雪が降るバレンタイン

CAST組橋星奈

作者：ハニオレ

2022.11.12

私の名前は、組橋星奈。
今日はバレンタイン・・・
そして、彼の命日でもある。

その彼の名前は
犬飼太陽君。

クラスになじめなかった私を
最期まで見守ってくれた
大事な人。

けど、彼は
交通事故に巻き込まれて
亡くなってしまった。

雪が降っていたあの日。

私が太陽君に告白して
ＯＫしてもらった時。

それが１年前の
バレンタイン。

：：＊　１年前のバレンタイン　＊：：

セナ「太陽君。
私は、ずっと見守っていてくれた
あなたが大好きです。
もしよければ私と
付き合ってくれませんか？」

タイヨウ「うん！
よろしくな！」

セナ「うん。あのっ、
もしよければ、これ！
作ってみたんだけど・・・」

タイヨウ「俺に?!
キャラメル！
俺の大好物。
知ってたの？」

セナ「うん。ちなみに
キャラメルの意味は
『一緒にいると安心する』です」

タイヨウ「じゃあ、もっと
安心させてやらないとな！
これからよろしくな！」

セナ「こちらこそ！」

タイヨウ「おう。
じゃあ、俺こっちだから。
じゃあな」

セナ「うん。
バイバイ！」

太陽君が信号を
渡ろうとしたときに・・・

キキィー!!!
ドンッ！

太陽君がトラックに
はねられた。

近くの人「大丈夫ですか？
わかりますか？
あの、救急車
呼んでくれますか？
あそこの電信柱に住所が！」

近くの人２「はいっ！
あっ、もしもし？　救急です。
男の人がトラックにはねられて。
はい。
意識がない状態です。
住所は・・・」

私は、何もできなかった。
見てることしかできなかった。

しばらくして、救急車が来た。
太陽君は運ばれた。

セナ「ニコラ医科大学病院・・・」

：：＊　２日後　＊：：

私は、太陽君が
いなくなってから
心に大きな空白ができた。

その時、思い出した。

私があの時
渡したものの意味を。

『一緒にいると安心する』

そう思いだして、私は
上着を着て外へ出た。

太陽君のいる病院へ
向かった。

太陽君と一緒にいると
安心できるから。

ニコラ医科大学病院。

そこに、太陽君がいる。

セナ「あの、犬飼太陽さん、
いますか？」

看護師「犬飼さんの
ご親族の方ですか？」

セナ「いや、なんていうか。
彼女です///」

看護師「そうなんですね。
ですが、犬飼さんは
先日ここへ運ばれたときに
亡くなられました」

セナ「・・・えっ。
亡くなったって嘘ですよね？
太陽君が死んじゃったなんて。
そんなのありえません！」

看護師「落ち着いてください！
犬飼さんの病室へ
ご案内します。こちらへ」

：：＊　太陽の病室　＊：：

看護師「犬飼さんと
お別れするチャンスです。
大丈夫。
きっと犬飼さんも
彼女さんが来てくれて
うれしいと思います」

セナ「失礼します」

太陽の母「あなたは？」

セナ「あっ、私は
組橋星奈と申します。
太陽君と同じクラスでした。
お葬式、
行けなくってごめんなさい」

太陽の母「ううん。
こうして来てくれたんだし。
あなたが星奈ちゃんね」

セナ「知ってるんですか？」

太陽の母「太陽がね、
よくあなたのことを
話してくれたのよ。
あなたのことを
話してる太陽は、輝いてた。
ありがとね。
太陽を輝かせてくれて」

セナ「ごめんなさい・・・
ごめんなさい。
私、太陽君が事故に遭った時
何もできなくって・・・
見てることしかできなくって」

太陽君の母「見てるだけでも太陽は
安心できたと思います」

あの時のキャラメルの意味が
太陽君にも
伝わっていたって思うと、
私は涙がこぼれてきた。

セナ「太陽君。
また来年会おうね。
雪が降ってる
バレンタインの日に」

タイヨウ『星奈。
また来年会おうね。
あの時の交差点で
待ってるから』

：：＊　バレンタイン　＊：：

あれから１年たった。

私は、約束通り
あの時の交差点に行った。

キャラメルをもって。

：：＊ＥＮＤ＊：：