・セナ・・
・・・・ごめんね・・・っ」
ルキ(セナ母)「大丈夫だよ。
心配してくれてありがとう、
ゆなちゃん」
ゆなな「いえ・・・」
組橋星奈はその日、
目を覚まさなかった。
ゆなな「今日はこれで・・・
あんまり来れなくて、
すみません・・・・・・」
ルキ(セナ母)「いいの、
学校があるでしょ?
セナの分も
頑張ってくれたら
嬉しいな」
ゆなな「はい。
すみません、
ありがとうございます・・・」
ルキ(セナ母)「こちらこそ
ありがとね、
セナのために」
セナの心は、今ない。
・*。・ 1週間後 ・。*・
ゆなな「こんにちは」
ルキ(セナ母)「ゆなちゃん、
こんにちは。
いつもありがとね」
ゆなな「大丈夫です。
土曜日だし、
予定なかったので」
ルキ(セナ母)「セナも
嬉しいと思うな。
本当に、早く
目を覚ましてほしい・・・・・・」
ぽろっ。
セナの母の目から、
涙がこぼれ落ちた。
ゆなな「セナ・・・」
ルキ(セナ母)「服に落ちちゃった。
拭かなきゃね」
その涙はちょうど
心臓の中心あたりに
落ちている。
それをゆななが
見つけた、
その時だった。
セナが、
息を吐いた。
ゆなな「・・・息、
吐いてる・・・・・・?」
ルキ(セナ母)「ほん、とだ・・・・・・・・・
呼吸、取り戻した・・・・・・」
丸田怜音医師「セナさん、
落ち着いてますか?」
医師がやってきた。
彼はセナを看病する
唯一の人だ。
ルキ(セナ母)「わ、わかったんですか?」
丸田医師「セナさんは
どうなるかわからないので、
カメラを付けているんです。
ほら、ここに
ありますでしょう」
ルキ(セナ母)「本当だ、
カメラがある」
ベッドのところにあるカメラを、
初めて見つけたセナの母。
涙はもうすぐ溢れる予定だ。
丸田医師「呼吸をし始めたので、
あとは目を開くことを
待ちましょう。
もしも呼吸が止まったら、
私の方でご連絡いたしますので」
ゆなな「よろしくお願いします!」
ルキ(セナ母)「よ、よろしく、
お願いします」
もしも、
呼吸が止まったら。
ルキ(セナ母)&ゆなな((そんなことないよね、
セナ・・・))
もう、悲劇は
起こしたくない。
・*。・ 翌日の病院 ・。*・
0時ぴったり、
セナは目を開けた。
丸田医師「もしもし。
組橋さん、組橋さん」
ルキ(セナ母)〔はい、
組橋瑠紀ですけど・・・〕
丸田医師「セナさん、
起きましたよ」
ルキ(セナ母)〔・・・・・・え・・・・・・・・・〕
丸田医師「目を覚ましました」
夜中、寝れずにいた
セナの母は、
電話中に驚いて、
ルキ(セナ母)〔わぁぅえっ、
すぐ行きます!〕
変な声を出してしまった。
ゆななに連絡を
入れるのも忘れて。
・*。・ 総合病院 ・。*・
丸田医師「結論、
長く眠ったことで、
体調が少し
良くなったそうです。
必死に看病して下さった
皆様のおかげです。
ありがとうございます」
セナ「うぅ・・・・・・
お母さん、ゆなな、
ほんとにありがとう・・・っ」
泣く私の横で、ゆななは
「ううん」と首を振る。
ゆなな「セナ、会いたかった。
セナが死なないでよかった。
それから、丸田先生。
先生も頑張ってくれて、
本当に、
ありがとうございました」
ルキ(セナ母)「もう、
本当によかった。
ありがとうございました。
感謝してもしきれません・・・・・・」
丸田医師「これからももう少し、
入院しておいて下さい。
入退院を繰り返す形に
なるかもしれませんが、
それは組橋さんのためですので、
心配なさらないで下さいね」
この会話は、私にとって
忘れられなかった。
若い医師の看護に感謝し、
私は言った。
セナ「丸田先生」
丸田医師「はい」
セナ「ありがとうございました。
お若い先生が、私なんかに
付き添ってくださり、
本当に、感謝しています。
よかったら、
付き合ってください」
覚悟と勇気を持って、
頑張って言った。
すると、
医師は微笑んだ。
丸田医師「よく頑張りました」
ぽんっと頭に手を置き、
丸田医師「私と付き合いましょう」
にこりとしながら言った。
セナ「接している回数、
短いのに」
丸田医師「自分で
言ったんじゃないですか笑」
セナ「ですよね。
助けてくれて感謝です」
大好きな人たちに
囲まれて、
持病があっても
私は幸せだった。
・*。・ 翌週 ・。*・
今、私は病室の
ベッドの上にいる。
なぜか体調が悪い。
丸田先生「大丈夫ですか、
組橋さん」
セナ「えっと・・・
倒れそうです、
また戻っちゃった
みたいで・・・・・・・」
丸田先生「私がついているので、
ご心配なさらずに」
セナ「ありがとうございます」
その“す”を
言った時だった。
セナ「あっ」
ぷつん。
意識が途切れた。
酸素マスクをしたセナは、
大切な人たちに
見守られながら
亡くなった。
ゆなな&丸田医師&ルキ(セナ母)
「「「頑張ったね」」」
大好きだよ、セナ。
側で誰かが呟いた。
セナの命に
代わるものなんてない。
丸田医師との
短い交際期間も、
ゆななと過ごした
日常も、
向こうの世界では
救いにならなかった。
けれど、セナは
幸せでいる。
幸せなまま、
眠りについた。
*THE END*
組橋 星奈

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