nicola

キーワード検索

あ、い、う、え、お

CAST上妻 美咲上妻 美咲

作者:もこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.02.07

・*。・ 「あ」 ・。*・





――あいつの第一印象は、
最悪だった。





初めて出会ったのは、
高校の入学式の日。





体育館の端で椅子に座り、
無表情でイヤホンをつけている男子――
安藤冶真。





別に関わる予定もなかったのに、
席が隣になったのが運の尽きだった。





「こんにちは、上妻美咲です。
よろしくね!」





私が笑顔であいさつしたのに、
彼は「・・・ああ」とだけ言って
視線をそらした。





その態度に、心の中で
「なんだこいつ」
と思ったのを覚えてる。





でも、そこから私の高校生活は
少しずつ彼に
引っ張られていくことになる。













・*。・ 「い」 ・。*・





――いつの間にか、彼のことが
気になりはじめていた。





彼は目立つタイプではなかったけど、
何か特別なオーラがあった。





授業中、難しい数式を
さらっと解く姿や、





ふとした瞬間に見せる
やさしさ。





ある時、私が筆箱を落としたとき、
無言で拾ってくれた彼の手が
妙に印象に残った。





「あんた、
意外といい人なんだね」





そう言った私に、





彼はちょっと
困ったように笑った。





「あんまり
期待しない方がいいよ」





その笑顔を見たとき、
胸が少しだけぎゅっとなった。













・*。・ 「う」 ・。*・





――運命なんて、
信じていなかった。





文化祭の準備で、
私とイルマが
同じ班になったとき、





私は彼の意外な一面を
知ることになる。





クールで無愛想な彼が、
班員たちのアイデアをうまくまとめ、
頼りになるリーダーシップを
発揮していた。





「あんた、すごいね!」





そう言った私に、
彼は少し照れくさそうに
「別に」と返した。





だけど、その時の彼の顔が
やけにうれしそうだったのを、
私は見逃さなかった。













・*。・ 「え」 ・。*・





──絵の具のように、
気もちは混ざり合う。





ある日の放課後、
彼に呼び出された。





「ちょっと、
話があるんだけど」





いつもと違う真剣な表情に、
私の胸が高鳴る。





「実はさ・・・」





イルマが言いかけて
口を閉ざした。





言葉が詰まる様子に、
私は不安と期待が入り混じる。





「もしかして、
私のこと好きとか?」





軽い冗談のつもりだった。





でも、その瞬間、彼の目が
大きく見開かれた。





「・・・なんで、わかったの?」





息をのむ私。





冗談が的中してしまったのだと
気づいた時、顔が熱くなった。





「えっ、冗談・・・
なんだけど・・・」













・*。・ 「お」 ・。*・





――お互いの気もちを
確かめ合った瞬間、





世界が少しだけ
輝いて見えた。





「あんたって、
ホント不器用だね」





そう言って笑う私に、





イルマは少し困ったように
笑い返す。





「でもさ、その不器用な俺は
お前が好きなんだ」





「うん。私も!」







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

上妻 美咲が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!