不安を抱える君へ。 ~半分こなら怖くないよ~

CAST北島 岬北島 岬

作者:まんじつ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.08.08

そよそよと教室を流れてく
塩辛い風。





その風の香りは
ほろほろと鼻を通る。





俺、北島岬には
最近ある悩みがある。





1番後ろの窓側の席。





(よしっ。
絶対楽しくなるに違いない)





そう確信した1週間前。





でも、それは
いとも簡単に打ち砕かれた。













・*。・ ある日─── ・。*・





それは、
2時間目のことだった。





(後ろだから
よく人の動きが分かるな~。
社会だから伏せてるやつが多いかな。
あ、アイツ、隣がカノジョだからって
手繋いでる!)





当然、授業なんか聞いてない。





教師の目も流石に
こちらに向いてきそうだな~
と思ったとき。





ある1人の顔が
目に映った。





そして、
離せなくなった。





星乃あんなだった。





彼女はすごく不安そうな、





授業なんて
眼中にないような。





それは周りの人が気づかない、
些細な変化だったかもしれない。





でも、その時から
見た時から気づけば







俺は星乃のことが
いつも頭の片隅にあった。













☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





「き、、。
み、、、、、き。
おーい。岬っ」





どこかからくる声。





声の主は渚夏だった。





渚夏「どしたん岬。
ここ最近、上の空やなー。
もしかして恋したん!?」





岬「あー。違う違う。
そーじゃない」





渚夏「いや、暗っ。
普通にどしたん。
じゃあ」





岬「知りたい?」





こくんこくん、
頷く渚夏。





かくかくしかじか、、、、。





俺は、ことの経緯を
渚夏に打ち明けた。





渚夏「うんうん。
気になるわけね、そのことが」





岬「うん。どしたらい?」





渚夏「そんなん。
俺にはわかんないけどさ。
それほど心配なら
何をするかぐらい
自分でわかると思う。
せーのっ。思い立ったら、、」





岬「即行動」





小学校のころの
担任の口癖。





今では俺と渚夏の
合言葉みたいなもんだ。





岬「渚夏、ありがと。
とりま飲み物買ってくる」













☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





2階から階段を下りて
自販機のある場所へ。





昼休みなので
少し混んでいる。





お目当てのコーラが
かこっ、と降ってくる。





とりだして、ふと
イチゴミルクも買ってみた。





(もし会えたら、
これでも渡して励まそう)





自販機から
少し離れたとこで、
コーラをぷしゅっと開ける。





しゅわしゅわ、





はじける炭酸が
この上なく心地いい。





教室に戻るまえに。





少し空き教室に
寄ってみた。





もしかしたら
彼女がいるのではないかと。





(あ、いた)





予想はあたった。





サラサラとなびく髪の毛は
風にされるがままで。





気づけば
足を踏み入れていた。





足音に気づいた彼女、
星乃あんなが
こちらを振り向く。





あんな「あ。岬くん。
珍しいね」





くすっ、と笑う彼女は
少し光のせいか
それとも別の何かか。





あるいはその二択
どちらともか。





とても大人びて見えた。





あんな「ねぇ、岬くん。
君は外に出るのが怖いって。
思ったことない?」





その時、僕は分かった。





彼女はその怖いに
侵されているのだと。





なので、僕はこう聞いた。





岬「逆に君は?」





彼女はびっくりしたようだ。
顔が物語っている。





あんな「君、面白いね。
聞いたのは初めてだけど
こうかえったのも初めて」





岬「矛盾してるね」





彼女は不思議だ。
すごくとても。





あんな「まぁ。
こんな質問するってことは
なんか聞きたいこと。
あるの?」





岬「勘がいいね」





あんな「まぁ、
君の違うことだったらごめん。
でも話す。話したいから」





そうやって強引に
話し始めた。





かくかくしかじか、、、、。





あんな「きいてくれて。
ありがと」





話し終わった彼女は
満足したような笑みで
そういった。





要約すると。





彼女は、
不安障害を抱えている。





不安障害とは
とめどなく不安があふれてきて、
彼女の場合





孤独感など
パニックになったり、
するらしい。





特に、最初に発症したのが夏だから
エアコンでたまにそうなることも
あるらしい。





あんな「あはは、つらいなぁ。
寂しいなぁ」





こんな、俺よりも小さい体で、
こんなの抱えてたんだ。





岬「つ、つらかったね。
悲しかったよね」





あんな「、、、、、。
っぐすっ、、、、、、、、、、」





打ち明けたのは
初めてだったのだろうか。





カラッとしてた
彼女は思ってたより





弱かった。







そりゃそうだ。







気づいたら
抱きしめていた。





岬「つらいのは、
どうしようもないけど。
でもこれからはできたら
半分こしようよ。
彼氏じゃなくて
ただのクラスメイトだけど。
キモイかもだけど。
全部受け止める、から、
つらい顔しないで」





あんな「、ぐすっ。、、、うん。。」





そのあと
彼女が泣き止むまで、
俺らは抱き合って
泣いていた。





その後、2人は
永遠に半分こでしたとさ。







*end*

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