うじうじ虫から引退します!
作者:Mmm
「わー!
ここが、ニコラ学園!」
畠さくらこ、小学6年生。
中高一貫、私立ニコラ学園中学校の
オープンスクールで
「中学書道部のパフォーマンスだって!」
忘れられない出会いをした。
・*。・ 2年後、中学2年生 ・。*・
「川上先輩の書道パフォーマンス、
まじかっこよかった~」
「たしかさくらこ、
川上先輩がいたから
ニコ学入ったんだよね?」
「そうだよ、かんな」
「・・・じゃあ、なんで
中学書道部入んないの?」
「もう7月で川上先輩、
引退だよ?」
私立ニコラ学園は中高一貫校だが、
部活は中学部と高校部で分かれている。
付属高校に上がる前に、中学3年生は
コース再編成試験を受けなくてはならない。
この試験の結果で
高校でのコースが決定するので、
それに向けて夏のうちには
全ての部活から引退しないといけない
決まりになっていた。
(そ、それは・・・)
中学書道部の親友の鋭いツッコミに
思わず私はうなだれてしまうのだった。
・・・全ての原因は、私の臆病で
うじうじ虫なところにあった。
・*。・ 放課後 ・。*・
「もー! うじうじうじうじ!
考えるだけじゃなくて
行動しないと何にも変わんないよ!」
「だだだって、
川上先輩と話すなんて無理!
直視すらできないのに!」
「そんなこと言ったって、
部長に渡さないと
入部できないんだからね?」
「でもでもぉ」
中学書道部、
部室前で怖気づいている
私の手には、入部届。
(ただのファンのままで
終わりたくない!)
(でも単純に、憧れすぎて
会うのが怖い!
恐れ多くて無理!)
「あ、葵さん。
・・・どうしたの? 彼女は?」
(!!! この声は)
「川上部長!
ちょうどよかった、
あの、この子、さくらこって
いうんですけど、」
かんなにぐいっと先輩の前に
押し出された私は、
正面からのご尊顔に放心してしまう。
「部長の大ファンで!
入部したいらしいんですよ!」
(か、かんな!?)
「えっ? ファン?」
ぽかんとした先輩を見て、
(終わった・・・)
ついに私は意識を飛ばした。
こうしてなんだかんだ、
私は書道部の一員となったのだった。
「わー! おっきい筆!」
「さくらこは、初めてだよね。
音楽に合わせた振り付けもあるから、
そっちの練習もしないと」
(たくさん、することがあるんだなぁ)
「来週のパフォーマンスは
3年生抜きでする、最初の回。
しっかりやり遂げて、
先輩たちに安心して引退してもらおう!」
「葵さんがいると安心だよ」
(すごいな、かんなは)
(先輩にも部員たちにも信頼されて、
みんなを引っ張っている)
・*。・ 翌週、初パフォーマンス ・。*・
(次、私が書く番!)
パフォーマンスは、たくさんの
生徒や先生が見にきてくれた。
(たくさんの人が、みてる・・・!)
緊張した私は、
(あっ!)
墨汁を入れたバケツにつまずいた。
「さくらこ!?」
バケツは倒れ、
紙に墨汁がぶちまかれた。
みんなが書いていた文字も、
全部真っ黒に染めてかき消して・・・
(ごめんなさい!)
恥ずかしさのあまり
顔を真っ赤にして、私はうつむいた。
・*。・ 部室 ・。*・
「さくらこ、気にしないで」
かんなに慰められても、
私は自責の念がおさまらなかった。
「畠さん」
すみっこで泣いていた私は、
ハッと顔を上げる。
「だいじょうぶ?」
(川上先輩)
「わたしの、せいで、
台無しにして・・・
かんなも、先輩たちに
安心してもらおうって、
がんばってたのに、」
(ああ、またうじうじとして・・・
こんな私、嫌いだ)
「実は俺も、畠さんと
おんなじ失敗したことあるんだ」
「えっ、先輩が?」
「誰だって、失敗して上手くなっていく。
だから、ある意味、全部成功なんだよ」
(全部、成功・・・?)
この時の先輩は、いつもに増して
キラキラと、輝いて見えた。
・*。・ 数ヶ月後、7月 ・。*・
「みんなも知っているだろうけど、
明日、先輩たちの引退公演があります」
かんなが、1年と2年生だけ
こっそりと集めて言った。
「先輩たち最後のパフォーマンスが終わった後、
サプライズで寄せ書きを渡すので、
みんなにメッセージを書いて欲しいの」
(ついに、先輩の引退が近づいていている)
(うじうじ虫は、もうやめよう)
(失敗なんて、ない)
(全部成功だから)
・*。・ 翌日 ・。*・
やっぱり、先輩のパフォーマンスは
最高だった。
(これで、最後なんだ)
そんなことを思うと、
涙が出てくる。
「先輩! お疲れ様でした!
いままで、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
かんなの後に続いて、
部員みんなが復唱する。
そして、3年生への
色紙贈呈が行われた。
私は、川上先輩への色紙を持って、
先輩の前に立った。
「先輩はずっと、憧れでした」
「先輩のおかげで
私はうじうじ虫から引退できた」
「コース再編成試験が、
終わってからでいいです」
「返事、待ってます」
川上先輩は色紙に書かれた
私からのメッセージを見て、
驚いた表情をした。
────────────
───
川上先輩、好きです。
畠さくらこ
─────────────
・*。・ 数ヶ月後、先輩の中学卒業式 ・。*・
「畠さん」
「先輩」
「高校の書道部で
待ってるから」
そう言って、先輩は
私に半紙を渡した。
「はいっ」
そこには、先輩の達筆で、
こう書かれていた。
────────────
───
俺も、好きです
────────────
うじうじ虫は、
もうどこかにいなくなっていた。
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。































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