恋は魔法。
作者:花梨の実
魔法使いが、もしいたら。
魔法使いは、私を素直になれる子に
してくれますか?
* * * * * * * * * *
「はぁ、」
私、桜子。
最近ため息が増えてきた気がする。
また、だ。ひとりぼっち。
ハブられてるわけでもない。
無視されてるわけでもない。
ただただ、人見知りで。
受験して入学したここでも、
やっぱり私は変われない――――。
「なんか連絡あるかー?
・・・じゃあ、球技大会委員」
「はい」
私のクラスの球技大会委員、
あおかちゃん。
同い年には見えない大人っぽさと
厚い人望の持ち主だ。
「今日は、もうすぐある
球技大会の競技を決めます!」
私たちの競技大会は、男女それぞれ3競技。
ミニサッカー、バスケットボール、
ドッジボールだ。
「じゃあ、ドッジボール
やりたいひと~」
バスケットボール
やりたいなぁ、
「じゃあ、次バスケ!」
私はおずおずと手を挙げる。
私のほかにも、数人が手を挙げていた。
あの子も・・・あ、あの子も。
名前わかる子、沢山。
・・・だいじょうぶ、かな・・・
「はい、わかりました!
じゃあ、各キャプテンは
呼びかけなどして
当日に備えてください~」
球技大会は、2週間後です―――。
*。・ お昼 ・。*
(――――――やばい)
お弁当忘れた・・・
今日お金、ないんだよなぁ。
どーしよ・・・
『1‐Aクラスの畠桜子さん。
至急事務局まで着てください』
放送で呼ばれたのって・・・え、私??
なんか、したかな・・・
クラスの視線が私に集まる。
私は恥ずかしくなって
教室を飛び出した。
「あの・・・畠です・・・」
私は事務局の先生に
声をかける。
「あ、畠桜子さんですね?
お客さんですよ?」
お客さん・・・?? 私に?
事務の先生は、ちょうど死角に
なってたところに向かって手招きした。
そこから出てきたのは――――
「ダ、イア・・・?」
「桜子! おひさ!」
近所に住むダイア。
2個上で、お兄さん的な存在。
「どうして、ダイア
ここにいるの・・・?」
「桜子のおばさんに頼まれてさー」
家族ぐるみでも仲がいい、
ダイアと私の家。
「今日、学校は??」
「修学旅行の振り替え」
なんという、!
まって、ダイアがきたってことは・・・
私はまわりを見渡す。
――――やっぱり。
いつもは人通りが少ない事務局前。
今は、ぱっと見、100人弱は集まった。
ダイアは一般人でありながら、
SNSで10000人の
フォロワーさんがいるらしい。
“ダイアファンクラブ”
なるものもあるらしい。
ダイア本人はというと。
男子校に進学して、あんまり女の子の影は
見えない、と思う。
「・・・お弁当、ありがと・・・・・・」
「桜子、声小さくね?」
ダイアは、少しかがんで
私の顔をのぞきこむ。
目立ちたく、ない――――!
「・・・気をつけて、帰って・・・よ、」
「桜子、体調悪いのか・・・?
あんま、がんばりすぎんなよ?」
ダイアは私の頭をぽんぽんと叩き、
帰って行った。
(――――目立ちたくなかったのに・・・)
目立っちゃった・・・
もう、嫌だ・・・・・・
私が教室に戻ると、1枚の紙。
・・・・・・球技大会の練習日時・・・
置いてくれたんだ・・・!
人見知り、直さなきゃな・・・
* * * * * * * * * *
「気をつけて帰れよー」
帰宅部、の私は
特にやることもなく下校した。
「――――――ダイア」
「おっ、桜子!
・・・これ、渡しそびれた」
ダイアは、ストラップを差し出した。
「なに、これ・・・?」
「不思議の国の、アリス? だっけ。
桜子好きだった、よな」
覚えててくれたん、だ・・・
うれしさと共に、安心感からか
本音がこぼれた。
「目立っ、ちゃった・・・」
私はダイアの前でつぶやく。
「目立っちゃだめだっ・・・」
「目立ちたくなかったの!」
押し殺してた気もちを声に出し、
ふいに涙がこぼれる。
「分かってる、でしょ・・・・・??」
ダイアとは長いつきあいだ。
ダイアだって、私がいわゆる
“コミュ症”だって知ってるはず。
「桜子」
「・・・・・・なに」
涙があふれて止まらない。
私は、目を拭いながら
ダイアを見上げた。
「いいか? 桜子は
自分が人見知りだって
思いこんでんだ」
思いこみ・・・・・・?
違う。私はほんとに―――――。
「違うっつってんだろ!?」
・・・・・・!
ダイアが声をあらげる。
・・・久々に聞いた、かも・・・
「桜子、素直になってみろよ・・・?」
素直、に・・・??
「桜子は、人見知りなんかじゃない。
・・・素直になれてないだけなんだよ」
私は、素直になれてないだけ・・・なの??
「自分が思ってること伝えてみ?
・・・だいじょうぶ。桜子ならできる」
――――!
(私なら、できる)
自然に涙が止まった。
そこには、ダイアに言ってもらって
安心する自分がいた。
* * * * * * * * * *
(素直、に・・・)
翌日、私はなぜか
いつも以上に緊張していた。
昨日、ダイアからもらったストラップは
バッグにつけた。
なんか、御守り・・・みたいで。
「あ、桜子・・・さん?」
「――――!」
私の前にいるのは、球技大会で
バスケチームの子・・・だ。
「今日の昼休みの練習、
だいじょうぶ??」
「う、うん・・・」
昼休み、練習・・・か!
「あ、アリスかわいいね・・・・・・!」
アリス?
「あ、うん・・・・・・・・
私、大好きなんだ」
「ファンブック、買った??」
「う、うん・・・!」
不思議の国のアリスのファンブックは
ファンなら絶対に読むべき。
「アリス、私、めっちゃ大好きなんだよね~!!
桜子、って呼んでもいい?」
「も、もちろん!」
「・・・私は、、かんなって呼んで!」
「かんな、ありがとう!」
「え、なんで“ありがとう”?笑
桜子ってなんかおもしろいね笑」
面白い、??
「そ、そうなの・・・?」
「うんっ、もっと早く話しかければよかった!
アリス見つけちゃって、たまらなくなっちゃって!
――――あ、桜子、次選択じゃん!」
そうだった・・・・!
「桜子、選択なに?」
「工芸!」
「一緒、一緒! いこ!」
「うん・・・っ!!」
* * * * * * * * * *
「ふふふーん」
あのあと、かんなと行動してたら
色んな人と話すことができた。
(あ・・・、)
ダイアだ!
「桜子、昨日ぶり!」
「うんっ、」
「なんだよ、ニヤニヤして」
「クラスの子と話せたんだ~っ!」
ダイアは私がそう言うと
ふっと笑って頭を撫でた。
「よかったな」
満面の笑みで。
「・・・・・・っ、」
なに、これ・・・
心拍数やばい、んですけど・・・
なんでこんなに速いの・・・??
「どーした?」
今まではこんなこと、
一度もなかったのに・・・
「だいじょうぶかって、聞いてんだろ?」
「あ・・・う、うん!
だい、じょうぶ・・・」
じゃない、絶対。
「うそだろー? 桜子がうそつくと
人差し指と人差し指、くるくる回すんだぜ?」
うそ・・・・・・・!
「長年幼なじみやってるとなー
わかるもんなんだよ。
顔、赤いけど?
ホントにだいじょうぶ?」
「・・・・・・」
「おーい、さく」
「ダイアのせいだもん!」
ダイアはきょとんとする。
「私もよくわかんないけど、
鼓動早くなっちゃうし、
ダイアのが近いとめっちゃ恥ずいし・・・・・・
全部ダイアのせいじゃん・・・っ、」
「・・・桜子、どうした? 今日すげー素直」
「ダイアが言ったんじゃんっ!! “素直になれ”って!!」
めっちゃ、逆ギレしてる気がする。
「・・・・・・」
ダイアは黙ったまま顔を隠す。
・・・引かれた、のかな・・・
「ホント?」
え、?
「今の話、まじ?」
私は黙って頷く。
「うそではない、けど、、、」
その瞬間。
私はダイアの腕のなかにいた。
(え・・・?)
「うれし、すぎんだろ・・・?」
「桜子、」
「ん?」
「かわいい」
え・・・っ、!
「かわいすぎ、んだよ。まじで」
「・・・・・」
「いきなり泣き出すし、
何かと思ったら俺のせいとかいうし。
鼓動が早くなる? 恋なの? それ」
恋? ――――恋!
そっか、私、ダイアに
恋をしているんだ・・・・・・、
「好き、ダイア」
隠すことなんて何もない。
「ダイア、大好き」
「・・・・・・っなあ、
まじで俺をどうしたいの??」
・・・?
どういうこと・・・?
「ほんと、かわいすぎるんだけど。
待ちくたびれたっつーの」
・・・・・・・・・え??
「何年片思いやってると思ってんだよ」
「――――――うそ、」
「ほんと」
うれし、すぎる・・・
「アリス、のおかげ」
「え?」
うん。きっと。
アリスが魔法で叶えてくれたんだ。
“素直になれますように”って。
「俺、転校することになった」
え??
「桜子とおんなじ学校に、な」
*end*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
畠 桜子

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