漫画でもドラマでもない世界で。

CAST河村 果歩河村 果歩

作者:ひよこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.01.09

君の織り成す物語の中で、
私はきっと脇役だ。





近くにいるのに、
どうしてもう一歩
踏み出せないんだろう?





いつかはヒロインに
なれたらいいな・・・





なんてわがままは
心のなかにとどめて。







‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐*‐





?「果歩、おはよう」





果歩「光翔くん、
おはよう!」





光翔くんは、
私より4つ年上の
高校2年生。





私の中学校の
隣の高校に通っている。





そして、私の
幼なじみでもある。





家が隣で、
家族ぐるみの
付き合いをしている。





小さい頃からよく
遊んでもらっていたから、
私たちはまるで
兄妹のような間柄だ。





・・・・・・光翔くんにとっては。





優しくてかっこいい
光翔くんを
好きにならない
はずがなかった。





小さい頃から
抱いていた恋心は、
いまでも続いている。





光翔くんが
気づいてないのを
いいことに、





私は1人想いを
募らせているのだ。





私と光翔くんは、
小学校の頃から
毎日一緒に
登校している。





優しい光翔くんは、
高校生になって
自転車通学が
できるようになってからも、
自転車を押して
一緒に歩いてくれる。





光翔くんとは
いろんな話をする。





今日の弁当の中に
私の大好きなおかずが
入っている話。





来週、友達と
遊びに行くのを
楽しみにしている話。





光翔くんも、
数学の先生の話や、
体育の授業の話を
楽しそうにしてくれる。





たわいもない会話を
している時間も、
光翔くんとなら
よりいっそう輝いて感じる。





光翔「じゃあね」





果歩「うん!」





楽しい時間は
あっという間に
過ぎていく。





でも、毎朝の登校時間が
あるおかげで
1日頑張れるのだ!













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





教室―――――





?「果歩、
最近どーなの?」





果歩「どうって、
何が?」





この子は凛美。
少し強気なところは
あるけど、





優しくて可愛い、
私の大好きな友達。





凛美「れ、ん、あ、い!
光翔先輩と
どうなのよ?」





果歩「ど、どうって・・・//」





凛美「早くしないと、
とられちゃうよ?」





果歩「とられるって、
物じゃないんだから~ww」





凛美「笑ってる場合じゃ
ないかもよ?
だって、光翔先輩、
モテるんだから!」





そう。
光翔くんは
とにかくモテる。





同じ小学校だった時も、
同じ習い事に
通っていた時も、
必ず周りに
光翔くんのことを
好きな人がいた。





凛美「想像してみな?
光翔先輩に
彼女がいるところ」





光翔くんが、
可愛い女の先輩と
並んで歩いている。





2人で、
とても楽しそうに。





どうしよう・・・
不安になってきた・・・





凛美「ね、
焦ってくるでしょ?
果歩? 果歩ー?
聞こえてる?
おーい!
・・・だめだこりゃw」













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





何日か後―――――





2人で決めた、
登校の待ち合わせ時間より
だいたい早く来ている
光翔くんが、珍しく
まだ来ていなかった。





5分くらい待っても
家から出てこない。





どうしたんだろう?
と光翔くんの
家のドアを見ると、
メモが貼られていた。





//////////////////////
果歩へ
今日は用事があるから
先に行きました。
ごめんね!
        光翔
//////////////////////





相変わらず、
字も綺麗なんだなぁ。





少しがっかりしながら、
足を進め始めた。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





学校帰り―――――





凛美とは家の方向が
違うので、
途中で別れ、
家の前ではいつも1人だ。





わりと静かな住宅街だか、
今日はなにやら
声が聞こえる。





声の主は、4人の
女子高校生だった。





その1人が
やけに可愛い。





女子A「ほら、
ピンポン押して!」





女子B「恥ずかしい・・・」





女子C「南のために
来たんだから、
ほら、押しちゃいなよ~」





女子D「南のために
プリントとってきたんだよ?
光翔くんに
誰が持ってくか
取り合いに
なったんだから!」





光翔くん?
プリント?





もしかして、光翔くん、
今日学校を休んで、
この人たちがプリントを
持ってきたってこと?





朝、先に行ったって
言ってたのに・・・





その後も、
電柱の陰に
隠れて見ていた。





どうやら、
やけに可愛い、
南という人が
光翔くんのことを
好きみたいだ。





女子A「ほら、
押しちゃいな!」





南「う、うん!」





“ピンポーン”





「はい」





南「あの・・・
同じクラスの、
田中南です。
光翔くんに、
プリントを届けに
来ました!」





光翔「わかった。
今行く!」





ガチャ。





南「風邪、
大丈夫ですか?」





光翔「うん、
全然平気!」





南「これ、
プリントですっ!」





光翔「あははっ、
敬語使わなくていいのに!
・・・ありがとう。
うつすとよくないから、
このへんにしとこう。
また今度、学校でね!」





南「はいっ!」





ガチャ。





女子C「南、
良かったじゃん!」





女子D「話せてたよ!」





南「うん!
来たかいあったなぁ~!
でも、元気そうでよかった」





女子A「あの感じなら、
明日から学校来れそうだね!
あ、でも今日
金曜だから、月曜か!」





談笑しながら
去っていった。





大丈夫かな?
光翔くん、





だいぶ鼻声だったし、
ちょっとぼーっと
してたような・・・





心配だし、
私も行ってみよう。





“ピンポーン”





光翔「はい。果歩?」





果歩「うん!」





光翔「OK、
今行くね」





ガチャ。





光翔「果歩、
どうしたの?」





果歩「風邪ひいたんでしょ?
大丈夫?」





光翔「なんで知ってるの?」





果歩「さっきの人たちが
言ってたから・・・」





光翔「そっか、
でも大丈夫だから
心配しないで。
うつしたくないし、
もうこのへんで・・・」





果歩「もうっ、
どれだけの付き合いだと
思ってるの?
大丈夫じゃないこと
ぐらいわかるよ」





光翔「か、果歩・・・」





果歩「まだ
熱高いんでしょ?」





苦しそうな声。





潤んで、少し
とろんとしている目。





真っ赤な首筋。





一目瞭然だよ。





果歩「ちょっと
おでこいい?」





おでこに手を当てると、
異常に高い体温が
伝わってくる。





果歩「やっぱり・・・
とにかく早く寝て!」





光翔「あ、うん」





フラフラで
今にも倒れそうな
光翔くんを支えながら、
ベットに寝かせる。





果歩「薬飲んだの?」





光翔「飲んでないけど・・・」





果歩「だめだよ!
薬飲まなきゃ
治らないよ?」





何度も来たことが
あるから、
どこになにがあるか
覚えている。





確か風邪薬は
カウンターの下の・・・





あった!





果歩「これ飲んでね。
今から氷枕
持ってくるから!」





3、4年前、
光翔くんの家に
泊まりに行った時に、
熱を出した私に
光翔くんがしてくれた
ことを思い出す。





氷枕は確か
ここだったはず!





キンキンに冷えた氷枕を、
光翔くんの頭を持ち上げて、
そっと置く。





とりあえず、
いいかな。





光翔「ごほっ、
ごほごほっ!!」





私が咳で
苦しがってたときは、
背中をさすってくれたよね。





私も、光翔くんの咳が
落ち着くまで
背中をさすった。





落ち着いたのを
見計らって、
私は思っていたことを
口に出した。





果歩「ねぇ、なんで
朝もさっきも
嘘ついたの?
ずっと一緒にいるし、
私には嘘つかないで
素直に言ってほしかったの」





光翔「それは・・・」





果歩「ずっと一緒にいるのに、
なんか光翔くんの方が
一歩引いてる感じが
するんだよね」





果歩「光翔くんが
私のことどう
思ってるかわかんない。
分かるのは、私のことを
妹みたいに思ってるって
ことだけで。
・・・・・・私はっ、
私はこんなに、
こんなに光翔くんのことが
好きなのにっ」





えっ?





・・・・・・あーーーーー!!!!
なに言ってるんだ私!!!!





もう人生終わった。





こんなこと言っても
光翔くんが
困るだけなのに!!!!





光翔くんの顔が見れない。





とりあえず、
帰ろう。





果歩「ごめんなさいっ!
帰るね!」





顔を見ずに、
走りだそうとする。





光翔「果歩、待って!!!!」





“ふわっ”





爽やかな
シャンプーの香り。





それは
よく知っている香り。





背中から熱さが
伝わってくる。





って、えぇっ?!





これって、
世間が言う、
バックハグって
やつですか?!





真横に光翔くんの
顔がある。





・・・頭が
追いつかないんですけど!





果歩「こ、光翔くん?」





光翔「果歩、
俺も果歩のことが
好きだよ」





はい?





よく意味が
理解できないんですが・・・





私の気持ちが
伝わったかのように、
光翔くんはもう一度。





光翔「だから、
果歩のことが
好きなんだってば」





果歩「えっと、
それは妹として?」





光翔「そうじゃなくて、
1人の女の子として、だよ」





えーーーーー!!!!





光翔「まず、
今日風邪のこと
隠しててごめん。
朝もさっきも嘘ついたのは、
ほんとに果歩に風邪を
うつしたくなかったからだよ?
果歩、来週友達と遊ぶの
楽しみにしてたろ?」





果歩「う、うん」





私のためだったんだ・・・





光翔「そりゃあ、
前までは妹だと思ってたよ?
でもここ最近は、
妹じゃなくて、
好きな女の子として見てた」





果歩「そ、そうなの?」





光翔「ごめん、
俺から言えなくて。
果歩も俺のこと
お兄ちゃんみたいに
思ってると思ってたから。
もし上手くいかなかったら、
この関係すら
崩れちゃうと思うと、
とても言えなくて」





果歩「そうだったんだ・・・//」





光翔「はくしゅっ!!」





あっ、光翔くん、
風邪ひいてるんだった!





果歩「そろそろ
寝た方がいいよ?」





光翔「その前に
ちゃんと言わせて。
・・・果歩、
俺と付き合ってください」





果歩「・・・はい!」





顔を見合わせて笑う。





何年越しだろう、





とにかくずっと
募らせていた想いが
叶った。





ようやく私は、
ヒロインに
なれたみたいです!







*end*

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