さよなら３秒前。

CAST河村果歩

作者：甲子園のマネージャー

2023.11.28

「河村。好きだよ」

もう遅いよ。

もっと早く言ってよ。

ねぇ、さよなら
３秒前に戻してよ。

―――ねぇ。。。

《さよなら３秒前。》

うちには
大好きな人がいる。

「河村。はよ」

「おはよーオオゾラ」

幼馴染で心友。

叶わない恋で
ありがちなパターン。

オオゾラには彼女がいて、
うちの片思い。

元々、２人を
引き合わせたのはうち。

自業自得だよね。

「もーすぐ
オオゾラの誕生日じゃん」

「おー。
祝ってくれるの??」

「仕方ないからね」

「素直じゃないでちゅねー」

バカにした言い方で
からかうオオゾラに
ドキドキするうち。

―――ダメ

―――オオゾラはナツミの彼氏

自分に言い聞かす。

「ヤベ!!
１時間目体育じゃん!!」

「そーじゃん!!」

走るうちら。

ずっと
この関係のままなのかな。。。

１０年間保ってきた、
この距離

今さら変えるってのも
怖いし。。。

―――自分ってホント嫌い。

はっきりしない自分が
１番卑怯なんだ。。。

―――フラッ

「オオゾラ??」

「。。。ああ、大丈夫」

いつも元気なオオゾラが
やけに暗く感じた。。。

★。。・。。★。。・。。・★。。・。。★。。・。。★。。・★。。・

「ナイッシュ―」

体育はバスケ。

奥が男子、手前が女子。

オオゾラは何をしていても
人を引き付ける。

「「オオゾラ君かっこいい!!」」

黄色い歓声。

パスがオオゾラに回る。

そのまま３Ｐを構えると。。。

―――バタッ

なにか鈍い音がした。

「オオゾラ??　・・・オオゾラ!!」

頭を手で押さえて
うずくまるオオゾラ。

「ねぇ!!　どうしたの??」

「・・・痛てぇよ・・・」

「今病院に行くから!!
先生!!」

―――ピーポーピーポー

救急車の音。

赤く光る校庭。

担架に乗せられて
運ばれるオオゾラは、
真っ青だった。

「お・・・おぞら・・・」

遠くなる救急車を
ただひたすら目で追った。

★。。・。。★。。・。。・★。。・。。★。。・。。★。。・★。。・

うちは夢を見た。

オオゾラがいない教室、
委員会、部活。

そんな毎日に
生きる意味なんて
あるのだろうか。

「俺がいてもいなくても、
河村は大丈夫。さよな・・・」

「行かないで・・・
オオゾラ・・・」

どうしてもっと早くに
言えなかったんだろう・・・

――――――好き。

★。。・。。★。。・。。・★。。・。。★。。・。。★。。・★。。・

「カホちゃん。
オオゾラは大丈夫」

あの日から２週間。

オオゾラは脳の手術を
今行っている。

終わったら伝えるんだ、

自分の気持ち。

時間は止まることを
知らない。

―――パッ

ランプが消えた。

―――ガチャッ

「先生!!　オオゾラは??」

「・・・申し訳ない・・・」

―――・・・

「嘘・・・嘘でしょ・・・
嘘って言ってよ!!」

先生は首を横に振る。

オオゾラはもう
戻ってこない・・・

「オオゾラ君がこれを・・・」

差し出された封筒。

――――――――――――――――――――
河村へ

いつも心配かけてばっかでゴメンな。
おれ、去年の夏に脳腫瘍が見つかって、
いつか大がかりな手術する予定だったんだ。
で、それが明日になった。

成功率は低い。
だからもしものために手紙を残しておくよ。
簡潔に言う。好きだ。
河村のこと好きだ。

もうこの手紙をオマエが読んでる時、
俺はここにいない。
けど、泣かないでくれ。
俺とのさよなら３秒前を思いだして。
俺の生きれなかった明日を
河村は精一杯生きてください。

カホ。愛してる。
　　　　　　　　　　オオゾラ
――――――――――――――――――――

さよなら３秒前を思い出すと
オオゾラはいつもそばにいてくれる。

そう思えるよ。
オオゾラ。

うちも
――――――愛してる。

☆ＥＮＤ☆

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。