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片思いが1番

CAST葵 かんな葵 かんな

作者:にゃっく

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.14

私、カンナには悩みがある。





それはね・・・
幼なじみのことなんだけど。





ハルトっていうの。





やさしくて、かっこよくて、
自慢の幼なじみなんだけどね。





中2の春のクラス替えから
ずっと話せてないんだ・・・(泣)





学校内で会っても、近所で会っても、
お互い無視。





「だーかーら、話しかけに行けば
いいんだって!」





私の前で偉そうに
腕組みをするのは、親友のイチカ。





「無視されたり、嫌な顔されたりしたら
どうしよう・・・って、思っちゃうの!
イチカはいいよねえ・・・」





私は恨めし気にイチカを見た。





イチカとハルトは同じ陸上部で、
2人は仲がいい。





「幼なじみの絆に
勝つものなんかないでしょ。
強気になんなよお!」





「言うのは簡単だけど・・・」





私は、ぼそぼそとつぶやいた。





そこに声がかかる。





「葵さん。
プリント、はい」





落ちていた私のプリントを集めて
机に置いてくれる。





相変わらず紳士的である。





「八神くん、ありがと」





「どういたしまして。
ところで、何か悩みごと?
何かできることある?」





「あー、いや・・・」





彼は、超紳士的。
私にすごく親切に接してくれる。





イチカがにやにやしながら
こちらを見ていた。





前にイチカが
「八神のやつ、
絶対カンナのこと好きだよ~」
と言っていたことを思い出し、
苦い気もちになる。





遠くから、ハルトが見ていた・・・
ような気がしてそちらを見ると、
ハルトは友達と話していた。





・・・なあんだ。





「・・・られないかな?」





「たぶん驚くけど・・・」





イチカとハルトが
楽しそうに話している。





私は胸の中のむかむかした気もちを
押さえつけ、こちらへ歩いてきた
イチカを睨む。





「ほら、仲いいじゃん・・・
私も陸部入ればよかった」





「カンナは好きな人のためなら
なんでもしちゃうんだね。
ちょっと陸部の新人戦について
話してただけだよ」





「絶対うそ・・・」





イチカにそんな気がないと
わかっていつつも、
やっぱり嫉妬してしまう。





「はあ・・・」





そんな自分が嫌だ。





「カン、おい、カン」





後ろから誰かに呼ばれる。





私のことを『カン』と呼ぶのは
ハルトだけだ。





私は「平常心、平常心」と
唱えながら後ろを見た。





「何?」





彼は不満そうに言った。





「お前さー、八神ってやつと
仲いいのか?」





「は?」





え、どういうこと?





「そこそこ、いいけど何か?」





彼はますます不機嫌そうな
表情になった。





「そこそこって、なんだよ」





「そこそこは、そこそこだって」





意味不明だ。





ん? もしや・・・





「ハルト、やきもち焼いてるの?」





真顔で聞いた。





そのとたん、ハルトは
真っ赤になって





「んなわけあるかあっ!」と、叫んだ。





ふーむ、そうか・・・





ん? こ、これって、
ハルト、わ、私のこと・・・





幸せな考えが頭をよぎった。





私は頭をぶんぶん振って
紛らわす。





「ところで最近、
イチカと仲いいでしょ?」





「山本?
まあ、普通・・・?」





「休み時間も廊下で
話してたりするのに?」





「うっさいなあー!
そ、それはさ・・・」





また真っ赤になってる。





「お前と、どうやったら
また自然に話せるようになるか
相談してたの!」





私は吹き出した。





おんなじこと、考えてたんだ。
そう思うと、おかしかった。





「あ、じゃあイチカ知ってたの?
私にハルトに話しかけに行くように
勧めてたけど」





「山本がめっちゃ助けてくれて。
いっそ、モヤモヤを全部
カンに吐き出せば? って
言ってきたから・・・」





私の中で結論が出た。





「俺ら」「私ら」





「両想い・・・?」





声が重なった。





う、声に出すと照れる・・・





彼の顔が近づいてくる。





私も唇を近づける。





///





ファーストキスを、
ハルトとできるなんて夢みたい。













*。・----。・----・。*





「う、うそぉ・・・
両片思いってことが発覚して、
ききき、キスまでしたぁ!?」





私はイチカに人差し指を当てて
「シー」と小声で言ってから、
小さくうなずく。





「で、つきあうんでしょ?」





私は首を振った。横に。





イチカが目を大きく見開く。





「まだ告白されてないの?
びっくりなんだけど!」





ううん、と私は笑う。





「嫉妬あり、幸せありの恋でしょ。
私たちは両片思いっていう名前の、
片思いを楽しむんだ。
それが1番幸せだと思うから」





私とハルトで
話し合って決めたこと。





イチカは
「もー、2人らしいんだから!」
と言って笑った。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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