恋の四角形
作者:なっつ
私、葵カンナ。
ニコラ学園に通う、
中学2年生だよ。
今ね、見ちゃいけないものを、
見ちゃったんだ・・・・
「ルナ!
ずっと好きだった。
つきあってくれ!」
「・・・・ごめん。
私・・・・テルのこと、
ただの幼なじみとしか
思えないよ」
私の好きな人、
小澤テルノスケが
彼のかわいい幼なじみ、
白尾ルナに告白し
振られている・・・・
ずっとお似合いに
見えていた2人の会話が
私には信じられない。
小澤くんは肩を落として
うつむいた。
ルナは気まずそうに
その場を去る。
小澤くんがこちらに向かって
歩いてきた。
私はあわてて逃げようとするが、
遅かった。
「・・・・見てたの、葵さん?」
「・・・・ごめん。
だ、誰にも言わないからっ!
ほんと、ごめん・・・・」
私は気まずさで
いっぱいになる。
「なら、さ。
俺はまだ、あきらめられないんだ。
ルナが俺のこと好きになるように、
手伝ってくれない?」
本当は彼が好きだから
手伝いたくなんかなかった。
でも、お人好しの私は
うなずいてしまったのだった。
そこから、私は
ルナの好きなタイプ、
初めてのデートには
どこに行きたいかなどを探ったり、
何気なく2人の時間を
作ったりした。
「どう、小澤くん?」
「ちょっとは、
進展があったかなあ・・・・
カンナのおかげだよ」
彼が初めて私の名前を
呼んだ時には、やっぱり
ときめいてしまった。
ねえ、私も
あきらめられないよ、
小澤くん。
見ちゃいけないものを見たのは
これで2回目だ。
今度はもっと大変なものだった。
「今井くん。
私、今井くんのことがずっと、
好きでした!」
「ごめんなさい、白尾さん。
僕は、葵さんが好きなんだ」
ルナは呆然としたような表情だ。
「なんで!?
葵さんより、私の方が・・・・!」
「じゃあ、ごめん」
今井ハルトは立ち去って行った。
私はあまりの展開に
頭が追いつかない。
「これは、恋の三角形ってやつ・・・・?
小澤くんは、白尾さんが好き。
白尾さんは、今井くんが好き。
今井くんは、私が好き。
私は、小澤くんが好き・・・・!
って四角形じゃんっ!」
「葵さん」
冷たい声が、頭の上から
降ってきた。
「白尾さん・・・・!」
「盗み聞き?
あなたは、今井くんが
好きなの?」
私は必死で
頭をぶんぶん振る。
「私は、私は・・・・
小澤くんが好きっ!」
言ってしまった。
ルナは驚いて固まっている。
「カンナ」
後ろから聞き覚えのある声が
聞こえた。
「俺の、こと・・・・?」
私は真っ赤になって、
逃げだした。
「カンナ、カンナ」
誰もいない教室で、
小澤くんが私の肩をたたいた。
「昨日のこと・・・・」
私は、つばを飲みこんだ。
「俺も」
「えっ?」
思わず小澤くんを見つめる。
「俺も、好きです。
俺に協力してくれて、
やさしいなって・・・・
惹かれてった」
どうやら、恋の四角形のおかげで
恋が叶ったようです。
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。





























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