君と出逢うまでは

CAST町田 恵里那町田 恵里那

作者:rina

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.04.19

君と出逢うまでの私。



世界の楽しさを、
素晴らしさを、
広さを知らない。





でも、
君と出逢ってからは
毎日楽しかった。





本当に、
ありがとう―――











・*・―――・*・―――・*・





『どれだけ月日が流れても
君の声でまたひとつになれる』





私が大好きな歌を
口ずさむ。





私にもそんな友達がいたら、
なんて考えながら
いつも歌っていた。





・・・私には
友達がいない。





生まれながらに持つ
病気のせいで
私は学校にも行けない。





学校に行く以前に
家から出ることも
許されていない身だった。





そんな退屈な人生なら
生きてても仕方ない。





そんな馬鹿なことを考えて
家を抜け出した私に
君が教えてくれたこと。





その全てを胸に刻んで、
私はこれからも生きていく。





大好きな君の傍に
いつか立てるように―――













・*・―――・*・―――・*・





「夜までには帰るから探さないで」





そう書いた置手紙を
部屋に置いて
こっそりと家を出てきた。





今日だけは
外の世界を見てみたい。





そんな願いからの
行動だった。





外に出て何かあっても
別に悔いは残らないし、
それはそれでいいと思っていた。





「何処に行こうかな・・・」





初めての外。





何もわからないし
此処が何処なのかすら
わからない。





「お母さんが前に言ってた海、
見てみたいなぁ」





昔よく海のことを
話してくれた。





海はお母さんの
大好きな場所だから、
恵里那も行けたらいいねって。





でもどうやって
海に行くのかわからない。





適当に歩いていると
前から来た人に気づかずに
ぶつかってしまった。





「あっごめんなさい」





慌てて顔を上げると
1人の男の子が
私を見つめていた。





「お嬢様ってホントに
居るんだ・・・」





なんて謎な言葉を
発しながら。





「あの・・・」





ひとりで
頷いたりしている彼に
私は声を掛けた。





「あっごめん。
俺なら大丈夫だから・・・
って君ひとり?」





彼は私の周りを
見渡しながら言った。





「私、友達いないから・・・」





小さく呟いて
俯いた私の頭に
手を乗せて彼は言った。





「じゃあ俺が友達第1号な。
俺は大倉空人! 中2。
君は?」





彼は私に
自己紹介を求めた。





不安な気持ちを抑えながら
ゆっくりと口を動かした。





「私は、
町田恵里那。
中2です」





言った後は
さっきまでの緊張が
嘘みたいに
気持ちが良かった。





ひとつ壁を乗り越えた
感じだった。





「で、恵里那は
どこに行きたいの?
俺が連れてってあげようか」





“恵里那”という言葉が
頭に響いた。





今までで私をそう呼んだのは
お父さんとお母さんだけだった。





「海・・・見てみたいの。
初めてだから・・・」





「え、海見るの
初めてなの」





空人くんは
驚いた顔をした。





今どき海を見たことない人なんて
珍しいんだろうな。





私に優しくしてくれたこの人なら、
本当のことを言っても
いいかもしれないと思えた。





「私、小さい頃から
病気持ってて、
実は外に出るのも
今日が初めてなの」





自分の弱いところを
見せるのが怖かった。





でも空人くんなら
私を受け入れてくれる気がした。





「そっか、だから
友達いないって・・・
じゃあ今日は1日
俺と遊ぶか」





そう笑ってみせる君に、
私はこの時から
惹かれていたのかもしれない。













・*・―――・*・―――・*・





「うわ・・・
駅超混んでんな」





空人くんが
ため息混じりの声で言った。





『ご、ごめんなさい
私のわがままで・・・』





関係ない空人くんの
折角の休日を
無駄にしているだけでも
胸が痛かった。





その上、大混雑している駅にまで
連れ込むなんて
申し訳なさで
消えてしまいそうだった。





「あーごめん。
そんな風に聞こえた?
でも恵里那のせいじゃないから
気にしなくていいよ」





空人くん、
言葉を使うのが
すごく上手。





空人くんに言われた言葉は
どれも本当のように聞こえて、
それだけで安心できた。





駅の奥にいけば行くほど
人が増えていく。





こんなにたくさんの人見たの
初めてだなぁ。





これも空人くんのおかげ。





「ほら」





空人くんが
手を差し出してくれた。





「はぐれたら大変だから」





って、顔を赤くしながら
私の手を優しく包んでくれた。





本当は恥ずかしいはずなのに、
私のために
手を差し出してくれた。





それがすごく嬉しくて、
思わず笑顔が零れた。





「あ、恵里那今笑った?」





空人くんが
驚き混じりの笑顔で
問いかけた。





『友達ってこんなに
いいものなんだなって思ったら
嬉しくなっちゃって』





私はその言葉に
付け足した。





『これも全部
空人くんのおかげだよ』





本当にそう。





全部全部
空人くんのおかげ。





私の窮屈だった世界から
連れ出してくれて、
私の知らないもの
たくさん教えてくれる。





私はそんな空人くんが・・・





「空人」





『えっ?』





「空人でいいよ、
友達だから」





『・・・うん。
ありがとう、空人・・・』





ためらいながらも
そう呼んでみた。





そしたら君は
ニカっと笑って
私の方を向いた。





やっぱり私、君が大好き―――













・*・―――・*・―――・*・





「ほら、海着いたよ」





空人が握った手を
軽く振って言った。





『これが・・・海・・・』





冷たい潮っぽい風が
吹いていた。





海に波が立って、
砂が飲み込まれていく。





「初めて見る海は
どんな気分?」





初めて見る海が
空人と一緒で良かった。





空人と一緒だから
海の美しさも倍になる。





自然と
そんなことを思った。





・・・自分の素直な気持ちを
伝えたい。





『空人と一緒に海に来れて
良かった。
私、空人が――』





そこまで言ったところで
言葉が詰まった。





その先を言わなかった
わけじゃないけど、
ただ言葉にならなかった。





「俺、恵里那が好き。
恵里那さえよければ、
これからも恵里那の側で
恵里那を幸せにしたい」





空人の真っ直ぐな言葉に
胸が熱くなる。





『私も・・・ずっと
空人と一緒にいたい』





そう伝えた時、
自然と笑顔が零れた。





これから先も
ずっと一緒に居たい。





君のそばで笑っていたい―――







*end*

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