完璧ピース

CAST佐々木花奈

作者：ゆゆ

2025.04.04

佐々木ハナ、中３。

自分で言うのが
恥ずかしくないくらい美少女。

運動、勉強、オシャレだって
誰にも負けない！

おまけにお金持ちだしっ。

でも、そんな完璧主義ハナ様の
完璧ピースがひとつかけているっっ！

それはたったの１時間前・・・

ハナ「ハルト先輩、好きです」

その後、すぐ後、
たった２秒後！

ハルト「うん。ごめん」

え・・・？

私はその後３０分、
ずっと立っていた。

うそよ・・・
うそにきまってるっっ！

私が振られるなんて、
ありえない。

ありえないーーーー！

いままで１回も、人生で１回も
振られたことのない、
このハナ様がああぁぁ！

覚えてなさいよ、今井ハルト！

絶対に振ったのを、
後悔させてやるんだからっっ！

・・・っと。
これくらいかな。
ハナ様の、失恋物語。

その後、私は、幼なじみの
ヒメノとテルノスケの手を引き、
うちに放りこんだ。

ハナ「なんでよ！
なんで私が振られるのよーーーー！」

テルノスケ「面倒くさいところと、
女王様気取りのところじゃね？」

テルノスケは、
ペンを鼻の下に挟みながら、
面倒くさそうに言う。

ヒメノ「でもでも、初めてじゃん。
ハナの、失恋物語。
告られ話だけのうちらにとっちゃ、財宝」

テルノスケ「ぶっ」

テルノスケが、吹き出す。

ハナ「なんか言った？」

私がにらみ気味にみると、
ヒメノが、きまずそうに
テルノスケをみる。

もうっ！
どいつもこいつも！

＊。・　翌日　・。＊

移動教室の際、
２年生のフロアを通ると、
ハルト先輩と目があった。

お上品女子っぽく、
髪をさらっと風になびかせ、
得意げに、彼をみた。

・・・あれ？　いない。
今井ハルト！

信じらんないんだけどーー！

「面倒くさいところと、
女王様気どりのところじゃね？」

ふと、テルノスケの言葉が
頭をよぎった。

あいつ！

でも・・・テルノスケ、
私のことを応援したくて
いってくれたんだろうなぁ。

キュンとした、心臓。

私の心は、私の気もちを
知っていた。

ドン！

ヒメノ「やっとわかったか。
ハナは、ハルト先輩に告る前から
ずーっと、テルノスケのこと
思ってたんだよ？」

ハナ「え？」

ヒメノ「わかってたんだしっ、
ずーっと！
ちなみに、テルノスケは、
それより前からハナのことを思ってたの。
テルノスケ、ハルト先輩に告るって
ハナが決断したとき、
すごい悲しそうな顔してたもん。
ハナがハルト先輩に振られたって聞いたとき、
テルノスケ、ハルト先輩に
殴りかかろうとしたんだよ。
それは私が止めたけど（笑）」

ハナ「わっ、私・・・いってくる」

ヒメノ「おう！　Good luck！」

ヒメノ「私ってば男前。
でも、失恋・・・しちゃった」

＊。・　テルノスケ宅　・。＊

ピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポン

テルノスケ「うるっせ！
絶対ハナだろ！」

ハナ「テルノスケ！
さっさと出てきなさいよっ！」

テルノスケ「へーへー、言われなくとも
出てくるつもりでござんした・・・」

ぎゅっ

私は玄関から出てきたテルノスケに
抱きついた。

ハナ「好きだったんでしょ。私のこと。
つきあってあげないこともないけど？」

テルノスケ「素直じゃないな。
でもまぁ、傷心中のハナ様を、
なぐさめてやらんこともない（笑）」

ハナ「素直じゃないのはどっちよっ」

私の完璧ピースは、
思わぬ形で埋まりました。

＊ＥＮＤ＊