「だけど私は恋をする」

CAST崎浜 梨瑚崎浜 梨瑚

作者:るるたん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.12.13

恋なんてしない。









* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





私はリコ、17歳。





恋愛なんてもう
絶対にしない――





それが、私の中の
ルールだった。





時は、3年前のこと。





好きな人をめぐって
親友とケンカした。





あの時、
素直になれなかった私は
親友を傷つけた。





その夜、親友は
事故で亡くなった。





前方不注意で、
車に気づかなかったそうだった。





理由は、私の気持ちを
聞くために、
私の家に必死に走って
向かっていたから。





親友は、私とちゃんと
向き合おうとしてくれたのに、
こたえることができなかった。





あの日から、私は
恋愛が怖くなった。





誰かを好きになると、
大切な人を傷つけてしまうんじゃ
ないかって。





だから、男子と話すのも
苦手になった。





だけど、
太陽だけはちがった。





高校に入学して、
私がうまく話せなくても、





太陽は明るくて、まっすぐで、
私の重い過去なんて
気にしないように、
自然に接してくれる。





太陽「リコ、そんな
暗い顔してないで、
ほら、笑ってみろよ」





彼のその言葉に、
私は少しだけ
笑うことができた。





けれど、それと同時に
心の中で大きなとまどいが
生まれる。





リコ(どうしてこの人といると、
こんなに安心するんだろう)





気づいてしまった。





私は、太陽のことが
好きなんだと。





だけど、その気持ちを
認めるわけにはいかなかった。





理由は、リリだ。





リリも太陽のことが
好きだと気づいてしまったから。





リリは太陽に対する気持ちを
楽しそうに私に話してくれる。





リリ「太陽って
本当に素敵だよね。
リコもそう思うでしょ?」





私は笑顔でかえすけれど、
心のなかは嵐のようだった。





リコ(またあの時みたいに、
大切な人を傷つけてしまう
かもしれない)













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





ある日、放課後。





太陽がとつぜん、
私を呼びとめた。





太陽「リコ、俺、ずっと
言いたいことがあったんだ」





彼の目は真剣だった。





太陽「俺、リコのことが好きだ」





その瞬間、
心が大きく揺れた。





でも、私は
首を振るしかなかった。





リコ「ごめん、太陽。
私にはそんな資格ないの」





太陽「なんでリコ、
やっぱり昔のこと、」





リコ「ごめん」





太陽の言葉をさえぎって
答えた。





これ以上聞いていると
泣きそうだったから。





太陽は悲しそうな
顔をしたけれど、
それ以上何も言わずに
立ちさった。





その夜、私は泣き続けた。





どうして素直に
なれないんだろう。





どうしてまた
大切な人を
遠ざけてしまうんだろう。





その日は、眠れなかった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





翌日、学校で、
リリが私をどなった。





リリ「リコ、なんで自分に
うそをつくの?
太陽のこと、好きなんでしょ?
きのう太陽が、リコにふられたって
落ちこんでた。
太陽はあんなにリコのこと
思ってるのに!」





私は思わず反論した。





リコ「でも、また
誰かを傷つけるのが怖いの!
私は・・・私にはそんな資格ない!」





「あのね、」





リリはふかく息を吸いこんで、
やさしい声でこういった。





リリ「人を好きになるのは
悪いことじゃないよ。
私も太陽のこと好きだけど、
リコが本当に幸せになるなら、
私はそれでいい」





その言葉に私は
はっとした。





リリが見せてくれた笑顔が、
私を救ってくれた。





「私、太陽のとこに
行ってくる!」





「おう!
行ってこい!」













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





その日の放課後、
私は太陽に会いにいった。





太陽は屋上にいた。





リコ「太陽、あの・・・ごめん」





太陽がふりかえる。





リコ「私、自分の気持ちに
うそをついてた。
本当は・・・本当は、
私も太陽が好き」





太陽は一瞬おどろいた
顔をしたけれど、
すぐに優しくわらった。





そして静かに
私の手をにぎった。





太陽「俺も、待ってたよ」





その瞬間、心のなかの氷が
とけるような温かさを感じた。





星がまたたく空の下、
私はようやく素直になれた。







失うのが怖くても、





傷つくのが怖くても――







だけど私は、恋をする。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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