あの人からの贈り物

CAST北島岬

作者：ラッキー

2025.05.25

俺は、北島岬。

もうすぐで
３０歳になります。

りりか「お父さん、あそぼー！」

そのま「あそぼ、あそぼー！」

この子たちは、俺の子ども。

そして、いまは亡き
星乃アンナからの贈り物です。

りりかとそのまです。

この２人が生まれるまでの
物語について、
長いですが聞いてください。

それは中学３年生の
春にさかのぼります。

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アンナ「はー、お腹すいたー。
なんか食べよー、岬ー！」

岬「あんま食べたら
お腹デカくなんぞ笑」

アンナ「うるさいなー！
あっ、ここ
おいしいクレープ屋さん！」

岬「また・・・笑」

アンナ「なんか言った？」

岬「なんにもー笑」

バタンッ！

岬「おい！
アンナどうしたんだ！
おい！」

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岬「おい！　目さめたか！」

アンナ「ここは？」

岬「病院だよ！
アンナが急に倒れるから
俺どうしようと思って・・・
まじであせった・・・」

アンナ「ごめん・・・」

岬「なんであやまるんだよ！
てか、なんで倒れたんだ？」

アンナ「分かんない・・・
でも最近、調子悪くて・・・」

岬「またなんかあったら言えよ！」

アンナ「うん。ありがと！」

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病院の先生「もうアンナさんの寿命は
そんなに長くないですね。
せめて５年かと・・・」

岬「先生それ、本当ですか・・・」

アンナ「私・・・」

岬「だいじょうぶ！
俺がついてる！」

アンナ「ありがと！」

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そして俺たちは
高校１年生になりました。

アンナ「はぁはぁー」

岬「だいじょうぶか?!」

アンナ「うん・・・
ちょっと休む・・・」

俺たちはいま、デートで
遊園地に来ています。

岬「やっぱやめよう・・・」

アンナ「ごめんね・・・
私が言いはじめたのに・・・」

岬「いいよ」

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そして、ある事件がおきました。

それは、高校３年生の冬でした。

アンナ「ねー、岬！
ちょっといい？」

岬「どうした？
どっか痛む？」

アンナ「ううん・・・
私ね、子どもができたの・・・」

岬「どうする？　産めるのか？」

アンナ「私は、この子たちを産みたい！」

岬「この子たちって・・・」

アンナ「うん・・・双子・・・」

岬「そうか・・・」

アンナ「ごめんね・・・」

岬「なんであやまるんだよ！」

アンナ「だって、めいわくでしょ・・・」

岬「そんなことないよ！
２人でがんばろう！」

アンナ「ありがとう！」

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オギャーオギャー。

アンナ「生まれたね」

岬「だな！」

アンナ「いままで本当にありがとう！」

岬「なんでよ、
そんな終わりみたいな・・・
悲しくなるだろ」

アンナ「だって・・・」

岬「ん？」

アンナ「なんでもない！」

このとき、俺はまだ
なにも気づいていなかった。

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数日後、アンナは
この世を去った・・・

俺は、泣いて泣いて
水分が全部なくなるんじゃないかと
いうぐらい泣いた・・・

あとで聞いた。

アンナはがんが脳にまで
転移していたことが分かった。

あのとき、ちょっとした変化に
気づいてあげたら。

俺はいまでも後悔している。

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あとから
テーブルの隙間から
手紙が出てきた。

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～岬へ～

いま頃私は、亡くなっているでしょう。

りりかとそのまは、元気にしてる？
あの子たちの笑顔みたかったなー
あの子たちの入学式みたかったなー
あの子たちの成人式みたかったなー

でも叶わないかな・・・

私がいなくてもあの子たちを幸せにするには
あなたは他の人と幸せになってね！
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いま、俺は元気に暮らしてるよ、
アンナ。

でも、アンナを裏切れないから
シングルファザーだよ。

許して、アンナ。

りりかとそのまは、元気だよ。

いまは、もう１０歳。

２人とも仲よくしてるよ。

───あなたはこんな人生歩めますか？

＊ＥＮＤ＊