ゾクっとあったかい冬
作者:hui
はろー!
私、佐々木ハナ。
立派にJKやってるよ~。
高校生になって
もうだいぶたつこの頃。
冬が近づくと、みんな
恋愛モードになっちゃうんだよね。
私だって、恋はしたいよ?
でも、ベタな恋はごめんだね。
例えば芸能人とかと恋したいな~。
別に芸能人じゃなくてもいいから、
定番お決まりの恋は嫌!
部活で距離が近づくとか、
放課後の教室で告られるとか。
とにかくそういうのは嫌なの。
「あー、都会行きたい。
都会行けば、芸能人と
つきあったりできるかなあ」
放課後の教室。
日直の仕事のため、
私は1人で黒板を消していた。
1人でつぶやき、やれやれ
浮つくのもいいところだと思い直す。
「ベタな恋が嫌なら、
僕となんかどう?」
ゾクッ。
後ろから声が聞こえた。
「ひやっ!?」
思わず叫ぶ。
恐る恐る振り返る。
そこにはクラスメイトの・・・
ではなく、妖怪が・・・!
「ひぃぃぃぃ~!
いやいやいやあーっ!」
逃げだそうと構えた瞬間、
妖怪は元の姿に戻った。
耳は消え、しっぽも消えた。
とんがっていた口も元に戻る。
「びっくりした?」
そこで笑っているのは
クラスメイトの超イケメン男子。
北島ミサキ。
「う、うそお・・・
き、北島くん・・・」
彼は、にやりと笑う。
「俺、妖怪に化けられるんだよね。
妖怪と人間のハーフなんだ。
人間の血の方が強いから
普段は人間だけど」
人間と、妖怪のハーフ・・・?
いや、そもそも妖怪と人間って
結婚できるんだ。
うわあ・・・
「で、僕と恋してみない?」
彼はペロリと
舌を出して言ったんだ。
ベタな恋は嫌だ。
そんな要望がある私に、
彼はぴったり。
彼は自分の素の姿を知る者と
恋したいと言う。
うーむ、2人の希望が
合致しているんだな。
私はとりあえず
彼とつきあうことにした。
なんか面白そうだし。
「ハナ、待った?」
「ひやっ!」
彼が近づくと
なぜか背中がゾクッとする。
でも、彼はやさしい。
すぐにあたりは
温かくなるのだった。
「手袋持ってないの?
真っ赤じゃん」
そんなことをサラリと言って、
私の手をぎゅっと握ったりする。
不意打ちにあって、
私は真っ赤になった。
彼と私はともに過ごす日を
重ねていった。
私はもう、彼のことが心から好きだ。
妖怪の姿の彼を見たって、
怖くはない。
ずっと、一緒にいられるって、
無垢に信じてた。
でも・・・
「ねえねえハナ。知ってる?
北島くんが妖怪だってウワサ!」
親友の青山ヒメノが
無邪気な笑顔で話しかけてきた。
え、どういうこと?
ばらしちゃったの?
彼は前に、怖がられるから
言いたくないと言っていた。
私に打ち明けたのは、
なんだか素の自分を
受け入れてくれると思ったからだと。
「何言ってんの、ヒメノ。
そんなことあるわけないじゃん」
2人で笑った。
なのに、そのウワサを
誰もかもが知っていた。
クラスメイトの陽キャ、
久野ナツが見たという。
「俺、見たんだよ!
北島が教室でさ、
妖怪に化けてたんだぜ!
狐みたいな・・・
なんていうんだっけ、九尾、
みたいなやつに似てた!」
放課後、私は彼を問い詰めた。
「どういうこと?」
「素の自分を知ってほしくて、
わざと見せたんだよ。
みんな、俺を受け入れてくれるかな」
心配そうな彼の手に、
私は自分の手を重ねる。
「だいじょうぶだよ。
北島くんはあったかいから」
心があったかい彼は、
妖怪であろうとも
誰からも愛される人だ。
「ありがと、ハナ」
クリスマスイブ、
私たちは大好きを伝え合った。
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。





























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