今芽吹くふたば
作者:ぼさぬこ
すべていつもどおりだった。
いろんな店をめぐり、
鴨川沿いを歩き
鴨川デルタで別れる。
でも、今日は違った。
僕の彼女、ふたばが言った一言で
すべてが変わった。
「遼介くん、
ひとつ聞いていい?」
顔を盛大に赤く染め、
目線だけこちらに向ける。
普段は意識しないのに、
こういうときには
どうもかわいく映ってしまう。
「・・・私の・・・
どういうところが、
その、好きで、
つきあおうって思ったの?
私で、よかった・・・?」
頬をなぐられたような衝撃。
寝耳に水、
青天の霹靂(へきれき)、
とはこのことか。
別にお前が好きで
告白したわけでも、
今ここにいるわけでもない。
すべてはあいつ、
今井暖大が現れたからだ。
成績も顔も僕の方が
上に決まっている。
それなのに、
みんなみんなあいつのもとへ
寄っていくのだ。
中学校まで
築いてきた地位が
くずされた。
だからあいつの思い人だと言う、
小松崎ふたばを
先回りして
奪ってやろうと思った。
ふたばは入学当初から
皆の注目の的だった。
容姿を鼻にかけることのない
控えめな態度、
聞き上手な性格が
男女ともに好かれている。
誰かの悩みを
真剣に聞きすぎて、
共だおれしそうになることも
少なくなく、
そのためか
守ってあげたいと思う
男子も多い。
しかし、僕の心は動かない。
僕が心を捧げるのは、
川原美杏、ただひとり。
ふとしたことがきっかけで
会わなくなってしまった幼なじみ。
大人で、頼れる存在だった。
でもマイペースなところもあって
放っておけなくて。
あわてて淡い思い出を
振り切る。
余計なことは
考えない。
ここまで来たからには
とことんまでやる。
だからふたばの
気もちが離れるのだけは
防がねばならない。
僕は一呼吸置いて、
「理由なんている?
どうして僕の気もちを
疑うの?」
ふたばは案の定
真っ赤になった。
続けざまにその手をとり、
そっと引き寄せる。
「川風で冷えただろう。
行こう」
そっと顔をのぞきこんで、
はっとした。
ふたばの顔には
何かをあきらめたような、
あきらめたからこそ
それにすがろうとするような
表情が浮かんでいたのだ。
僕は焦る。
あの一瞬のあいだに何かを
察知してしまったのだろうか。
そして奇妙なことに
計画の乱れを恐れると同時に、
きれいに切りそろえられた前髪の下、
せつなげな瞳のふたばに
見つめられていると
胸が痛み、
高鳴りさえする。
そんな顔しないでと
言いたくなる。
これは一体
どうしたことだろう・・・
一陣の風が、すべてを
変えてしまおうというように
吹きぬけた。
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
八神 遼介

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