アヴェマリア
作者:竹原葉月
未来のクルミへ、
これは僕の彼女の話。
*・*・・・*・・・*・*
他人なんて、信じない。
裏切りに満ちた人間。
悲しみの奥、
言葉にもならない
隠れた悔しさに
私はどうにもできない。
息が苦しい。
苦しいんだ、
ほっといてくれ。
1人、ピアノとだけの
音楽室。
私はアヴェマリアを
歌い始めた。
いつもの教室、
わいわいしている人々、、、。
そして私。
選ばれなかった、
人つきあいの才能に
恵まれなかった。
それだけ、
それだけなはずなのに、
まるでガラスの壁でも
あるかのように、
周りが遠く、そして
はっきり見える。
私、私なのだ。
この中で偶然、
ハズレを引いただけ。
なんで私なのか、
ため息だけが
自分のなかに響いていった。
アヴェマリア、私が惚れた曲。
そのやさしさのこもった音。
そのやさしさが
私を支えていてくれた。
*・*・・・*・・・*・*
音楽室、美しい歌声、
忘れ物のリコーダー、
3つの言葉が
頭に浮かぶ。
元々忘れ物の
リコーダーをとって
さっさと帰る予定でしか
なかったのに。
僕はなぜか、音楽室の前、
じっと座りこんだ。
聞こえるそのやさしさは、
なにより、
安らぎを感じた。
時間が気にならない。
いつまでもこのまま
座りこんでいたい。
それだけだった。
その動揺で
扉が開けにくい、
仕方なく勇気をふり絞り
扉を開けると、
1人ピアノの椅子に腰かけ
ぼうぜんとする、稲垣。
「えっと」
驚きがすごい勢いで
駆けめぐる。
1人休み時間は
宿題しかしていない
稲垣の歌声。
やさしさの音。
忘れたリコーダーを持つと
ちょっとそれを上にあげ、
「リコーダー忘れてたんだ」
とつぶやき
音楽室をあとにした。
昨日のことなのに、
アヴェマリアが響く。
あの稲垣のアヴェマリア。
そのモヤモヤにつられ、
また昨日と同じように、
音楽室を訪ねてしまった。
歌声に引きこまれ
音楽室の扉を開ける。
稲垣は僕を見て
あきれかえっていた。
そっと僕は、ピアノに近づく。
稲垣の、自分を疑う顔。
しかし、あのアヴェマリアを
聴きたかった。
そして、
「アヴェマリア、もう1回歌って」
キョトンとした稲垣。
「聞いてたの・・・」
そうつぶやくと、
またアヴェマリアを
歌い始めた。
やさしい音、響き。
引きこまれた。
「なんかすごいな」
「へ?」
「音がやさしい」
稲垣はニコッと笑った。
「わかるの、
私だけかと思ってた」
稲垣が笑った。
僕も笑った。
「なあ、また今度、
遊びにでも行こうぜ。
みんな誘ってさ」
彼女の笑いはまるで
あのアヴェマリアのようだった。
そして、今も、これからも、
僕の彼女は
アヴェマリアの笑顔を
うかべている。
未来のクルミへ。
もし僕が落ちこんでいたなら
そのやさしさの音を、
アヴェマリアを
歌ってあげてください。
*END*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
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