さいかい。

CAST安村 真奈安村 真奈

作者:くらり

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.02.15

お金では手に入らない、
けれど決して
消えることのない思い出。





私たちの中学校生活は、
あっけなく
終わりを迎えた。





私、マナは
高校1年生。





中学では勉強も部活も
やる気があって
一生懸命
やっていたんだけど、





高校に入ってから
どうもスイッチが
入らない。





中学と今で、
何が違うんだろう。





高校の友達も
みんないい人なのに・・・





答えはすぐに出た、





今まで気づかないふりを
していただけ。





高校にはAstraeaの
みんながいない。





ただそれだけで、
こんなに変わって
しまうなんて。





Astraea――
アストラエラとは、
私が中学の同級生と
組んでいたバンドのこと。





私がキーボードで、
ベースのエリナ、
ギターのマホとヨシト、
ドラムのカナミ、
そしてボーカルの
コウショウ。





バンドのみんなは
高校がバラバラになった。





志望校を決めた時は、
こう言っていたから。





「高校が別々になっても、
バンドを続けよう!」





でも、それは未だに
叶っていない。





というのも、
コロナの影響で
私たちの卒業式が
なくなったせいで、
去年の2月以降
会えてすらいないから。





卒業証書とか
書類をもらうために
中学校には行ったけれど、
時間が厳しく
決められていて
友達とは会えなかった。





もしかしたら、
会いたいと思っているのは
私だけなのかも・・・





高校入学と同時に
スマホを買ってもらった私は、
みんなのSNSや
ラインも知らなかった。





それに私は
学区の東側に住んでいて、
ほかの4人の家は
西側にあるから、
すれ違ったり
見かけたりすることもない。





「マナ、
何か考え事?」





声をかけてきたのは、
同じクラスのサキ。





サキは人数の多い
ニコラ中から
入ってきたから、
高校にも友達が
たくさんいるんだ。





サキの紹介で
仲良くなった子も
多かったりする。





「うん、やっぱり
バンドのみんなに
会いたいなって・・・」





「そっか、連絡先も
分からないんだっけ。
みんながどこの高校に
行ったかわかる?」





私はサキに、
4人が行った高校を
教えた。





サキは私を元気づけようと
いろいろ話してくれたけど、
今日ばかりは笑えなかった。





4人全員に会いたいと
思っているけれど、
1番会いたいのは
やっぱり・・・
コウショウかな。





私はコウショウに
中学3年間
片想いをしていて、





卒業式に告白する
つもりでいた。





だけど、
その卒業式が
なくなったから、
どうしようもなく
想いにふたをしていた。





ある日曜日、
サキから
ラインが来た。





『今から高校の近くの
公園に来て!』





一体どうしたんだろう。





不思議に思いながらも、
私は急いで出かける
準備をした。





公園についたものの、
サキの姿はなかった。





しばらく待っても
来ないし、
もう帰ろう・・・
と思ったその時。





「あれ、マナ?!」





「本当だ
マナじゃん!」





「マナちゃーん!
久しぶり!」





「やっと会えた・・・
マナ」





振り向くと
そこにいたのは、
ヨシト、マホ、
カナミ、コウショウ。
Astraeaのメンバーたち。





「みんな・・・
なんでここに?」





私は驚きすぎて、
それしか
言えなかった。





「高校の友達から
連絡が来て。
ここの公園に来いって」





「あれ、私も全く同じ」





5人で話をしているうちに、
ニコラ中出身の子が
私たちに声をかけて
くれたのだと分かった。





きっとサキだ。





本当に良い友達を
持ったなあ、
と私は感動して
泣けてきてしまった。





みんなも思いは
同じだったようで
嬉しかったし、
ヨシトが最後に
楽譜をくれた。





「また会えた時、
みんなでこの曲を
演奏しよう。
それまでの宿題!」





「「「「うん!」」」」





楽しい時間は
あっという間にすぎて、
帰る時間に
なってしまった。





それぞれが
別れの挨拶をする中、
私はコウショウに
呼び止められた。





「なに・・・?」





「実は、卒業式に
渡そうとしていたんだけど・・・
これ。良かったら
もらってほしい」





コウショウの手に
握られていたのは、
金色のボタン。





中学の制服のボタンだ。





「これ、
もらっていいの?
勘違いしちゃうよ、?」





「勘違いじゃない。
マナのことが好きです」





顔を赤くしたコウショウも
やっぱりかっこよくて、
私はしばらく固まっていた。





「私も、コウショウが好き。
よろしくね?」





こうして、
私とコウショウは
付き合うことになった。





他のメンバーと同様
ラインだけのやりとりだけど、
今までそれすらも
出来なかった私にとっては
嬉しい以外の
なにものでもない。





Astraeaのみんなに
再会できて、
バンド活動も再開できた。





私たちはサキのおかげで
後悔を晴らせたけれど、
みんないつ会えなくなるか
分からない。





もし私の話を
聞いてくれた人に、
想いを伝えたい
存在がいるなら、





今すぐにでも
そうして欲しいな!







~END~

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