あと１０センチの勇気

CAST泉有乃

作者：メーダー＠

2025.11.26

あと１０センチの
勇気があったなら、
君に伝えられるかな。

あと少し、もう少し
なんだけどな・・・

・・：・・・・#・・・：・・・：・・・#・
・・：・・・：・

はーいっ。
わたし、泉ユノ。

私にはね、
好きな人がいるの。

？「ユーノっ。おはよ」

そう、今井ハルト。

教室に入ってくるだけで
キャーキャー騒がれる、
いわゆるモテ男。

私は今、
ハルトの隣の席。

しかも、すごく
仲がいい。

いつも、わたしだけ、
個別でちゃんと
あいさつしてくれるの。

ユノ「おはよ！　ハルト」

でもこう見えて
結構Ｓな人。

でも・・・やさしい。

そういうところに多分
惹かれたんだと思う。

キーンコーンカーンコーン

先生「じゃあ教科書の
１１ページ開いてー」

やばっ、そうだ。

今日、理科の教科書
忘れたんだった。

困っていると・・・

トンっ

ハルトが、机をつけてきた。

ユノ「え？」

ハルト「教科書。忘れたんだろ」

ユノ「う、うん・・・
でも、迷惑じゃ・・・」

ハルト「そんなの。気にすんな」

ユノ「あ、ありがと！」

ハルト「いーえ笑」

ユノ「・・・あのさ、今日の帰り、
昇降口で待っててくれない？」

ハルト「別にいいけど・・・？」

ユノ「よろしくっ」

・。・：・#・：・。・。・：#・：・・・・#

ハルト「ユノー、待たせてごめん」

ユノ「全然」

ハルト「で？」

ユノ「あの・・・
ずっと前から、好きでした。
よかったらつきあってください！」

ハルト「俺・・・」

あーだめだ。こわい。

ユノ「・・・って言うとでも思ったー？
うそだよ！
ただの告白予行練習！」

ハルト「おまえ、好きなヤツいたんだ」

ユノ「だーかーら！
いるから練習したんだよ！」

ハルト「だ、だよな！」

あ。うそついちゃった。

ホントは、ハルトが好きなのに。

・・：・・・：。・・・：・#・・・：・・
・：・#・・・・：・。#・

ハルト「ユノ、おはよ」

ユノ「おはよ、ハルト」

あーもー。

この関係のままでいいのかな。

今日こそ、言うんだ。
ハルトに。

好きですって。

決めた。
わたし。告白する。

ちゃんと逃げないで
言うんだ。

いつもは見ない朝の占いだって、
真面目にみたし。

今日はかわいく、
いつもおろしてる髪を
ゆるおだんごヘアにしたし。

あと１０センチ。

届きそうで届かない、この距離。

保つのはもう止めた。

あと１０センチ、前に進むんだ。

ユノ「ねえ、ハルト！
今日、帰り、
昇降口に来てくれる？」

ハルト「また練習？笑
まぁいいけど」

ユノ「ありがと！」

・・：・・・#・・・：・・・：・#・・・：
・・・#・・・：

フゥー。深呼吸。

言える、絶対。

ハルト「ユノー、待ったー？」

ユノ「ううん」

ユノ「あの・・・
ずっと前から好きでした。
こんなわたしだけど、
彼女にしてくれませんか・・・？」

―――――逃げるな。

ハルト「もう練習、バッチリだよ、
行ってこい。その人のところ！
じゃあな！」

違う。

この気もちを伝えたいのは、
ハルト、君だよ。

あと１０センチ、
勇気ださなきゃ。

ユノ「待って！」

ハルト「まだ練習？」

ユノ「ちがう・・・ホントは、
練習なんかじゃなくて、
ハルトが好きだったの！
だから、最初は恥ずかしくて
練習っていっちゃったけど・・・
ハルトが好きです！」

―――――届け。

ハルト「帰るぞ！」

ユノ「・・・え？」

ハルト「彼女なんだから、
一緒に帰るの、
当たり前だろ？」

ユノ「うんっ！」

ハルト「ユノ。
俺もユノのこと、好きだ！」

ユノ「わたしもだよ！」

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。・・・#・。：・：・・・#・：・。

あと１０センチ。

届きそうで届かなかったこの距離が
今、届いた。

＊終わり＊