親友の告白

CAST青山姫乃青山姫乃

作者:M

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.05.11

ピーッ





試合終了の
ホイッスルが鳴った。





「優賞は、
ニコラ学園サッカー部!」





そのとたん、応援していた
私達チアダンス部は、
大きな歓声を上げた。







* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
 2日後、ニコラ学園
 チアダンス部部室
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





「でさー、まじ八神くん
カッコよすぎたんだけど!」





勢いまいて話す私、青山姫乃に、
少しあきれたように
苦笑したのは、親友のひより。





「まだ言ってるw」





「だってだって~、
しかもチアしてるとき
3回も目があったんだよ!?
その後決めたシュートも
さすがすぎたし!」





「たしか八神くんを
応援するために入ったんだっけ」





大きくうなずき、
ふとなにげなく私は問う。





「ひよりは?
なんで入ったんだっけ?」





そのとたんひよりは固まり、
だが、次の瞬間には
いつものひよりに戻った。





「・・・好きな人のそばに
いるため、かな」





「え? 誰誰」
(初耳なんだけど!)





食いつく私に、ひよりは
少し困ったように眉を下げる。





「秘密」





「教えてよ~」





「いつかね」













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
 数日後、
 チアダンス部部室
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





「前にも話してた
夏フェスのイベントステージ
出場メンバーを発表します」





有坂先輩が、
次々と名前をあげてく。





「・・・、
青山姫乃、
白水ひより、
・・・」





(やった!)





私とひよりは顔を見合わせ、
小さくガッツポーズした。





夏フェスに向けての
練習が始まった。





「だいぶ息合ってきたね」





「だね!」





充実した毎日。





しかし突序そこに
波乱の波がきた。













・*。・ 部活帰りの帰り道 ・。*・





「あと夏フェスまで1週間か~」





「・・・・・」





「ひより?」





いつもとは違うひよりの様子に、
私は声をかける。





「・・・・・ねぇ。
もし、私が・・・いや、俺が」





「男だって言ったら、どうする?」





「え?」





おもいつめた表情で
おそるおそるといったように言う
ひよりに私は驚く。





「男って・・・
ジェンダーってやつってこと?」





信じられない思いで
口にした瞬間に、
しかしひよりは首を縦にふった。





「・・・キモい・・・?」





聞いたひよりに、
私は一瞬言葉に詰まるが、
私を恐がるように
おそるおそるとした様子の
ひよりを見て、
次の瞬間、勢い良く首を振る。





「キモくなんてない。
・・・びっくりはしたけど、
ひよりはひよりだよ」





私の言葉に、ひよりは不意に
涙を流した。





「姫乃は優しいなぁ。
・・・ゴメン、でも俺、
もう1つ隠してたことがあるんだ。
きいたら絶対キモがられるし、
困らせてしまうってわかってたから
言ってなかったけど・・・」





「・・・何?」





独白するように
つぶやいていたひよりは、
私を見つめた。





そして、ただ一言。





「ずっと前から好きでした」





私は、大きく息を飲んだ。













・*。・ 翌日、2年A組 ・。*・





(・・・気まずい・・・)





昨日、さすがに告白は断わったが、
ただひたすらに、ひよりの気持ちを
知った後ふった身としては、
どうひよりと話せばいいのかが
分からなかった。





ひよりはひよりで、私のことを
さけている感じもした。





(・・・こういうのって、
何もなかったかのように
ふるまった方がいいのかな)





・・・でも、それも何だか
違う気がする、と
私はさらに頭を悩ます。





そんなこんなをしている間に、
気がつけば
もう放課後になっていた。













・*。・ チアダンス部部室 ・。*・





「青山、白水!
息が合ってない!
真剣にしてる!?」





「「すみませんっ」」





チアダンスとは、団決力や
信頼関係が重要となるスポーツだ。





だからこそ、今のギクシャクとした
ひよりとの関係が、
練習に顕著に影響してしまった。





「ったく・・・じゃあ、
10分間の休けいをしてから
続きをします」





「はい!」





有坂先輩の言葉に、
私はほっとした気持ちで
返事をした。





こうして、ひよりとの関係が
不安定なまま、
日々は過ぎていく。





チアダンスの方も絶不調で、
最近は今までできていたことすら
できなくなって、
みんなの足を引っぱってしまう
状況になってしまっていた。













・*。・ 3日後 ・。*・





私は休み時間、1人屋上で
ため息をついていた。





(最近いろいろ
うまくいかないな・・・)





そんなときだった。





「何か悩み事?」





後ろからの声に
バッとふり返る。





「八神くん!」





(えっ!?
話しかけてくれた!
初めてなんだけど!)





今までは遠くから
応援しているだけだった彼が、
すぐ隣にいることに
私は夢ごこちになった。





「悩み事というか・・・」





ひよりからの告白のくだりは
なんだか話しにくかったので、
私は最近チアダンスが
うまくいかない、とだけした。





「いつも試合のとき
応援してくれてるよな。
えくぼがかわいいな、って
印象に残ってたんだけど、」





(うそ~! 覚えてくれてたんだ!
ってか、今、かわいいっていった?
キャー!)





心中大盛りあがりの私に気がつかず、
八神くんは続ける。





「なんかさ、誠合のとき
その笑顔みたらパワーもらえて。
・・・俺、チアダンスのことは
よく分からないけど、
すっげー俺のこと
応援してくれてるんだってのは
伝わってくるからさ」





その言葉に、ドクンッと
胸がなる。





(私達の応援が届いてたんだ)





そのことがうれしくて、
疲れとストしスで
こり固まっていた心が
すっとほどける。





「ありがと。
めっちゃうれしい」





なんだか体が軽くなり、
私はすっきりとした表情で
お礼を口にした。













・*。・ 放課後 ・。*・





「ひより!」





私は勇気をだして、
教室から出ていこうとするひよりを
呼び止めた。





立ち止まったひよりは、
こちらをふり向きもせず
沈黙していた。





「ひよりの気持ちには
応えられなかったけど・・・
私の親友はひよりしかいないの」





私は、緊張のあまり、
手にグッとカを入れて話す。





「ひよりが男だろうと女だろうと
ひよりはひよりだよ。
だからその・・・」





私が言葉につまったとき、
パッとひよりがふり向き
私にだきついた。





「・・・好きになったのが
姫乃でよかった」





声が震えている。





ひよりは涙を流しながら、言った。





「俺、夏フェスの翌日・・・
転校するんだ」





「え!?」





驚いた私を
ひよりは見つめる。





「こんな俺を、
親友っていってくれて
ありがとう」





私まで涙が伝染し、じんわりと
視界がぼやけていくのを
感じながら、言う。





「こんな私を好きっていってくれて
ありがとう」













・* 3日後、夏フェス前日 *・





今曰は夏フェス前日、
リハーサルが行われる日だ。





会場に集合していた私達は、
しかしやってきた有坂先輩が
腕に包帯を巻いていることに
ざわめいた。





「先輩!?
どうしたんですか、腕・・・」





「みんな、ゴメン・・・
昨日、ケガしちゃって。
私はもう、夏フェスには
出られない・・・」





ますますざわめく部員に、
でも、と有坂先輩は言った。





「私がするはずだったセンターは、
白水さんと青山さんに
してもらいます」





「俺!?」「私!?」





思わず声をあげると、
有坂先輩は私達をみた。





「練習のときからあなた達は
特にのびしろがあった。
白水さんと青山さんになら
まかせられる」





「まって下さい!」





部員の1人が声を上げた。





「じゃあ、白水さんと青山さんが
担当していたところは
どうなるんですか?
それに、センターが2人・・?」





「そう。今回特例で
ダブルセンターでいきます。
2人が担当していたところに
ついても、今から説明します」





こうして色々と変更がありつつも、
なんとかリハーサルを終えた。













・*。・ 翌日 ・。*・





「緊張するね」





「だな」





私達はステージの袖で
スタンバイしていた。





ちなみにひよりは
有坂先輩達にも
ジェンダーであることを打ち明け、
ひよりの衣装はスカートから
ズボンに変更されていた。





「では、ニコラ学園チアダンス部の
みなさん、どうぞ!」





司会者の声とともに、
私とひよりは舞台へと踊り出た。





結論からいうと、
本番は大成功で終えた。





なりやまない拍手のうずの中に、
八神くんの顔を見つけた私は
ますます笑顔になる。





最後にチアダンス部部員全員で
集合写真を撮って、
この夏1番の思い出は
終わりを告げる。











翌日はひよりの
引越しの日だった。





朝早くに出発するから
会えないと言われていたが、
私はいつもより早く起き
ダッシュでひよりの家へと向かった。





「ひより!」





「姫乃!?」





今まさに、車に乗りこもうと
していたひよりは
驚きかけよってきた。





猛ダッシュをしてきた私は
息を整えると、





「ゴメン。最後にどうしても
ひよりと写真とりたかったから!」





もってきたスマホをかかげる。





パシャリ





次はいつ撮れるかわからない、
ひよりとの2ショット。





お互いの待ち受けを、
この1枚に設定すると、
私達は手をふった。





「またね」





「またな」





さよならは、
言わなかった。







*end*

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